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首刈兎は今日も行く!~三姉妹とのペットライフ~  作者: 真田 蒼生
最終章「首刈兎は主人とともに……」
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第8話

ルシに3姉妹を任せることにした後、手持ち無沙汰だった俺は長らく触っていなかった森林エリアの3層の攻略を進めることにした。


「――よいしょぉ!」

『ギュァアア』


繰り出された大振りの攻撃をよけ、そのまま鎌で切り裂く。

その一撃でHPが0になった敵モンスターは粒子となって消えていく。

あとには獲得経験値とアイテムのウィンドウだけが残った。


「うっし、今日はなかなか調子いいな」


このまま3層攻略できるかもと、だれに伝えるのでもなく一人つぶやく。

モンスターを倒すごとに聞こえてきた、お疲れ様の声はもう聞こえない。

そのことを、少し寂しいと感じてしまった。

いつの間にか、彼女たちを一緒にいることが、俺の中であたりまえになっていたらしい。


「あほか」


自嘲気味につぶやく。

そもそもが偶然と成り行きの結果だった。

偶然迷子のヒナを発見して、成り行きでALOについて教えることになって、偶然《契約》の裏技を見つけて、そのままの成り行きで一緒に行動することになったんだ。

すべてが偶然の結果。

切ろうと思えばすぐに切れた仲だったはずだ。

なのに……


「……あぁもうわっかんねー!」


考えがまとまらないことにイラつき、頭をガシガシと掻く。

そんなとき、先ほどまで日の光を受けて明るかった足元が、影で覆われた。


「なんだ?」


見上げてみれば、そこには巨大な虫型のモンスターが存在していた。

攻略サイトで見かけたモンスター『フォレストバグ』、3層のボスだ。

いつのまにやらボスの出現エリアまで歩を進めていたらしい。


「……ちょうどいいや」


大鎌を構え、戦闘態勢をとる。


「八つ当たりに付き合え――《ハイジャンプ》」


そのまま、スキルを駆使して向かっていった。



「……あーちくしょう」


数分後、俺は広場に備え付けられているベンチに腰掛けながら、溜息をついていた。

意気揚々とボスに向かったはいいが、レベルが足りなかった。

本来ボスとは集団で倒すものであり、一人(ソロ)で倒せるものではない。

もう一度大きくため息をつき、戦闘前に考えていたことを思い出す。


「……考えてみたら、えらく長い事一緒にいたなぁ」


サービス初期の出会いから始まり、初のキャンプイベント、夏の海エリア、カジノや遊園地、クリスマスイベントでの騒動。

1年という、一瞬のようでそうでない時間、彼女たちと行動を共にしてきた。


「……なんで俺、ベルさんたちと一緒にいたんだろうか」


本来優先すべきゲームの攻略をそっちのけで彼女らと一緒に行動していた理由は何であろうか。

深くベンチに腰掛け、空を仰ぎ見ながら考える。

……やがて、一つの答えが浮かんできた。

……そっか俺は……


「あほか」


先ほども呟いたのと同じことを言う。

しかし意味は少し違う。


「……まだルシのとこにいるかな」


立ち上がり、目的地へ歩き出そうとする。

……しかし、


「よっす」


そんな俺を、呼び止める者がいた。

アオイです。

この前遊戯王のカードをうっぱらいました。

15000円になりました。

ウハウハです(*^^)v

そこまで高いカードは持っていなかったんですが、総数100枚という数がものを言いました。

やはりあれは名言ですね。


「戦いは数だよ兄貴!」

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