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首刈兎は今日も行く!~三姉妹とのペットライフ~  作者: 真田 蒼生
最終章「首刈兎は主人とともに……」
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第11話

本日同時投稿です。

「――準備いいか?」

「ん、もうちょいまってくれ」


ベルが広場から去り、デスペナルティが解除されるまでの時間がたった。

俺は、キラから渡されたデスサイスをぶんぶんと振り回して使い慣らせている。

勝っても負けても手に入るんだから先に使えばいい、そうキラに言われたからだ。

しばらく振り回し、重さに慣れたと思ったところで、キラに声をかける。


「うっし、おっけー」

「ほいほい、それじゃさっそく始めようぜ」


そしてキラはウィンドウを操作し、俺への決闘(デュエル)の招待を送信した。

それの承認ボタンにタッチすればウィンドウが消え、決闘開始のカウントダウンが始まる。

俺とキラは距離を取り、お互いに武器を構えて開始の合図を待つ。


「ルールはなし、即死技でもなんでもござれだ。OK?」

「オッケー」


ちょうどその言葉を交わしたタイミングで、カウントが0になり決闘が開始された。


「《首刈り》、《ハイジャンプ》!」


それと同時に即死技(いつもの)を繰り出す。

これが俺の決闘の時の脳死行動(テンプレート)

当たれば御の字、避けられたらそこから普通に決闘開始だ。

結果は……


「ま、当たらねーよな」

「当然」


軽いステップで避けられた。

楽しそうに返事をするキラに向き直り、再び構える。


「それじゃ本番と行くか」

「おう、ルールはないんだ。俺を楽しませてくれよ!」


うすうす思ってたけどこいつ絶対戦闘狂(バトルジャンキー)だよ。

そのまま俺たちは同時に駆け出し、本格的に決闘が始まった。


―――ベル―――


「終わった!」


表示されたクリアの文字をほとんど見ずにウィンドウを閉じる。


「ありがとうございました!」


手伝ってくれた人たちにお礼を言って、駆け出す。

向かう場所は、ラビ君がいた時計塔前の広場。


「おねがい……間に合って」


祈るようにつぶやきながら、私は走った。


―――ラビ―――


「うらぁ!」

「おっとあぶねっ! ……んじゃお返しだ!」


大鎌パンチ(右ストレート)を繰り出す。

頬を掠めただけに終わる。

キラの剣が振り降ろされる。

紙一重で避ける。

お互いに距離を取って小休憩。


「いやー、よく避けるなぁ」

「ヒットアンドアウェイが好きなんでね」


楽しそうに言うキラと、すこし苦しそうに答える俺。

どちらが優勢、どちらが劣勢なのか、聞くまでもない。

決闘が始まって数十分ほど。

かなり厳しい状況だ。


「でもまぁ、野次馬(ギャラリー)たちがそろそろ飽きてくるだろうし、そろそろ終わらせるか」

「簡単に言ってくれるなおい」

「お前もそろそろ限界だろ?」

「うっせ」


まぁたしかにそろそろ精神的にもきつい。

負けてもデメリットらしいデメリットはないんだから、もういいんじゃないか?

そんな考えが頭を巡ったとき、


「――ラビ君!」


どこからか、ベルの声が聞こえてきた。


「……ベルさん?」


聞こえた方を向けば、野次馬の中からベルが出てきているところだった。


「……どーぞ」

「……さんきゅ」


空気を読んで(?)キラが行くように言ってくれた。

とりあえずベルさんのもとへ急ぐ。


「えっと、どしたの?」

「ラビ君……わたし……」


野次馬たちが見守る中、彼女は……


「私、やっぱりラビ君と別れたくない!」

「「「おいさっさとこいつ殺せ」」」


盛大な爆弾を投下した。

ちょっとその言い方は誤解を招くどころか殺意を招いてるんですが。

やめろキラ、やっとく? みたいな顔すんな。


「えっとあの……ベルさん?」

「だから……あの……これ」


そういって、ベルはウィンドウを操作した。

そして、俺にあるメッセージが届いた。


「これ……」

「ごめん……やっぱり、迷惑だった?」


申し訳なさそうに言うベル。

一方俺は、そのメッセージを見て、


「……ぷっ」

「……ラビ君?」


笑ってしまった。


「ごめん、ちょっとな」


そこまでするか、とかよくやる、とかそんな感情がね?

まぁとりあえず、


「ありがとう、ベルさん」

「え?」


そう伝えて、俺は、メッセージの承認ボタンを押した。

ウィンドウが表示される。

そのウィンドウを横目に、キラの方を振り返る。

そして、手に持ったデスサイスを、


「これ、返すわ」


キラの足元へ投げた。

作った人に申し訳ないとは思うが、許してほしい。

対してキラの反応は……ない。


「お前、それ」


おそらく俺の頭上のネームバーを見ているからだろう。

俺のプレイヤーネームだけが書いてあったネームバーには、とある名称が追加されていた。


『ギルド:ヒナの家族』


「すまん、負けられなくなったわ」


表示されたウィンドウにはこう表示されている。


『ギルド:ヒナの家族 に入会しました。』


「……そか」

「すまんな」

「いや、いいよ」


キラは、首を横に振りながら、


「負かせれば一緒だ」

「そか」


武器を構えた。

俺は、ウィンドウを操作して、マンティスサイス(相棒)を装備した。


「じゃ、行ってくるわ」

「あ……うん」


彼女にそう伝え、キラの方へと向かう。


「ラビ君」

「ん?」

「……勝ってね」

『《使役》スキルが使用されました。任務遂行のためにステータスがブーストされます』

「……おう」


使役スキルを受けながらも、キラと相対する。


「一発で終わらせるか」

「そうだな」


そうして俺は突撃、キラは待ちの構えを取る。


「いくぞ」

「おう」


そして駆け出す。


「《首刈り》《ハイジャンプ》」


いつものスキルを発動させ、突撃する。

全力で飛び上がり、キラに迫る。

しかし、


「俺の勝ちだ!」


キラはかすらせながらもその一撃を避けた。

そして、通り過ぎた俺に対し、攻撃を繰り出そうとする。

……まだだ。

半ば無理やりに空中で体を反転。


「《エアジャンプ》!」


スキルを使用して、再びキラへ迫る。

不意を付けたのか、キラは動けず……


「俺の、勝ちだ」


数秒後、決闘終了のアナウンスが流れた。


『勝者:PlayRabbit』

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