第6話
「おらっ!」
『グァッ!?』
鎌を振りぬき、ゴリラのモンスター、《フォレストコング》を切り裂く。その一撃で、フォレストコングのHPは0となり、消える。
「ふぅ……やっぱ初期装備とはちがうな」
自身の持つ武器、マンティスサイスを眺めながらつぶやく。
出会いこそ最悪だったが、今ではお前は俺の大事な相棒だよ……。
「……お兄ちゃんいまめっちゃ危ない人の顔してるよ」
「自覚はある」
「あるんだ……」
そりゃおまえ、大鎌をうっとりとした表情でながめる。これのどこが危ない人じゃないんだ。
「それにしても、攻撃を受けないって……私の出番ないじゃん」
「そりゃおまえ、俺基本避けるスタイルだからな。しゃあないしゃあない」
することがなく、しょんぼりとしているミュウを見ながら、慰め……れてるのかね?
ちなみに現在地だが、森林エリアの第二層である。
今日もALOで遊ぼうと思ったのだが、案の定同行者が付きやがったよHAHAHA……畜生そんなに信用がないか!ないでしょうね!
「さて、もうちょっと進むーー」
「ーーそろそろ時間だから噴水広場に帰っておこう」
「……あぁ、もうそんな時間か、了解了解、じゃああと一匹何か狩ったら」
「だめ、帰るよ」
「……はい」
お、おのれ……束縛ばっかりしおって……いっそのことPKしちゃえば町から出れないから自由にーー
「ーー何?」
「いえ、こんなに兄想いの妹を持てて幸せだなと思っておりましたハイ」
ははは、だれだようちのかわいい妹をPKしちゃえとか言った奴ぶっ殺すぞ。ぶっ殺すぞぉ!
ーーーベルーーー
「えっと、ラビ君……どうしたの?」
「いや、自由ってなんだろう……って思ってな」
「……夏休みの宿題か何か?」
「あぁ、うん……ある意味夏休みの敵だわ」
「……友だよ?」
「うん……そうだったね」
噴水広場で私、サイカ、ヒナの三人を迎えてくれたラビ君。だけど様子がちょっとおかしかったのでどうかしたのか聞いたところ、夏休みの宿題に困っているようだ……ラビ君比較的頭いいはずなのに……私でよければ教えてあげられないかな?……ていうかそもそも哲学の問題なんかあったかな?
「ベルさーん、なにしてるんですかー?行きましょー、お兄ちゃんもー」
「あ、うんわかった!ほらラビ君、いこ?」
「……おう」
なぜか落ち込んでしまったラビ君を眺めていたら、彼の妹であるミュウさんに呼ばれた。
そしてラビ君の腕を引きながら、ミュウさんのところへ行き、街の端にある少し前に新しく設置された門をくぐる。
門をくぐった先には……
「うわー……」
「わぁっ!きれいだねお姉ちゃん!」
「うん、そうだねきれいだね」
「へぇ……すっごいなぁ」
きれいな砂浜と海がひろがっていた。
そう、ここは新しくアップデートで追加された新エリア、海。
その景色の良さに私たち4人はそれぞれ感想を述べる。ラビ君はというと……
「よっしゃとりあえずそこら辺のモンスター狩ってくーー」
「ーーまちなさい」
「……はい」
先日ヒナがプレゼントした鎌を構えて、海へ向かって突撃しようとしていたところをミュウさんに止められていた。……まぁ、元気になってよかったよ。
「ふむ、例の建物はあそこみたいだな」
「わかった、それじゃ行ってくるねー。お兄ちゃんも準備終わったらここで待ってて、待て、ステイ、ウェイト。いいね?」
「俺はペットか何かか」
「ベルさんのペットじゃん」
「……せやったな」
「それじゃベルさん、サイカさん、ヒナちゃん。行こう」
「あ、うん」「わかりました」「わかったー」
「いってらー」
ミュウさんを含んだ私たち4人とラビ君はわかれ、それぞれ別のところに向かう。
私たちが向かう先は、砂浜に立っているとある建物。そこで、海では絶対必要不可欠のアイテムをもらいに行くのだ。
「目指せ悩殺ですよベルさん!」
「え、ちょ……それはちょっと……」
ミュウさんの不吉な言葉を聞きながら、私たちは建物の方へと歩いて行った。
ーーーラビーーー
「……おせぇ」
俺は自分の準備を終えてベルたちを待っていた。……まぁ準備といってもちゃちゃっとえらんで着替えるだけだったから10分かからなかったな。
あ、着替えるというのは海で遊ぶために水着に着替えるということになったのだ。先ほどの建物で水着がレンタルできます。あ、ちなみに着替えるといっても装備を変えるわけじゃなく、外見だけを変えるものだと思ってほしい。なので防御力も普段と一緒である。
にしてもどれだけ待たせりゃ気が済むんだあいつら……もう1時間は立ったんと違うか。ここまで待たされてじっとしている奴は忠犬か何かだね。……待つけど。
おいそこで忠犬とか言ったやつ、現実を教えてやろう。
確かに女性をずっと待っていれば誠実なやつとか思えるだろう、確かに俺もベルたちを待っていてあげようという気はある。だがその行動理念に、妹の恐怖を足してみろ。……ほら、これでも忠犬といえるか?
……言ってて悲しくなってきた。
あぁ……ここからでもモンスターと戦ってる集団が見える。
……ちょっとくらい倒してもばれないよね?……ちょっとだけ、ちょっとだけだから、さきっーー
「ーーお兄ちゃん?」
「お帰りなさいませぇ!」
即座に敬礼したね。うん。誰だって命は惜しいからね。
「……どしたの?いきなり敬礼なんかして」
「あ、いやべつになんでもなーー」
「大方待ちきれず狩りに行こうとしたんだろうけど」
「申し訳ありませんでした!」
敬礼をやめようと思ったら土下座に変更することになりました。
「女の子の服選びは長いの、これくらい待たないと彼女出来ないよ?」
「いやもう、本当に、本当に申し訳ありませんでした」
「まったく……ほらたって」
「うっす」
ミュウに立たされる。まったく、彼女いない歴=年齢の悪口だけはやめてほしいものだ。
「とりあえずお兄ちゃんにはこれから私たち4人の水着の評価をしてもらうから」
「え」
「私も含めてちゃんとほめてねー」
そういってミュウは再び離れていく。パーカーを着ていてどんな水着かわからなかったが、まぁベルたちも含め自分に一番合ってるものを選んだんだろう。それを俺に判定しろというらしい。
「……はっ、何そのムリゲー?」
絶望しかないわ……。
アオイです。
突然ですが、一つ世間に対して物申したいことがあります。
なんで……なんで市販のホットドックやカツサンドにはマスタードが入っているんですか!辛子マヨネーズがはいっているんですか!寿司についてるわさびみたいに別にしてくれてもいいじゃないですか!
ていうかそもそもマスタード入れようと思った人だれですか!辛子マヨネーズを開発した人は誰ですか!しかもホットドックのマスタードはいいとしてカツサンド等にはいってる辛子マヨネーズ!お前裏の成分表示に小さくマヨネーズ(辛子入り)とか書かれてるんじゃねーよ!何度も騙されたわ!昨日も騙されたわ!
……誰かマスタード抜きのホットドックや普通のマヨネーズを使ったカツサンドをコンビニで売り出せば売れると思いますよ。私は買います。




