第2話
―――比嘉咲 美鈴―――
「――あ、彩華!」
「あ、姉さん」
「雛美は?」
「わからない」
たくさんの人で混雑している神社周辺。そこで妹の彩華と合流し、さらに雛美の行方を尋ねる。返事は首を横に振るだけ。お互いに収穫はない。
「どこ行っちゃったんだろ……」
「危ない事とかはしないし大丈夫だとは思うんだけど……」
顔を見合わせ、末の妹の行方を心配する。3人で初日の出を見に行こうとこの神社まできて、あまりの人の多さにはぐれてしまったのだ。あぁこうなることを予想して雛美に携帯を持たせておけばよかった……。
「……ねぇ、姉さん」
「ん? なに?」
さてどうしようかと考えていれば、彩華が言う。
「なんかこの状況、懐かしいね」
「え?」
この状況?
「ほら、お兄さんと初めて会ったとき」
「あぁ……」
そっか……たしかにラビ君……遊兎くんALOで初めて会った時も、雛美が迷子になったのがきっかけだったね。
「そういえばあれからもうちょっとで一年たつんだ」
時がたつのは早いと言うかなんと言うか……って、
「そんなことより……いや、そんなことじゃないけど、雛美を探さないと……?」
携帯に着信だ……誰だろ。え、遊兎くん!? え、いきなりなんだろ。こんな時間に……もしかして明けましておめでとうとか、そんな? え、ほんとなんで?
「姉さん……とりあえず受けたら?」
それもそうだね。
「あ、もしもし遊兎くん? どうしたの? ……え?」
――稲葉 遊兎――
「――お、きたきた」
「あ! お姉ちゃんたちだ」
電話で指定した場所で待機していれば、ヒナ同様振袖を来たベル……じゃない美鈴さんたちがやってきた。
「ゆ、遊兎くん……あけましておめでとう?」
年あけてるのかね? そういや今何時だろ。
「えっと、お兄さん?」
「ん?」
美鈴さんの後ろに控えていたショートヘアの少女が話しかけてくる。
「えっと、サイカか?」
「はい、こっちでは彩華という名前です。はじめまして……ですかね?」
「そうなるな」
地味にサイカとヒナ……いや、彩華と雛美と会うのはこれが初めてだったりする。こっちで遊んだりすることとかなかったからな。それにしても……
「……? なんですか?」
「イエベツニ」
あれですね。着物系はないほうが似合うといいますかなんというか……あれモノホンだったんですね。いや、中学生のみでそれとは、うちの妹とはおおちが――
「お兄ちゃんたこ焼き3つ買ってきて。自腹で」
「あっはい」
なんだろう。そういうセンサーでも持ってるんだろうか。とりあえず行ってきます。
「―――へー、そんなきっかけがあったんですか」
たこ焼きを購入し帰ってくれば、3姉妹+妹が仲良く話していた。ホント女の子は仲良くなるの早いですね。まぁもとから仲良かったし?
「ただいま。何の話してるんだ?」
「あ、遊兎くんおかえり。えっとね、遊兎君と初めて会った時の話をしてたんだよ」
初めて会ったとき? ……あぁ、ALOのね。
「そういやあの時と状況にてるな」
「私もそう思ってたんだ。こういうのなんていうんだっけ……デ……デス?」
「デジャヴね」
死んだらあかん。
「そうそうそれそれ。それでね?」
そう、美鈴さんが話そうとしたとき、
「比嘉咲さん! 比嘉咲さんじゃないか!」
そんな声が聞こえた。声の聞こえたほうを向けば……
「僕だよ! ゼロタイムこと――」
「「うわ、デジャヴ」」
つい言ってしまった。……あれ? いま美鈴さんも「うわ」とかいった?
アオイです。
家のルーターがぶっこわれました。おかげでその日はろくにネットができずすぐに寝ることに……。
そして次の日、することもなくボーっとしていれば、家族に言われました。
「あんた、パソコンしかやることないの?」
……ちがうんや。おれは予定がないんじゃない。予定を作らないんやっ! 友達がいないんじゃない。遊ぶ友達がいないんやっ!




