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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
4章 ドリームパーク:すべて未来を捧ぐなら

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163/166

163【隠された街!?】EDP開放【覚醒】(6)

 どうぞ。

 太陽フレアを享けて進化したドラゴンは、輝いていた。


 白いカーテンを通じて星空を見ているかのような、異様な美しさ。大きくなった翼を畳むと、彗星のような青い光の尾を放って、まるでエースパイロットが操作する戦闘機みたいに不規則な軌道で飛び始めた。尻尾は長いけど首が短くなって、全体的にジェット機みたいに変わっている。


『宇宙で生きてられるドラゴンってなんやねんw』『もう意味わからん』『逆に今まで分かってたのか……』『さすがに生物の枠超えてない?』『ナチュラルにバリア張れる時点でおかしいって!』『インフレ極まりすぎやろ』


 私はどうやら宇宙でも自由に泳げるみたいだけど、ディリードはちょっと大変そうだった。


「えっと、肩車しますか?」

「たの……いやいい」


 なんとか足場のひとつに着地して、ディリードは配信で使っていた三日月の刃をいくつも撃ちだす。遠距離攻撃にも対応しているあたり、ボスモンスターより強いかもしれない。ものすごい数が飛んでいった刃を、ドラゴンは光弾で撃ち落としていく。


「チャフまで使うのか。いよいよ、まともじゃないな」


 敵が早くなりすぎて、カジキの追跡もまったく追い付いていない。


「マズいですね、なんにも当たりません」

「減速はできないか」

「呪いならなんとか。でも、私もなんにもできなくなりますよ」

「相手が光属性なら、俺の力でなんとかなる。頼んだ」


 分かりました、とひとことだけ言って、呪いの準備をする。〈呪詛〉の種類と強度を指定して、それに見合った〈呪怨〉を受ける……そんなに難しいプロセスではないし、どんな相手にだって効く。けれど、〈呪怨〉はとてつもなく重い。


「とりあえず、新幹線くらい早いし……敏捷七割ダウンしてもらうね」


『反動キッツいでそれ』『草』『時速で70kmくらいになるか?』『高速道路ちょい遅いくらいか』『自分の速度も七割ダウンするんですがそれは』『そういえば呪術師だったわ』『今までのが変わり種すぎた』『まあでも呪ってるだけだと致命的に映えないし……』


 真っ黒い煙がすうっと飛んでいったかと思うと、全身にビシリと鎖が巻き付いて、体の中に浸透していった。ゆっくりと飛んできていた小さな隕石を避けられず、脇腹をドスンと貫かれる。


「――よし」


 視界の中で、ひどく大きな恒星に向かい合った黒いシルエットが、風景が歪んで見えるほどに黒くなっていった。


「〈死さえも絶える果てへエンド・オブ・ヴァース〉」


 鎧が砕け、剣の柄も砕け、全身がダメージエフェクトで埋め尽くされる。真っ赤なものが噴き出したかと思うと闇の剣に変わり、居合いのようにぐっと溜める構えを取った。ドラゴンは、さすがに避けきれないと悟ったのか、全身のエネルギーを胸に集める。


「ゴォオオァアアアアアア!!!」


 胸の中心にある宝石から、虹色の光線が発射された。ドラゴンブレスよりも何倍も巨大で、渦巻くエネルギーの大きさもすさまじいものに思えた。けれど。


「静かにしろ。死に音はない」


 一撃――


 す、と横薙ぎに宇宙を斬った闇黒が、果てしなく大きな恒星に真一文字を描いた。続いた真っ黒い爆発が、ドラゴンを飲み込んでいく。


「ガァアアッ、グゥオウァアア……!!」

「悪あがきはダメだよー」


 本体がいくら遅くなっていても、飛んでいく〈夢現(うつせず)栓封妨(せんほうぼう)〉の速度は変わらない。とつぜんブラックホールに抵抗できなくなったドラゴンは、絶叫しながら恐ろしい勢いで進んでゆき……ある一点に触れた瞬間に、爆発するように消し飛んだ。


『ああ、素晴らしい! なんという強さだろう』


『つっよ』『†死に音はない†』『これは最強』『マジで最強やん』『これに挑もうとしてんの?』『装備全破壊してもデメリットないんだよなこいつ』『ズルすぎて草』『コアショットに勝つのはだめでしょ』『圧倒的闇属性』


 つい一瞬前まで宇宙空間にいたようだったのに、風景がドームの中に戻っ……てもいなくて、ディリードが斬った空間はちょっと修復に時間がかかっていた。巨大モニターに亀裂が入ったときのように、戻ろうとする石材が少しずつズレたりゴリゴリと消滅したりしている。


「やりすぎたか。回復してくれ」

「はいはーい、鎧作っちゃってください」


 ポーションをたくさん使って、HPを消費しながら鎧や剣の柄を作り、全回復するところまで補充する。


『ウホッ、いい体♂』『細マッチョですか』『男の裸を見ても動揺しない……』『きょうだいいるんちゃうの』『誰もが筋肉好きではないので』『最強を名乗るには筋肉足らんのちゃうの』『見せ筋ないのは高評価』『ちょっとあたし好みなんだけど』『えっちだから服着ないで』


 時間あったらコメント読んでね、と言われていたけど、今はちょっと無視することにした。


「じゃー、戻りましょうか」

死さえも絶える果てへエンド・オブ・ヴァース


 モンスタージョブ〈ブラッディソード〉と〈剣士〉を両方習得し、かつ闇属性の広範囲大威力魔法を複数回使うことで覚えられる特技。最大HPの99%を消費し、指定した七つの装備を完全破壊することで、極大範囲に闇属性の斬撃を放ち、空間の崩壊と引力フィールドを発生させる。




[宇宙が終わるそのとき、世界に死は存在しない。死という死が終わり、熱という熱が失われ、星々はみな光を失って沈黙する。次の始まりが訪れる前の終わり、夜が明ける前の暗闇。黎明が切り裂くことのできぬ夜があったのなら、そこに果てがある。種よ眠れ、いずれさざめく花となれ]

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