表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
3章 噴血いと烈しきは生まれ出ずる折の

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/166

102 たまには真面目な対策会議

 今回は真面目です(タイトル完全無視)


 どうぞ。

 翌日の夜、私たちは全員で集まっていた。最近よく見る円卓に座る五人は、たぶんみんな渋い顔をしている。


「うーん。すごいことになっちゃったねぇ……」

「サフォレで来るくらいだもんね」


 会話に一瞬たりともラグを発生させたくない、という考えの表れだ。NOVA経由の音声チャットをつないでも、当然何の問題もない。けれど、同時接続数8000人の中で起きた……千人以上倒した「白バニーさん」が一撃で倒された、という大事件は、まとめサイトでも取り上げられるほど話題になっていた。


「本当に気付かなかったんですか?」

「ぜんぜん。音もしなかったし、かなり距離あったんじゃないかなー……」

「フィエルさんと同じく、リアルスキル組ですかなぁ。数分で異名が付くだけのことはある、といったところでしょうな」

「ま、負けちゃう……」

「いやシェリーは死なないでしょ」


 メタバースやVRゲームでたまーに聞く「リアルスキル組」という言葉がある。楽器でいう運指の巧みさ、武器を振るうときの滑らかさ、ダンスのセンスなんかは、ゲームで設定された動きではカバーしきれないものがある。練習した人に「〈軽業〉と〈面歩〉があってもボールでトランポリンはできなかった」と言われたから、私もリアルスキル組らしい。木刀で薪割りができる、というレーネもだけど、自分では未熟者だと思っているようだった。完熟だったらどうなるの、と聞いてみたくもあるけど、ちょっと怖い。


「弓矢はアシスト強めでして、基本はまっすぐしか撃たないものなのです。アシストをカットして、しかも夜の闇の中で当てるのは……本物にしかできないことでしょうなー」

「わたくしのように薪割り程度でとどまるものではなく、しっかりした経験のある方でしょう。恐ろしいことです」


 キャラづくりの語尾がちょっと崩れるくらい、とっこにとってもショックなことみたいだった。


「フィエルは、狙撃についてどのくらい知ってる?」

「なんかこう……こうやって、ズキューン! って感じ?」

「アサルトライフルかぁ。漫画だね」

「夜の森で、しかも弓で狙撃するのも、ライフルと同じ考えでいいの?」


 シェリーの発言は、たしかにその通りだった。けれど、サフォレは「たぶん同じでいいよぉ」と頬杖から開いた親指で頬を叩く。


「遠いところの目標に当てる、って意味だと似てるからねぇ。体の使い方は違うけど、やり方は似てるはず」

「じゃあ、何に注意したらいいか教えて。本戦でもこれになったら、いよいよヤバいよー」

「もちろんですぞ! といっても、とても簡単でして」


 スポッター、と……四人の言葉が思いっきりかぶった。


「あ、えと。じゃ、じゃあ私が……?」

「お願いしてしまいましょう」


 ゲーム内ではあんまりないけど、湿度やなんかの関係で、遠くにある目標の位置がズレて見えることがあるらしい。そういうズレを、現地近くから情報を送って修正するのが「スポッター」らしかった。


「おそらく人間ではありませんな。そこまで完璧に隠密行動ができるのなら、そのまま攻撃した方が早いはずですので。それだけに特化した超小型モンスターがいるものかと思われます」

「それ、探すの……?」

「簡単ですよ。夜目の利く、飛べる生き物は数種類しかいませんから」

「えっ」


 レーネがきゅきゅっとホワイトボードにイラストを描く。すごく早くかんたんに描かれたデフォルメイラストだけど、すごく上手い。


「まずはフクロウ、次にムササビかモモンガでしょうか。大きくても一抱え、手乗りサイズでしょう」

「妖精とかは?」


 ないと思うよぅ、とサフォレが目を細めた。


「妖精はちょっと光ってて見つけやすかったり、目だけのモンスターもその形で目立ったりするからねぇ。地に足ついた生き物の方が、結局強いんだよ」

「夢ないねー……」


 たぶんなんだけど、とシェリーが続ける。


「まず音から位置を特定して、森の中を飛んですぐ近くに止まらせるの。しばらく監視を続けながら……たしか、〈調教師〉って視界共有とかのスキルもあるんでしょ? 遠くからの視界と、近くで見たのを重ね合わせて撃てば」

「タイミングも狙いも確実になる、ってことかー」

「ファンタジーな要素もちゃんと活かしてて、凶悪だねぇ」

「本職かと思うほどの手腕ですな」


 私は、遠くからでもめちゃくちゃ目立つ。〈ギガントスケール〉で巨大化したボールの跳ねている音はめちゃくちゃうるさいし、雷や氷の魔法はけっこう音が大きい。相手のやり方をこうして考察してみると、絶好のカモすぎる。


「でも、なんだけどさ」

「……そうなの。たしかに炎上はしてるけど、そうでなくても……」


 人気配信グループのメンバーがバトルロワイアル中に謎のドロップアウト、という見出し。あぶり出せ引きずり出せ倒せ復讐しろ、とめちゃくちゃなコメントがいくつも並んでいる。当然、冷静な人は「そういうルールだし覚悟の上だろ」と諫めてくれているけど、過激なコメントで埋まりかけていた。


 けれど、肝心の“弓取”はまったく表舞台に出てこない。偶然狙ったなんてわけもないし、誇っても許されるはずだし……私は「本戦では勝つからね!」と配信終わりに言ったのに、何も答えがない。


「BPBは私たちが抑えるから、フィエルには“弓取”を任せちゃうよぉ。本戦までちょっと調整あるから、いろいろ整えてきて」

「うん、わかった。次のジョブとか……別の装備も、ちょっと欲しいし」


 予選の日に復興完了していたらしいエーベルへと、テレポートした。

 次の章でやる内容がだいたい決まりました(フライング)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ