第2話
ブックマーク4000件突破!
ありがとうございます!
ところ変わってカジノエリア。
あの後ガチャで少しごたごたした後、俺たちは再びここに戻ってきた。
カジノエリアには少し前にやった人生ゲームに始まり、スロット、カード、ルーレットなどの一般的なカジノで使われるゲームが置いてある。こんなの置いておいていいのか日本人と思わないこともない。
「よっし、ガチャでさんざん吸われたからな。稼ぎ直すぞ」
「それ、現実で言うとギャンブルで失くしたお金をギャンブルで取り返そうとしている下種な人みたいですよお兄さん」
「はっはっは……サイカ、現実とバーチャルを同一視してはいかんぞ? ……いやまじでやめてください。自覚はあるんで」
「……わかりました」
うんほんと、将来ギャンブルで身を亡ぼしたりなんかしないよ? これはあくまでゲームだから。某RPGのカジノでメタルキンOの剣を狙うために100コインルーレット回したりするけどそれはあくまでゲームだから。
「ということでのりこめー」
「わぁい!」
ネタに乗った(?)ヒナと一緒に手近なところへ行く。なぁに心配すんなって。俺は節度をもってギャンブルをするから。……節度を持ったギャンブルとはいったい……まぁいいか。
「うっしゃ! 稼ぐぞー!」
「おーーー!」
ーーーベルーーー
「……なぁベルさん」
「ん? どうしたの?」
新しくALOに追加されたカジノエリアの一角。そこで私はラビ君と二人っきりでいた。特に話すこともなくしばらく黙ってカジノで遊んでいるプレイヤーたちを見ていたとき、ふとラビ君が話しかけてきた。
「幸運量保存の法則って……知ってる?」
「あー、うん。聞いたことはあるよ。人の人生の幸福と不幸の量を足すとちょうど0になるってやつだよね」
「そうそう、それそれ」
私の返答に頷きながら、ラビ君は続ける。
「あれってほんとだと思うんだよね」
「なんで?」
「ほらあれ」
そういってラビ君はカジノで遊んでいるプレイヤーの一人を指さす。そこにはギャンブルに成功したのか、うれしそうな顔をしている人がいた。
「あのプレイヤーさ、さっきまで負けてばっかりで絶望的な顔してたんだよ」
「へー、よく見てるね」
「まぁそれしかすることなかったしな」
そういってラビ君はさらに続ける。
「だれだって、どん底の時があるんだ。問題は底からどうやって這いあがるかってことだ」
「うん」
「人間、あきらめずに続ければちゃんと成功できるんだ」
「うん」
私のフィルターがかかっているのか、とても格好のいい表情で私を見ながら続けるラビ君。いつもなら見惚れていたかもしれない。そう、いつもなら……
「だからベルさん」
「だめだよ」
そのまま続けるラビ君のセリフに先手を打って却下の旨を伝える。
ダメだよラビ君。
「何を言ってもこのリードは放さないよ」
「……そうですか」
手に持っているペッドリードを見せて、にっこりとほほ笑んでいう。ラビ君は現在、ギャンブルで負けに負けて暴走気味だったところをリードにつないで抑えられている最中です。そして俯いたラビ君は、ばっと顔を上げて、言ってくる。
「ちがうんだベルさん! あそこで! あそこで7が来ていたら!」
そう、先ほどの大負けしたゲームの話をしてきます。
「うん、そうだね。あそこで7が来てたら勝ててたんだね」
「そうなんだよ! いいところまで行ったんだよ!」
「うんうんそうなんだ」
「わかってくれた?」
「うんわかったよ」
「じゃあ……」
「でもだめ」
「……おぅふ」
ラビ君はその場に崩れ落ちました。だめだよ。過度なギャンブルは。
ーーーラビーーー
ちがうんだ……ちがうんだって、あそこで7が出てたら俺は勝ってたんだって。あそこでまさか1が出るなんて、そんなことになるなんて思わなかったんだって……。
「まだ引きずってるのラビ君?」
「人は一度希望を持ったらそうやすやすと捨てられないんだよベルさん」
「そういうものなの?」
そういうものなんです。
カジノエリアを進みながら、俺は引きずり続ける。あの時……7が来ていれば……。
「ほらラビ君、いつまでもうじうじしてないでヒナたちさがそ?」
「……うい」
探すといってもMAPを見れば位置がわかるんだけどね。ええと、ヒナたちの位置は……あそこかって……なにあれ?
「なんか、すっごく集まってるね」
「……うん」
ヒナとサイカがいるであろうテーブル周辺には、数え切れないほどのプレイヤーたちでごった返してきた。位置的にゲームをしているのはヒナたちみたいだし……見学か? 遠目に見ていると、群衆たちが騒ぐ。
「まただ! また勝ちやがった!」
「なんなんだこの子!? イカサマか!?」
「いや、このゲームでそれはない……この子はただ純粋に、運が強いんだ!」
「女神でもついてんのかこの子。これで何勝目だ?」
……うん。
「ベルさん、俺あそこすっごい行きたくない。具体的に言うとさっき言った幸福量保存の法則が存在しないことを数学的に証明できるほど絶望に打ちひしがれそうだから行きたくない」
「あ、あはは……私もちょっと……行きたくないかなぁ」
……結局、ヒナはお小遣い程度に渡した1万Gを1000万にして持って帰ってきた。すごく楽しかったとのこと。
ちがうんだ、俺はあの時確かにクズカードを仕込んだはずなんだ……、とはヒナが遊んでいたカードゲームのディーラーの言葉。どうやら運営側にイカサマしようと思わせるほど、ヒナは勝ち過ぎていたらしい。
幾らなんでも運営がイカサマするなよとは思ったが、その後再び勝ち始めたヒナを見て、その気持ちは消え去った。強く生きろよ。
ちなみに、その後サイカに「お兄さんはギャンブルで身を亡ぼすことはなさそうですね」と言われた。
おいおい、さすがに現実ではこんなことやらないぜ?
アオイです。
いやー、ブックマーク4000件行きましたねー。……行ってしまいましたね。
いえ、うれしいんですよ? こんな1時間クオリティの作品をこんなたくさんの人が読んでくれているなんで超うれしいですよ?
ただ……ただただ、この4000という数字が私の胃にダイレクトアタックしてくるんですよ。まさしく神の一撃ですよ。ゴッドハンドインパクトですよ(遊戯王してない人にはわからない)
ま、まぁ! これからもできる限り頑張らせていただきますので、どうか首刈兎をよろしくお願いします!
完結が早いか! 私の胃に穴が開くのかの競争です!




