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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
1章 情華咲き、月にしぶき映す

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36 静けさは破られるためにある

 どうぞ。

 五人でたわむれて、これからまた五人で戦うなら、どうしたらいいか、どうしたら面白いかを話し合った。


「はー、楽しかった。これ配信とかしたらウケたかな?」

「うーむ。また次の魔王虫が出たら、そのときは配信しましょうか」

「また呼んでくださいね。とても温まりました」

『虫を斬るのもなかなかいいでしょ』


 損をしそうなのに【狂妄】を選ぶだけあって響き合うものがあるのか、二人とも楽しそうにしている。


「凡人にはわかんないよね……」

「フィエルは、……いい感じに凡人だよね」

「シェリーはちゃんと強いし、感性がふつうで安心するよー」

「私はゲーム苦手だし、備えてるだけ」


 そう言われると、たまたま新体操の経験が活きてよかったな、と今さら思った。それ以外は……というより、それがあっても私は凡人寄りで、めちゃくちゃ天才とかではないと思う。


「私も「これいける!」って思ったら鍛えまくってるだけだし。がんばろ」

「だね。フラッグ、役立ってて嬉しい」


 そろそろ時間だねぇ、と珍しくアンナから言い出した。


『さすがに今日は、遊びすぎたなぁ。眠くなってきちゃった』

「しょうがないなー、早く寝るよー」

「二人は同居されているのでしたっけ。友達と仲良しで、うらやましいです」

「友達っていうか、今は義理の妹だし。かわいいよ」


 もうほとんど、何も問題はないといってもよさそうなくらいだ。もっと何年も引きずることが多いだろうなと思っていただけに、半年でほぼ解消してしまったのは驚異的なことだった。


「大変じゃない? アンナが妹だと」

『んー?? どういう意味なのかなぁ、ちょっとぉ』

「わりと想像通りかもねー。インしてる時間長いもんね」

『ちゃ、ちゃんと稼いでるもんねぇ!』


 えらいぞー、とハグして背中をさする。鼻息荒く頭をぐりぐりしてくる様子は、ほぼにゃんこだった。全員で玉華苑を出て、ギルドホームでログアウトした。




 現実に戻ってすぐ、ベッドがたわむのが感じられた。


「ふぇへへー……ん!」

「よーし、よーし」


 VRデバイスを外して、抱きついてきたアンナを抱き返す。もちふわな体をぎゅっとするたびに、しっとりとしたきめ細かな肌と、私と同じくらいちゃんとした骨格を感じる。メタバースで初めて出会ったときは、焼きマシュマロみたいにすぐ消えてしまいそうに感じたのに……彼女は、たしかな存在感を放っている。


「目の前でカッコいいアカネ見られて、今日すっごく得した気分だよぅ」

「ありがとね。ずっと、カッコいい私でいられたら……もっと、魅せられたかな」


 あの場所から逃げたい一心で、新体操をやめてしまった。高校の体育館は狭かったから、近くにある「まきしおスポーツクラブ」のスペースを借りて、クラブ会員ということで練習をさせてもらっていた。新体操を続けていれば、当然あの子たちともまた会うことになる。そのことが分かっていたから、やめた。


 カッコいい私でいられる、と思っていたのに。


「アンナがお兄ちゃんのこと大好きなのといっしょ。私は、カッコ悪いからキライとか言わない」

「……私って、自分に期待しすぎてたのかな」

「へんな話、なんだけど。最初に車を作った人って、「これにぶつかって死んだら、どんなにぐちゃぐちゃになるだろう」って考えたと思う?」

「……違うと、思うけど」


 夢は夢、期待は期待だ。いい夢のあとには悪夢が、希望が叶えば絶望が訪れる、そんなふうに考える意味はない――こうやって女の子を口説いているのか、アンナはずいぶん口が上手だった。


「まだ続いてる。また始まるかもしれないし、続きがあるかも。終わりだって言ってる子には、こういうことにしてるんだぁ。フィエルは、アカネの続き。そう思わない? アカネとフィエルって、何もかもぜんぜん違う、かなぁ?」

「それ、は……」


 私ね、とアンナは微笑む。


「NOVAにこもってる時間長いでしょ。いろんな人のいろんなとこ見てきて、ホントもウソもいっぱい見てきたんだぁ。やっぱり人なんだって、思うんだよねぇ」


 いろんな体験談を聞いてきたから、言っていることの意味はなんとなく分かった。


「私はフィエルのことも好き。アカネは、たてわきサフォレのこと好き?」

「サフォレも好きだよ。同じセンスしてるから」


 ふふ、と太もも同士がからんだ。


「人は別人になったりしない。変わるときも、ちゃんと同じとこがあるの。いつか、アカネがフィエルよりカッコよくなること、あるかもよ? 私は待ってるよぅ」

「ゲームより、リアルの私が、かー……」


 話しているあいだに、だんだんと眠くなっていた。脳をちゃんと動かしているはずなのに、これ以上動こうとしていないような気もする。


「おやすみ」

「うん、おやすみ……」

 スティルインラブ育成シナリオ読了。キャラスト1話観て「???」って思ってたらその、そういう。すさまじい差し足、クラシックですでに大差勝ちしてたんで「俺の愛バが!!」ってなってたらこれだよ! でもなんか分かる気はするというか、抗いがたいものを抱えた人としては「これもいいよね……」って思う部分もありました。じゃあノーマルエンドの方も見てくるか……持ってるしおりぜんぜん使ってないし。

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