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首刈兎は今日も行く!~三姉妹とのペットライフ~  作者: 真田 蒼生
第3章「首刈兎は夏の海に繰り出す」
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第12話

「うん、やっぱり出店の食べ物って無性にうまく感じるな」

「雰囲気もあるんだろうけど……濃い目の味付けにしてるからかな?」


たった今買ったばかりの焼きそばを頬張りながら、そんなことを言う。ベルは料理好きなだけに出店の食べ物がおいしい理由を分析している。……ていうかよくこの味を再現できたな。こういう細かいところにこだわってるあたり、運営は祭り好きが多いらしい。


「うさぎさんうさぎさん」

「ん?」


ふと浴衣を引っ張られ、足元にいるヒナの方を見る。見るとヒナは手招きをしている。とりあえずしゃがんでみる。


「あーん」

「あぁ……あーん……うん、うまいな。ありがとう」

「どういたしましてー。あ、うさぎさんもそれちょうだい!」

「ん、あぁどうぞ……って」


しゃがむとヒナが食べていたタコ焼きを一つあーんされた。それをもらって礼を言うと、ヒナは俺が食べていたじゃがバターをせがんだ。了承すると、ヒナは口を開け、待ち構える……あーんをしろということらしい。苦笑しながらヒナの口に適度なサイズに割ったじゃがバターを放り込む。


「ん、ありがとうさぎさん!」

「どういたしまして……よっこらせっと。……って、ベルさんどしたの?」

「え、あ、いやその……な、なんでもないよ!?」


立ち上がり、再びベルの方を見るとなにやら彼女は奇妙な顔をしていた。ヒナが食べていたタコ焼きをみては、俺を見てと顔を赤らめながらぐるぐると視線を彷徨わせている。声をかけると何でもないというが……あぁなるほど。


「タコ焼きならそこで売ってるからちょっと買ってくる」

「え、ちょっとラビ君!?」


すぐそこで売っていたタコ焼きを買って、ベルに手渡す。ちがうのに……といってはいるが、まぁタコ焼きが食べたかったんだろうな。食いしん坊なのは悪い事じゃないと思いますよ?

手渡されたタコ焼きを見て、しばらく考え込んだ後彼女は意を決したようにこちらの方を向く。


「ラ、ラビ君!私にもあ、あーんをーー」

「ーーうさぎさーん!これかってー」

「あ、わかった今行く……ええと、ベルさんなんか言いかけてたけど……何?」

「……何でもない」

「そか」


なぜか落胆してしまったベルを置いて、ヒナのもとへと向かう。勝手に遠くに行くと迷子になるぞ?まぁサイカも一緒だし、もしもの時はマップ見ればいいんだけど。

にしてもベルさん何を言いかけてたんだろうか。……まさか自分にもあーんしてくれとか?はは、ないない。


ーーーベルーーー


「うさぎさんあれとって!」

「おけーまかせとけ、この五本同時使用という贅沢な射的にとれぬものなしだ!」

「大人げないやり方しますね……」


少し先の射的の店で、ヒナ、ラビ君、サイカの3人が遊んでいる。ヒナが大きなぬいぐるみを頼んで、それをラビ君が店に置いてある鉄砲すべてを使用して狙っている。……あれっていいのかな?ルール違反な気もするけど……あ、だめだ。ラビ君なら「できるように設定してあるってことはやれってことだろ?」とか言いそう。


「あれじゃあどっちが子供かわかりませんね」

「確かに……でも楽しそうだからいいんじゃないですかね?」


それを遠目に見ながら、ミュウさんと話す。彼女は私の言葉を受け、にやりと笑ってこう言う。


「ほうほう、あの子供っぽいところがいいと?」

「ぅえっ!?いやその……それは……」


その言葉に激しく動揺し、顔を厚くしながらも何とか返答しようとする。


「そ……そうです」

「へー」


うぅ、ミュウさんのニヤニヤ顔がつらい。


「お兄ちゃん、ゲームに関しては暴走することがよくありますからね……人に攻略法を教えたりしてるときも、いつの間にかバグ技まで教えたりしてたし」

「あぁ……それは私も覚えがあります」


ALOを始める前、ラビ君に勧められたゲームをプレイして、行き詰ったところの攻略法を聞いたら壁抜けとやらでまさかのボスをスルーする方法を教えられたことを思い出して、クスリと笑ってしまう。


「あと、遊んでいると自分が一番楽しんじゃったりしますよね」

「あーありますねー。通信プレイしてるときに一人だけ突っ込んで敵をバッタバッタとなぎ倒したり」

「そうそう」


夢中になってしまった結果、一緒にプレイをしていた私を置いて行ってしまい、ゲームが終わった後に謝罪をされたこともあったなぁ。


「ま、お兄ちゃんはそういうところがあるので、私の代わりにうまく手綱を握っていてくださいね」

「……へ?」


その言葉に唖然としていると、ミュウさんが続ける。


「いやー、一人暮らしを始めて暴走してないかな?大丈夫かな?と心配してたけど、こんな優良物件さんを射止めているならこれからも大丈夫ですね」

「え、えっ!?」

「それじゃあ、これからお兄ちゃんのことをよろしくお願いしますね?」

「……あ、はい」

「あ、あと私に敬語いりませんから、いつか姉さんって呼ぶことになるでしょうし」

「あ、うんわかりまし……じゃない、わかった」


……勢いで承諾しちゃったけど、これって妹公認ってことかな?……一歩前進?


「では早速アドバイスを。お兄ちゃんめちゃくちゃ鈍感だから、奥手になってちゃだめですよ。さっきあーんを失敗してましたが、あそこは尋ね返されたときにしっかり言い直さなきゃ。お兄ちゃん断らないだろうし」

「み、見てたんだ……」


なんだろう。この子ルシと同じかそれ以上に背中を押してくる気がする。……大丈夫だろうか?

アオイです。

なんか最近短編ばっかりに手を付けてる気がします。

これはちょっとした単語で話を考えてしまう妄想癖の私が悪いのか。それとも飽きっぽくてすぐほかのことをやりたがる私が悪いのか。はたまた進まない執筆に挫折気味で現実逃避している私が悪いのか。

……うん、結局私が悪いですね。がんばらねばぁ……っ!

今日こそやるぞ! ……あ、今日読んでるラノベの続きの発売日じゃないか。……うごごごご

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