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首刈兎は今日も行く!~三姉妹とのペットライフ~  作者: 真田 蒼生
第4章「首刈兎はサンタを目指す」
56/84

第1話

「よいしょっとぉ!」

『グァアアアア!』


慣れた手つきで鎌を振り、大型のクマのモンスターを倒す。ドロップ品は……肉か。またベルさんにでも料理してもらうかね。焼いてもらうか、煮てもらうか……。

現在久々に森林エリアでソロで活動中だ。ベルさんたちは今日は予定があってALOができないとのこと。まぁおれだってALO以外にも予定があるから仕方ないな。ゲームとかゲームとかゲームとか。は? 課題? しらんよそんなもん。そもそも学生の本分は遊ぶことであって決して勉強などというものではありません。……我ながらなんでこんなスタンスでテストで高得点とれてるんだろ? 俺が天才だからか……あ、うぬぼれてすいません一夜漬けしてるだけです。長期的なのはだめだけど一時的なのにはもってこいだよ一夜漬け。え? 何? 大学入試? ……ナニソレオイシイノ?

まぁそれは置いておいてだ。今日は何するかねー? レベル上がったしそろそろ次の層のボスに挑戦してみるか……確かこの層のボスはでっかい蝶だったか。前に見たときは遠目からだったから、当たって砕けるのは悪くないな……。どうするかね?


「……けてー……」

「んあ?」


今なんか聞こえたような……気のせいか?


「助けてー……」

「あぁ、プレイヤーか」


トラップかなんかに引っかかってるのかね? まぁ暇だったし……どれ、ALOの先輩がさっそうと助けに行って……ん? なんか地響きが……しかもこれ近づいてきてる? いったいなんぞや。


「誰か助けてー!」

「あぁ、なるほど」


それを見て一瞬で理解した。女性アバターのプレイヤーが多数の、それはもう、視界を埋め尽くすほどのモンスターを連れてこちらへかけてきていた。


「トレインか」


トレインとはプレイヤーがそこらにいるモンスターを引き付けてほかのプレイヤーに押し付けることをいう。まぁ、これの対処法はいたって簡単だ。逃げればいい。基本PKがしたい奴がやることだが、あのプレイヤーは本気で助けを求めている顔だ。だが知らぬ。


「てことであばーー」

「ーーまちなさい!」

「ーーよぼぁ!?」


とりあえずハイジャンプ辺りを使って逃げようと思ったら目にも止まらぬ早業で鞭を首に巻き付けられてしまった。んだこら。正々堂々のPKなら受けて立つぞこらぁ? ってモンスター危ない危ない!


「ちょ、くんなくんな!」

「あっはははは! こんな可憐な美少女を置いていこうとした罰です。一緒に苦しみましょう!」

「おま! 見ず知らずの相手に何晒してくれとんじゃい!」


モンスターから逃げるために必死に走りながら、隣で並走している少女のプレイヤーに文句を言う。少女の姿は赤毛のセミロングの髪で、服装は深い緑色のドレスを着ている。まぁ、それは心底どうでもいい。


「ちっ、まぁ俺はこのまま逃げるわ、じゃな」

「あっ! ちょっと!」


そんじゃあな名も知らぬ迷惑プレイヤーよ。こちとら空に逃げられるんだよ! さらばだ。アデュー。


「ーー《ハイジャンプ》!」


ダン!(←俺がスキルで飛び上がった音

ビン!(←俺の首に巻き付いていた鞭が張った音


「グェッ!」

「わわわ!? ちょ、飛んでる!?」


き、きさま……感想はいいからこの鞭を何とかしろぉっ。首に圧迫感が……。結局次の行動に移れないまま着地してしまう。……ということは?


「うおぉおおおおおおおおおお!?」

「わぁあああああああああああ!?」


俺と少女は再び逃走を開始した。


「おいおまえ! この鞭を放しやがれ!」

「いやですよ! 放したら今のスキルで一人だけ逃げるでしょ!」

「当たり前だ!」


幾ら即死スキルを持っててもこんな数に勝てるか。戦いは数だよ兄貴。


「ちょっとはこの可憐な少女を助けたいとは思わないんですか!」

「初対面で首を絞めてくる奴を俺は可憐だとは思わない!」


そのまま俺たちはいいあいながら走り続ける。


「あなたはこんなかわいい女の子があのモンスターたちにめちゃくちゃにされてもいいんですか!」

「俺は一向にかまわん!」

「このクズ!」

「やかましい!てか、やられてもデスぺナがあるだけだろ一人で逝って来い!」

「いやです! ここまで来たら一蓮托生! 死なばもろとも! 貴方だけは落とします!」

「俺が何をした!」

「森の中で私に会いました!」

「できれば平和なくまさんと会いたかったね!」


なんかもう何が言いたいのかわからなくなってきた。このまま走り続けてさらなる被害者を出しても仕方ないし……しゃあない。


「ちょっと我慢しろよ!」

「え? きゃっ! 何するんですかこの変態!」

「うっせぇ!ーー《ハイジャンプ》!」


少女を抱え、ハイジャンプで高く飛び、エアジャンプを併用してそのまま滞空する。さすがに空に行けばモンスターの追尾も切れる。幸い飛ぶタイプのはいなかったしな。


「わぁ……」


少女は飛んでいることが珍しいのか、周りをきょろきょろと見まわしている。さっきまでの暴言を言っていたのがうそのようだ。

やれやれ……ほんとひどい目に合った。

アオイです。

梅雨入り……したんですかね?

私は雨は好きです。雨を理由に家でゴロゴロできますからね。まぁ雨降ってなくてもごろごろするんですが……。

あと、遊ぶ予定を考えているリア充の計画が雨によって破綻することもあるからほんと雨さまさまです。いいぞもっとやれ。

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