第9話
「えぇっと……待合室は……ここか」
予選を終え、試合まで待合室での待機を指示された俺は、指示通りにスタジアムにある待合室へと向かった。中に入れば、すでに予選を通過したプレイヤーたちが何名かおり、その中にはプレイヤー同士で独自に決めたランキング上位のプレイヤーたちもいた。しかし顔見知りというわけでもないので、特に会話などはせず、部屋の隅で待機していようと思った矢先、二人のプレイヤーから声を掛けられた。
「おい」
「ちょっといいかな?」
「ん?」
振り向けば、片方は真っ黒なスーツのような服の上にこれまた真っ黒なマントを身に付けており、もう片方は逆に真っ白な鎧を身に付けていた。そんな対照的な二人が、俺の前に立ち、話をしてくる。
「いきなり申し訳ない。僕はアダムス。あぁ、救世主って名乗った方がいいかな?」
「……破壊神……魔王だ」
「あぁ……」
ぽいわ。見た目から入ってるわぁ。まさに勇者と魔王だもんな。
「PlayRabbit……まぁ、ラビってよんでくれりゃいいや。そんで、何の用だ?」
「きみには言っておきたいことがあってね」
「我もだ」
おお、魔王さんの一人称我なのね。RPから入ってますねぇ。んで、二人が言っておきたいこととな?
「なんだ?」
「我が天使のことだよ」
「我が女神のことだ」
「……は?」
何言ってんのこいつら? 天使? 女神? なんじゃそら。
「あのまさに天使の笑顔がいつも君に向けられていると思うと、我慢できない」
「あの美しさを、貴様がいつも目にしているのが我慢ならない」
「……あぁ」
だいたい察した。こいつら学校の奴らと一緒か。ベルに一目ぼれとかそこらか。
「それで?」
「勝手な話だが、僕が勝ったら天使を紹介してもらいたい」
「我にもだ。女神の紹介を所望する」
勝手なことを……まぁうん。わからんでもないよ? ベルはかわいいもんな。 わからんでもないが……。
「まぁ、あれだ。冷静に考えろ? 見知らぬ奴を俺に紹介してもらったとして、彼女はどう思う? 好意的にとらえると思うか? かえって警戒されかねないぞ」
「そ、それもそうだな……僕としたことが……」
「我としたことが、焦るあまり……」
よし、これで無茶な要求されなくて済むか? いやうん、気持ちはわかるんだけど、そういうのはやめた方がいいと思う。自分の気持ちはまっすぐ相手にぶつけないとーー
「よし、この大会で優勝して、ヒナたんに挨拶しに行くぞ!」
「残念だったな、優勝してサイカ様に挨拶しに行くのはこの我だ」
「……は?」
ヒナたん? サイカ様? 何言ってんだこいつら?
「しかし魔王さん。あなたはヒナたんのかわいらしさがわからないんですか? あのいつもニコニコとした表情、初めて見たときから僕は釘付けですよ」
「貴様こそ何を言っている。サイカ様のよさがわからんのか。顔もよいが、やはりあのお胸様。夢の塊。あれこそ至高なり」
「なにをいうか。ヒナたんこそが至高だ」
「いや、お胸……げふん、サイカ様だ」
「……じゃ、もう用ないなら俺は行くわ」
「あぁ、アドバイスありがとう同志」
「礼を言うぞ同志」
勝手に同志にするな。俺はロリコンでも山脈好きでもねぇ。
『もうすぐ本戦を開始します。予選通過者の方々は闘技場にお集まりください』
お、もうすぐか。さーて、優勝できなくても頑張るといったな……あれは撤回しよう。
「あの変態共だけはぶち殺す」
保護者として。
アオイです。
夏真っ盛りの高い気温の中、皆さんどうお過ごしでしょうか? 夏休みに入っている学生の方は各々好きに休みを満喫していることだと思います。私ですか? 私は……
テストとレポートに苦しんでいます。(ハイライト消えた目)
どれだけ苦しんでいるかというと、「担当教諭デッドしないかな?」などと思っているくらいです(その場合無条件で単位がもらえる)
だがしかし、この週を乗り切れば私も夏休み! その勢いのまま頑張って担当教諭を呪いたいと思います!




