第3話
「ーーへー、それじゃプーちゃんは夏休みの間そんな不健康な生活を送ってたんだ」
「そうなんですよ!しかも貧乏の癖に月見大福を買うのだけはやめないんですよ!もはや中毒だと思いません?!」
「うーん、ラビ君はほんと月見大福好きだし……多少ならいいんじゃないかな?」
「ベルさん!そうやってお兄ちゃんを甘やかさないでください!すぐつけあがるんですから」
「まぁ、プーちゃんはベルのお弁当を頼みにしてた節があったしね」
「ちょっとルシさんその話詳しく」
「あ、あはは……」
ちょっとお嬢さん方、当事者を無視して話をするのやめてくれませんかね?そしてベルの弁当を頼りにした俺に罪はないと思う、ほんと栄養バランスとか考えてくれてたし、なぜかたくさん作ってくれてて朝飯抜きにしたときとか本当に助かりました。うまいこと行けば晩飯のお金も浮いてました。ありがとう。
まぁそれはそうと……
「君たちもうちょっと緊張感を持とうか。一応ここモンスターが出るところだから」
「でもお兄ちゃんが守ってくれるんでしょ?」
「それはそうだが……」
「あら?プーちゃん1層のモンスター程度、私たちを守りながら片手間で無双できるとかいってなかったかな?」
「いや……まぁいったけど」
「ご、ごめんラビ君、迷惑かけちゃって。今すぐ私もたたかーー」
「大丈夫だからそこでのんびり女子トークしながら歩いていてください!」
さすがにすでに大恩があるベルにまできつく言えない。ていうか逆にきつく言われたら逆らえない。
ほんと、女子ってすぐ仲良くなるな……あのコミュ力を少しでも見習いたい。
「うさぎさーん、みどりの人倒したよー」
「お兄さん、こっちも討伐終わりました」
「ん、二人ともお疲れさま。もう1層のモンスターは余裕になってきたな」
先ほどまでモンスターと戦闘を行っていたサイカとヒナをねぎらう。
……現在俺たち(俺、サイカ、ヒナ、ミュウ、ベル、ルシの計6人)は森林エリアの第1層でモンスターを狩りながら進んでいた。目的は1層のボスを倒すこと。そうすることで1層のボスを倒したPTは第2層へ進む権利を与えられるからだ。
なぜそんなことになっているのかというと……話すと長くなるけどいいか?あ、いらない?いやいやそんなこと言わずに聞いてくれよ。
ミュウと合流して、自己紹介をした後、ベルたちと行動することにはなっていたんだが、何をするかは未定だった。そこでミュウがだったら私服がほしい、と自身が来ている初期装備を見ながら言っていたので、とりあえずルシアンへ行くことにした。そこでルシと合流。あ、ちなみにルシの中の人……委員長のことだが、この夏休みに入るまでにベルに暴露済みだ。なので一緒に遊んでいるときときたまベルにがんばれといっているのだが……学校同様何の応援をしてるんですかね?前に委員長に聞いてみたらそれはもう物を凍らせられるんじゃと思うほどの冷たい目で見られたんですけど。……まぁそれはいいな。そんでルシアンにたどり着いて、ルシにミュウの服を頼むことにした。(出資はもちろんおれだ。妹の上目づかい+リアルの事情なんてコンボを使われたら逆らい様がない)
だがここで問題が発生。なんとまたもやルシが材料がないと言い張る。おい俺たちが来るまで服作ってたの見てんぞ。それを問いただしたがごまかされ、結局おれが調達に行くことに。なにやら妹に私生活の話を聞きたいとかわけのわからない言葉が聞こえてきたがそれは気にしないでいいだろう。
そしてそのまま一人でモンスターを狩りに行こうとしたのだが、ここでミュウが戦うところを見てみたいと言い出しついていくと言い張った。そしてじゃあわたしもというようにベルたちも立候補し、話も聞きたいからといってルシもついてくることになった。
だが問題がある。ルシが使っている金剛糸というアイテムは森林エリアの第2層のモンスターがドロップするものである。しかしミュウを含めたベルたち4人はまだ1層のボスを倒しておらず、2層には行けない。だったらボス倒そうと、軽くミュウが発言したことにより、今現在の状況に至るのだ。
最悪俺にボスを倒してもらえばいいとはミュウの言葉……こういうのってあんまり褒められた行為じゃないんだけどなぁ。まぁサイカとヒナに頑張ってもらうとしよう。
……っと、そんなこと言ってたら見つけたな。
「サイカ、ヒナ、いたぞ」
「……あれですか?」
「わーおっきいクマさん」
森に囲まれたエリアで、全長3mくらいのクマを発見する。
鑑定すると、このように表示される。
名称:フォレストベア
概要:森林第一層の守護者的存在。倒すことで次の段階へ進むことを認められる。
……いまさらながらにおもったが、こんだけしか書かないなら鑑定の存在意義無くね?
まぁ、それは置いておこう。
「それじゃヒナ、最初っからでっかい一撃をぶつけろ。そんでその後、サイカが突撃、ヒナはその支援だ」
「はーい!」
「が、がんばります!」
見た感じ気負っているサイカに笑顔を向けながら緊張を解こうとする。
「大丈夫、危なくなったら俺が助けるから」
「は、はい」
よし、多少は落ち着いたか?
それを確認し、ヒナに魔法の準備をさせる。
そして詠唱時間が終わったのか、(まぁ詠唱といっても発動するまでに時間がかかるだけだが)ヒナが杖をフォレストベアの方に向け、魔法を放つ。
「いっくよー!--《ファイランス》《ウィンカッター》《ウォーショット》《グランバースト》!」
……相変わらず一気にぶっ放すなぁ。元素魔法の技能には異なる属性の同時展開を助けるスキルがあるらしいが……。
フォレストベアに向けて炎の槍、風の刃、水の弾丸、岩の散弾がおそいかかる。
警戒してなかったのかそれらをすべてもろに受けたそいつは、悲鳴を上げながら、倒れこむ。
「……っ今!--《リープスラスト》!」
サイカが剣を構え、スキルを発動しながら突撃していく。発動したスキルは突進系のものなのでそのまま攻撃がベアに届く。
「《五月雨》!」
そしてそのままの勢いでサイカはスキルを発動させ、連撃を叩き込む。
それに加えて、ヒナも詠唱時間のいらない初級魔法を当てていく。
すでに倒れこんでいたフォレストベアには抵抗のしようがないわけで……
『フォレストベアを倒した。1050の経験値を取得。第二層挑戦権を取得しました。』
フォレストベアが倒され、ウィンドウにこう表示される。
「やった…っ!」
「やったー!」
サイカとヒナは喝采を上げる。
「ごくろうさま」
「おつかれさま」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
俺と一緒に今だ女子トークを継続していた3人がたたえる。
……いやお前ら多少は手伝ってやれよ。……まぁ3人を非戦闘員だと判断したのは俺だけどさ。
てか思ってたより一方的だったな。もう少し早く挑戦させててもよかったか。
「それじゃ二層にすすもうか……まぁサイカとヒナは今日はここまでということで休んでいいぞ。あとはおれがやるから」
「あ、わかりました」
「わかったー」
「ひゅーかっこいー」
「うるさい」
茶化してくるルシに反論しながら、俺は先頭を歩き、6人で第二層へと進んでいった。
アオイです。
突然ですが、私の好きなアイスは雪O大福です。
冬に暖房のきいた部屋で、冷蔵庫からだしてちょっと待った奴がいいんですよね。
夏場はOリOリ君で量を、冬場はO見大福などで質を求めるのが私のジャスティスです。
そして今回の話を書き終えて一言。
開幕ぶっぱで何もできず倒されてしまうボスェ




