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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
4章 ドリームパーク:すべて未来を捧ぐなら

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155 走れ走れと急かせば回る/確認は口に出してやるべし!

 どうぞ。

 ギルドホームに戻っていざ〈かける毒薬〉を作ってみると、どうしてアコンがなくならないのかがよく分かった。


 調合や製薬が上手くいけば行くほど、アイテムの消費数は減る。とりあえず抽出した液体、蒸留して濃縮した濃いやつ、乾燥させて粉末にしたもの――基本的に必要素材が二個、三個とどんどん先細りになっていくはずが、大成功するといくつも完成してしまう。スキルレベルやジョブレベルで成功率が上がるから、最初期から採れる素材の初期レシピだから、どうやっても失敗しない。


 しかも、山間から沢、湿気の多いところにあるアコンは、エーベルからカンデアリートまでずっと、薬草採取系クエストに付きまとってくる。モンスターから落ちるアイテムは、そのへんで取れるアイテムも含まれているから、本当にどこでも取れることになる。呆れるほどの数が集まるのに、どうやっても浪費しようがないから、「任意の素材を変換する」という裏技中の裏技でもないと……と言いたいところだけど、【愚者】はアイテムの入手数も質も上がるから、実質的に無駄だ。


「なるほどすぎるなー。でも、劇毒がこんなに量産できるなんて……」


 毒から猛毒、劇毒に死毒、壊毒といろいろあるけど、アコンはHPをぐいぐい減らしていく〈琥珀の砂毒〉にたどり着く。変換効率は驚異の十個/ひとビン、手間暇こそかかるけど、その価値はじゅうぶんある。


 劇毒は、一秒間あたり基礎ダメージを一回与えて、最大六スタックで十秒間持続すると書いてある。それ以上に増えると「凝結」ダメージが起きて本来ダメージを与えつつリセット――つまり、最低でも本来の数十倍のダメージを与えながら、スタック数が最大になると劇毒を一回完走したぶんのダメージを与えられる。こうやってちゃんと読んでみると、しっかり毒を用意している人がいるのも納得だ。


 呪符ひとつひとつにしっかり塗っても、ひとビンの使用回数は五十回くらいあるから、びっくりするくらい減らない。今後はずっと戦っていけるな、と思うくらいの数があるから、ひとまず作業を中止した。


「あんたも仕事人間だねえ。あたしも人のことは言えないけどさ」

「シシィもいろいろ作ってくれてたんでしょ? ありがとね」

「いいよ、別に。寝てるだけなんて性に合わないからね」

「そっかー。作ったやつ、自分でも使うよね?」


 そりゃねえ、とちゃんと意識のあるモンスターらしく、骨をかたかた鳴らしておどける。


「悪いね、マスターのためだけに動くモンスターじゃなくて。ま、助けにはなれるように、いろいろやってみるつもりだけどね」

「うん、がんばって。何かしてほしいことある? 進化のためとかなら、いろいろできるけど」


 うーん、とシシィは首をひねる。


「骨になっちまったら、肉は取り戻せるのかってのは気になるねえ。戻らないんなら、骨なりの技術を身に付けなきゃあもったいないし、戻るんなら真っ当に医者に戻るのもいい」

「骨からゾンビに、ってこと? 人間には戻らないと思うけど」


 アンデッドとして進化していっても、吸血鬼とか死霊とかにしかならないのが常識だ。アンデッドはたぶん「死の向こう側」で、こっちには戻ってこないのだろう。そういう感じのことを伝えると、「ふーん」と微妙に納得していないような声を出した。


「じゃあ、そうだねえ。骨のままでできることを考えようかね。あんたはどうするの」

「作り置きが正解だけど、ちょっと別のこともしようかなー。今日が勝負どきだから」


 火力を出す方法は分かったけど、後でも同じことができるなら、もう少し別のことも考えた方がいい。魔法も鍛えておかないと、在庫が尽きたとたんに何もできなくなってしまうから……やっぱり、フィールドに出て戦った方がよさそうだ。


「んー……もうちょっと玉華苑いじろうかな。ここにもいろいろ売ってるはずだし」


 デュデットワには、露店街の小っちゃい屋台ではなく、あの石ころの専門店がある。聞いてちょっと驚いたけど、どうやら一区切りらしいここは、次の大舞台に備えるための一大拠点のようだった。妙に品質のいい武具もあるし、港がないのが不思議なくらいだ。


 ギルドホームを出て、露店街から専門店街に向かう。盆栽みたいなマークのあるところに近付くと、何か一人で話している人がいた。どうやら配信しているらしい、とちょっと時間が経つまで買わないウィンドウショッピングでもしようかなと思ったら――


「ん? あっ、ちょっと待てよ! カメラここで留めて、ちょっとこっち向いてろい」


 このあいだ調べていたときに出てきた、バーチャルタレントの人……たしか。


「初めまして、後矢(しりや)レイヴンと申します。あなたは確かプロミナさんでしたね」


 全体的に、青っぽいレザーや波模様のレースを多く使った、ボンデージな感じの女性だった。瞳孔は横に開いていて、顔立ちはすごくきれいなのに、異様な迫力がある。かなり不思議なまとめ方をした髪のあちこちが溶けてにゅるっとしているから、スライム系だろうか。カラスっぽい印象はまったくないから、名前は複雑なもじりなのかもしれない。


「こちらこそ初めまして、プロミナです。たしかO-Levelの人……?」

「はい。あなたについては、ご本人からの許可あり次第辻映りいつでもオーケーと、お聞きしていまして。お時間いただいてもよろしいでしょうか」

「あ、いいですよー。ちょうどいろいろしようと思ってて」

「あの、少し……その。お恥ずかしいのですが、あのお店にあるアイテム。仕様がよく分からず、どなたかにお聞きしようかと思っていたのですが」


 なら大丈夫です、と私はかなり盛った胸をどんと叩いた。


「お隣でお教えできちゃいますので!」

 イカ=烏/賊→カラス/ぞく(鏃)→レイヴン・やじり→後矢(しりや)レイヴンという風になっております。NameLLL(ねむる)は夜モチーフ、O-Levelは海モチーフ、まあうn……どっかには花系とかリアルライブやれる系もいるのかもしれない(適当)。ぶっちゃけゲームやるのとNOVAでスペース作るのどっちがコスパいいのかな? って考えると、サロン化・カルト化が進みそうなスペースよりゲームの方がよさそうなんだよね。またNOVA廃人の話でも……これは設定集の方にでも書きましょうか。

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