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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
3章 噴血いと烈しきは生まれ出ずる折の

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124 果報はたまにあっちから突っ込んでくる

 どうぞ。

「おつかれさまぁ、みんな! ごめんね、頑張ってもらっちゃって……」

「え、うん。まさかだよ……というか、こんなことしてよかったの?」

「あそこはとても自由でしたがー……しかしですな。訪問者が絶えず、つねに誰かが常駐していないといけなかったのです。オンラインゲームは拘束時間が長い、とは言いますが。遊びよりも折衝に費やす時間の方が多いのでは、仕事と変わりませんぞ」


 デュデットワの外壁近く、プレイヤーが購入できる建物のひとつに、私たち「水銀同盟」は集まっていた。前の木造の建物もよかったけど、適度に石組みが入っているのもけっこう好きだ。



――今回の「ブレイブ・チャレンジャー!」という企画は、景気よくギルドホームをぶっ壊す口実だったのですぞ。



 とっこの発言には、さすがに度肝を抜かれたけれど……言われてみればその通りで、いずれは取り壊して移設しなければいけなかったと思う。エーベル近郊ではあるけど、歩いて行くにはちょっと遠い距離だし、周辺でできることもあんまりない。だからこそギルド対抗戦ができたけど、毎度参加を打診されたり、ギルドごとの折衝のために奔走するのは、さすがに大変だったみたいだ。


「掲示板でデュデットワの情報が出たあたりで、こっちに来て情報収集をしてたの。そこで衝撃的なことが分かっちゃってねぇ……」

「なになに。もったいぶらずに教えて?」


 騙されていたわけではないけど、知らずに戦っていた。結果がどうあれ、未来はそんなに変わっていなかったと思うと……ちょっと、説明が欲しかった。


「ここ、コロシアムがあるの。しかも、ギルド対抗戦もできるシミュレーター付き。この街が解放された瞬間から、「ギルドホームや略奪を懸けた限界バトル!」っていうのが、完全に思い込みで茶番になっちゃったんだよぅ」

「そういうことなのね。とっこも何か言いたそうだけど」


 シェリーが視線を集めさせると、とっこは「ふっはっはー!」と両手を広げた。


「じつは! 運営様から連絡がございまして!」

「えっなに」

「『ストーミング・アイズ』配信、収益化の許可が下りましたぞ!!」

「「「おぉー!!」」」


 配信への最大同時接続数が三万近くまで膨れ上がり、ゴールデンタイム以後で視聴されているメタバース・チャンネルの注目動画ランキング百位以内にも載った。切り抜きの勢いもいいから、とうとう公式がインフルエンサーを使って宣伝することを決めたようだ。


「大企業相手に営業をかけられるほど伝手もありませんし、自社ゲームの配信を嫌がる企業もありますので、今まではお目こぼしだと思っておりました。しかし、宣伝に使える規模になるかどうか、ゲームバランスの調整に役立つかどうか。冷静に時間をかけて、判断なさっていたようなのですな」

「お相手のこともありますから……。ご迷惑にならずに楽しめるのなら、わたくしは何でもいいのですが」


 狂戦士すぎるレーネに、一同がなんだか妙にやわらかい雰囲気になった。


「そうだよね。私たちみんな、ふわっとやってるだけだもんね」

「運営からの連絡って聞いたら、ちょっとびくってしちゃったもの」

「わかるよー。凡人組だし!」

「そういう冗談やめてね……」


 シェリーはいつも通りだ。


「というわけで! 我々「水銀同盟」は、公認インフルエンサーとなったのだぁ!」

「やりましたぞぉおおお!」

「こ、ここでいいの……?」

「私たち、けっこう好き勝手やってない?」


 懐が広いのですねと言ったレーネに、とっこは「そうです」とうなずいた。


「いろいろと基準はありますが、いちばんは「ゲームを楽しんでいること」。いろいろと妙な攻略方法も受け入れてくれる、楽しいスタイルですぞー」

「反省会じゃないけど……じっさい強敵とばっかり戦ってみて、どうだった?」


 サフォレの言葉は、とても優しかった。


「やはり、強い方は多かったのですが……ゲームをより深く理解されている方が、とても強かったように思います。正直、限界を感じました」

「ホウイさんもディリードさんも、ほんっとに強かったね。両方、ひとりで来てくれたから勝てたけど……仲間がいたら、負けてたと思う」


 ディリードとはちゃんと戦っていないけど、不意打ちすらまともに成功しなかった。五人が束になってもやっぱり勝てなかったんだろうな、と思っているけど……勝つ方法があるなら、やってみたい。


「私みたいに、サブキャラ作ってみない? 楽しいよぉ、いろいろできて」

「うん、いいかも。なんとなく、やりたいビジョンできたし……どうせなら、ディリードさんにちゃんと勝つのもいいよね」

「おおっ、たいそうな宣言をなされましたなー。ぜひぜひ!」

「あの人の動き見てて、ちょっと違和感あったっていうか。あの人がされたら嫌なこと、分かっちゃったかも」


 剣を振るときの位置調整を、執拗にやり直していた。あの動きにはちょっと覚えがあるというか、どうしてああなったかが類推できてしまう。


「たぶんあの人、オート回避すっごく苦手なんだと思う。狙うときの握り、三回くらいやり直してたし」

「あの時間で見てたんだ!?」


 当たらないかも、という疑いがすごく濃かったから、不安がこっちにまで伝わっていた。つまり、相手を揺さぶり続けて、こっちだけ当てられる攻撃をすれば、あの人を倒せる。


「いろいろヒントはあったから、作ってみようかなー。それに、負けるよりヤなことあるし」

「おや、なんでしょう。そこまで嫌がるものですか?」

「面白くないこと。絶対やだ」

「らしいなぁ。楽しそうだし、サプライズでやってくれていいよぅ」


 了解、とひとこと残して、私は新しいギルドホームの外に出た。




「お待たせしました」

「待つのは慣れてるよ。やることがあったから、待っていないと言ってもいい」


 寒色系のギラギラした服を着た、ボーイッシュな格好の変な人……ジェロゥがそこにいた。


「何やら相談事をしていたようだけど、方針を決めていたのかな」

「はい。お金でもお仕事でも、払えるものはお支払いします!」

「取り引きね、いろいろと用意はしてきたが。何が欲しいのか言ってごらん」

「魂の魔石の、えっと……」


 計画と理想形をそのまま口にすると、「ああ、あるね」と投げ渡された。


「キミたちの間でも、すぐに廉価で出回るだろう。取れすぎるからな、これは」

「え? っと、ただでいいんですか?」

「これはキミの言ったままの性能をしている。別に、売るようなものじゃない」

「それじゃ、いただいちゃいますね」


 磨いた宝石と引き換えに、私はきらきらと輝く「魂の魔石」を手に入れた。

Q:なんで今までスパチャ飛んでなかったの?

A:『SI's』の運営が収益化許可してなかったから(解禁されました!)


 ゲーム配信はよそ様の軒を借りている状態なので、ゲーム運営会社の許可がないと収益化・スパチャ解禁はできません(事実)。現実でも過去にアレなトラブルが起こっているので、作中世界でもまあそうだろうな……っていう認識。当初から色々やりたい展開がありまして、そのために段階を設けております。違和感を持っていらっしゃった読者の皆様には申し訳ない……。


 サブキャラの姿を完璧に予想できた人には「亜空間検定零級:実質本人」の称号を進呈します。かすった時点ですごい……わけでもなく、ちょくちょくヒントは出ていたり。

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