表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
2章 救罪矛償:あなたの足が訪れる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/166

57 【白バニーさん登場】即興PTで未攻略踏破計画! メノイ病描穴(3)

 わかっちゃった……いや、うん。


 どうぞ。

 ブルさんがキノコを押さえ、こつぶちゃんがジュエルドールを押さえ――


「じゃあ、残りは全部やるね。ボス本体にもちょこっとずつ攻撃するから!」

「ありがとうございます! お互いに」

「頑張ろうね。コメント欄閉じるね、集中しないとだし」


 本体ひとりと分身八人、合計九人の「白バニーさん」がカメラの前に現れる。クリームもカードを使っていたけど、投げ武器と封印・召喚だけのようだ。分身をちゃんと使うのはけっこうハードルが高い……というか、飾剣を使っていないとあんまり意味がないから、分身はほぼ死に技になるようだった。


 何種類ものボールに酒気を振りかけて、〈は図み軽魔ジック〉で壁をバウンドさせる。どうやら元からできる機能だったようで、指の動きで軌道を自在に変える能力が生まれた。壁をゆっくり歩いたり飛び跳ねたりしながら、敵を封殺していく。


「マッシュッシュ! なかなかの戦士っぷり、道化とは思えん手際だッコ。だが、ワレの力はあんなものを通さずとも使えるのだッコ……見せてやるッコ!」

「まずい、爆発するぞっ!」

「防げるか――」

「壁になる、来るんだ!」


 さっと〈ゲー・ティア〉の後ろに避難したメンバーをかばうように、クリームは爆風の余波を少し受けた。


「マぁーッシュッシュッシュッシュ!! オマエら、少しは戦況を理解した方がいいのではないのかッコ? 敵の仕掛けに気付かないようでは、やはりヒトごとき戦士に取り立ててやれんッコ」

「何を言ってる……いや、これは」


 びちゃ、びちゃと洞窟のあちこちから音が聞こえる。これまで倒してきた敵の溶けたものが、ここに集まろうとしている。


「これは養分にしてやったゴミどもだッコ。いろいろといたようだが、いちいち覚えておらんッコ。骨があろうと道具を持っていようと、等しくワレが築く王国の肥やしになるのだッコ……今こそ役に立つがいいッコ!」


 ぼふんっ、と吹き付けた煙幕……じゃなくてたぶん胞子が、ぞろぞろっと異様な音を立てて瞬時に成長する。


「〈デビルズ・サークル〉!!」

「フェアリーサークルか!」


 確か、同じキノコが円形にずっと広がっていく現象だ。つまり、あのキノコ王がどんどん――本体でなくても、キノコが増えることになる。


「人は同族でも憎み合うと聞くッコ。なぜそんなことをするッコ? 手に持つ道具が違う、顔が違う、体が違う。なら別の生き物なのだッコ」


 キノコはきっと、全部同じなのだろう。本当に、キノコの本音なんて初めて聞くから、反論しようとしても考えがまとまらない。武装したキノコ人間が大量に、壁をゆっくりと歩いてくる。


「オマエらもキノコになるのだッコ。浅ましい奪い合いからも、おぞましい恐怖からも、オマエら全員を解放してやるッコ。死の向こうにある永遠の安寧で、恒久の安らぎを得るがいいッコ……死苦がオマエらの魂を縛らなければ、の話だがッコねぇ!!」

「台無しだよ!」


 跳ね続けていたボールが、キノコ人間に殺到した。ドゴン、ボン、バガンッと恐ろしい衝撃音が骨まで響いて、次々に敵が爆散していく。基礎性能が低すぎたのか、それともこちらが強すぎるのか。


「解も使っちゃおっか。「潜靴堂裏」!」


 腰にあったブーツと聖堂とペンギンの仮面が、こめかみにある古代魚と月の仮面「月泳流星のおもて」と入れ替わる。すっとスライドさせて、左目でキノコ王を見た。レモン色のバフアイコンが点灯した――ただ武器の性能が上がっただけだけど、杯のバフと合わせれば話は違う。


「空中に、網……!?」

「これで分断できたから、そっち任せちゃうねー」


 飾剣は、【愚者】の使うものの中でもいちばん「幻を現実にする」能力が強い。ただの分身を実体にすることもできるし、斬撃で描いた線を威力ありでぶつけることもできる。九人が二本ずつ持っている飾剣をそれぞれでパスして、描いた軌道を空中に張ることも、当然できる。


 地上で戦っているボスと、壁面で戦っている手下。みんなが壁を歩けないなら、多い方をぜんぶ担当した方がよさそうだ。


「さてと。そういう感じなんだねー……」

「マッシュッシュ、よくぞワレの意図を見抜いたッコ。世界がワレに与えた名前、それをしっかりと分析する頭脳……なかなか、人の知恵は侮れないものだッコ」


 マージメイジ・マッシュローフ=「結合の魔術師・キノコのかたまり」。今までまったくそんなつもりはなかったし、言葉遊びだと思っていたけど……言われてみれば、二体目の王の出現(・・・・・・・・)は、名前のままだ。


 壁画はすべてトラップで、倒しても倒さなくてもボス戦に影響する――倒さず逃げれば合流してくるし、倒せばあとで王が増える。どのみち倒すしかなくて、倒した数が多いほど詰みに近付く。たぶん、どんな敵でもガンガン倒せる強い人が入らないと、ちゃんとクリアできない仕様なのだろう。


「……言わなきゃバレなかったのに」

「マぁっ!? ッシュ……多弁は利にならんようだッコ、ひとつ学びを得たッコが」


 地上でキノコ王が倒されたようで、ふわふわと光の粒子が舞い上がってきた。時間が経ちすぎて、分身が消えてしまう。


「ワレの力に“その先”がないとでも思っているのかッコ? オマエの魂に刻まれたそれと同じことが、ワレにもできるのだッコ……」

「魂って……?」


 何が見えているんだろう、と思ったけど、すぐに分かった。


「胞子ひとつひとつに宿るワレの力と、吸い上げた力を……こうして束ねてひとつにするのだッコ。仮面をたくさん持っておいて良かったッコ。マッシュッシュッシュ!」

「うわっ、あの仮面ってまさかっ!?」

「ほかの【愚者の意志】から奪った、か……!」


 サルのような仮面や鬼のような仮面、ピエロの仮面や裏返ったような気味悪い仮面、キスマークと唇で作った異常なお面などなど……十を超える仮面に〈マージ・スリー〉のエネルギーを与えて、キノコ王は伸びる菌糸に包まれて巨大化していく。先に攻撃しようとカードを飛ばしたけど、仮面に防がれてしまった。


「マぁーッシュッシュッシュッシュ!! 王国とは「王の国」ッコ! 人のように統治など考えずとも、最強の王が増えていけばいいのだッコ……人が勝てる道理などないのだッコ!!」


 仮面ごとに色や質感の違う、つぎはぎの巨人。いくつもの顔が配置されたフランケンシュタインの怪物が、連なった蜘蛛の巣のような奇妙な口を開いた。


「かかってくるのだッコ、【愚者】ども! オマエらの五体も仮面も! すべて肥やしにしてやるッコ!」

「ふふ、ハイライトだねー?」

「行きましょう!」


 私は、仮面を付け替えた。

 フランケンシュタイン出すの初めて? ですね。気味悪いものとかつぎはぎは無数に出してるんですが。即興で作ってるのに能力がドカ盛りすぎて、これまた設定集行きやな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ