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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
4章 ドリームパーク:すべて未来を捧ぐなら

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158【隠された街!?】EDP開放【覚醒】(1)

 どうぞ。

 一日あれば何をするか。ホウイは、他者と合わせること自体に慣れていないため、連携の訓練を行っていた。アヤコの振り回す鎖と分銅に適応し、レーネの速度に、とっこの臨機応変さに、アンナとサフォレの暴威にも適応した。


 そして、攻略の当日がやってきた。


「ではでは、仮想画角に入っていただきまして。始めますぞー!」


 第四の街「デュデットワ」城壁屋上、門番の許可を取って登った眺めを堪能しながら、集まったメンバーは配信のカメラに映っていた。


「びーばーえんじょいー。たてわきサフォレなんだぜー」

「どうも皆さんこんばんは、徒歩で来ちゃったとっこでございますよー。みなみなさま、ここがどこだか分かりますでしょうか!」


『はじまた』『待ってた』『こんー』『こん』『どっか買い取った?』『徒歩では来られんやろ(マジレス)』『ホームの屋上でしょ』『↑にしては高すぎる気がする』『たぶんデュデットワやんね』『風景的にデュデットワ確定』


 できうる限りの強者を集めたという――「水銀同盟」のフルメンバーにディリード、ホウイとアヤコのコンビ――この八人は、シェリーが風に煽られてすこし震えている程度で、高所に怯えている様子もなかった。


「さすがに皆さん、新しい拠点として用意されております街の風景、すでに覚えていらっしゃるようですなー。それでは正解の方を、サフォレさん!」

「もちろんデュデットワだよぉ。ただし、城壁の上だけどね」


 配信用の球体カメラ結晶がサフォレの手に収まり、デュデットワの街を見下ろしていく。


「あそこが中央広場で、あの筋が露店街と専門店街、あそこが冒険者ギルドで、その隣にあるのが運河の船着き場だよぉ。視界共有とマークって便利だねぇ、手ブレも気にならないし」


『はえー』『港はないのに運河がある不思議』『解説たすかる』『なんで登ったしw』『マジで配信って進化したよね……』『石材がいいよね』


 開いたコメント欄をある程度見ておくように、と言われていたが、あいまいに微笑む以外には何もしなかった。


「さてさて。今日あの“最強”ことディリードさん、そして〈ラフィン・ジョーカー〉を一撃で仕留めた“弓取”をお呼びたてしました理由というのが……」


 仮想画角が、城壁に差し伸べられた巨大な手のひら、そしてその上の男装した少女に向く。地上からは見上げるほど高い城壁、それを腹の高さ程度に見下ろす巨体は、あまりにも大きい。


『誰?』『これ深夜ゴーレムじゃね?』『デカすぎィ!』『城壁三十メートルくらいなかったっけ』『この人がマスターなん?』『なんか見たことある人いる』『ショタなのかロリなのかはっきりしろ』『↑体格で分かるだろJK』『胸あるんだよなぁ……』


「ボクの名前は「ジェロゥ」、今回の案内人だ。キミと、そこのキミは初めて会うね。キミが選んだ強者、ということでいいのかな、フィエル」

「はい。ホウイさんとディリードさんです」


 軽く会釈して、値踏みするような視線を浴びた。


「ふーん、〈猟師〉か。きちんと役に立つのを連れてきたな」

「ジョブが見えるんですか?」

「ああ。その程度は造作もないよ」

「マスタークラスNPC、ということか」


『またクセつよ連れてきた……w』『まともなやつはおらんのか』『↑色からして終わってる定期』『服装の形は常識に収まってるのが最高にアレ』『ボクっ娘なのに微妙に響いてこない……』『しゃーなし』


 全体的に青や緑系統の色で固めた、シルクあるいはサテンの煌びやかな布地に、スパンコールや鋲を打ってすさまじいまでに輝かせた、幼年の紳士とでもいったルックの少女。髪は短く刈っているが、ふんわりと丸まったクセは、愛らしさを隠せていない……その表情が倫理を手放した医師のようでなければ、あるいは口調がもう少しおとなしければ、かわいらしい少女だったのかもしれない。


「では、このゴーレムに乗ってくれ。「イニーズ・ドリームパーク」まで歩いて行く」

「あ、歩いてというのは……?」

「海の中にあるんだ。近付くとゲートが現れる」

「泳いでは行けないのか」


 残念ながらね、とジェロゥは眉ひとつ動かさず答えた。


 八人はスムーズに手のひらや肩に乗り込み、地響きを抑えながら歩くゴーレムで移動していく。


『どこにどんなフラグがあるのか一切分からんかったんやけど』『そもそも誰なん?』『海中都市があるとは言われてたね』『ふつうに船で次の大陸行くと思ってた……』『運河渡る程度の船ではなあ』『ゴーレム関連のマスタークラスって別の人じゃなかった?』『↑マジそれ』


 街の名前はアルファベットを冠している、という風説はすでに証明されている。ABCDと続いたEがどこになるのかは盛んに議論され、調査が行われた。結果として、海運に携わるNPCたちが口にする「エレニヴォーク」がそれらしい、という情報が出回っていたのだが……Dを冠する街が「ディーコノジーヴ」「デュデットワ」とふたつあったように、Eの街もふたつ、あるいはクエストを見つけられなければひとつのままだったのだろう。


「……フィエル。そろそろ海に入るから、壁でふざけるのはやめるんだ」

「あっ、すみません」


『スキル鍛えてたんか?』『名指しで注意されんの草』『¥500やめようね!』『何やってんねん定期』『壁面と水中、どっちが……下かな?』『ほんとに何してんだよw』『こっちは水没したらアカンのちゃうの』


 アクシデントとも言えないような小言ひとつ程度で、ゴーレムは海に分け入り海水をかき分けながら、指定された地点に到達したようだった。


「中にはセーブポイントがある。強敵ぞろいで、パーティーをいくつかに分ける必要もある。少数精鋭を頼んだのはこのためだ」


 ゴーレムの頭上に出現した空間のゆがみは、ワープゲートである。ダンジョンの入り口らしく、向こう側の風景が少し見えていた。


「キミたちは体を取り換えられるんだったな? 求められる能力があれば、それに適したものを使ってくれ。それくらいしなければ、勝てないからな」

「ではでは。新しい街の解放、しかも何重にも隠されたクエスト、警告付き。最強を結集したこのメンバーで勝てるのか! 行きますぞー!」


 ふ、と微笑んだジェロゥは、プレイヤーたちを置いてすたすたと歩きだした。

 準備パートは後付けすることにしました。パーティー組むとこで説明入るし……

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