第4話
「お、お兄ちゃん、もうやめて……」
「なんで?」
為すすべなく寝かされている態勢で俺に懇願してくる三兎に、嗜虐的な笑みを携えていう。
「もう、限界」
「そか……でも兄ちゃんまだまだいけるよ?」
そんな会話をしながら、起き上がろうとする三兎をまた押さえつける。
「や、やめてってば……」
「やだね」
上目づかいで訴えてくる三兎をスルーしながら、また起き上がろうとしているところを押さえつける。
「もうやだ……」
「んじゃ……そろそろいただきますかね」
もはや諦めた目をしている三兎をみて、そろそろいい頃合いと判断する。
そして抵抗の意思のなくしたその体に手を伸ばし……。
「この鬼ッ!」
「ぐはっ!?」
突如として脇腹にボディブローを食らった俺はゲームのコントローラから手を放してしまった。
「今のうち!」
その隙に三兎はコントローラを操作し、先ほどまでダウン復帰からのまたダウンをくらわせる、通称起き攻めを食らっていた自身のキャラを立ち上がらせた。
そのままコマンドを入力、コンボ技が発動した三兎のキャラにより俺の操っていたキャラのHPが0になってしまった。
「やったー! 勝った!」
「おま……格闘ゲームで現実で技繰り出しちゃダメだろ……」
「あ……ごめんつい。痛かった?」
「かなり……」
今だ悶絶していた俺に気付き、三兎は謝罪をし、心配をしてくる。
「でも勝負は私の勝ちだよ。コンビニに買い出しよろしくね!」
「しってるか? 鬼とはお前みたいなやつのことを言うんだ」
悪態をつきながら、兄妹で格闘ゲームをしていた理由、コンビニへの買い出しにしぶしぶ出かけた。
現在1月の4日。正月が過ぎ、初詣や親戚の集まりなどがひと段落したころだ。
「さぶっ……」
当然ながら外は寒い。
手袋に包まれた手をさらにポケットに突っ込み、コンビニへ向かって歩き出す。
「……いつまで……か」
道中、美鈴さんに言われたことを思い出していた。
いつまで自分たちと居てくれるのか。
その言葉が頭から離れない。
「というかなんで俺美鈴さんとこんなに一緒にいるんだろ?」
やっぱ弁当作ってもらえるからか?
美味いもんな美鈴さんの手料理。
しかも一人暮らしでゲームに金を使うもとい節約生活を送っている俺にとって格安で作ってくれる上かなりおいしい彼女の弁当は俺の中で重要なものになっている。
「んー、なんか違う気がする」
じゃあヒナやサイカか?
あの二人は俺に懐いてくれるし……これもちょっとちがうなー。
「あー……わからん」
改めて考えてみるとわからないことって多いよなー……。
しばらく考えながら歩いていると、スマートフォンに着信が入った。
差出人は……ALO運営。
登録していたメールマガジンの配信だ。
「なになに? 新規アップデートのお知らせとな?」
ほほう?
興味を持ち、メールを開く。
…………ふむ。
「……ちょうどいいかな?」
ある意味ナイスタイミング?
アップデート内容にはこう書いてあった。
『ギルドシステムの導入』
アオイです。
ガチャりました。
爆死しました。
友人が綺麗にピックアップ両方当てました。
ヤっちゃっていいですか?




