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首刈兎は今日も行く!~三姉妹とのペットライフ~  作者: 真田 蒼生
第3章「首刈兎は夏の海に繰り出す」
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プロローグ

「……ふぁ~よく寝た」


カーテンから差し込んでくる日差しによって目を覚ました俺は、ベッドの上で起き上がり、軽く伸びをして枕元に置いてある時計で時刻を確認する。


「ちょうど12時か……」


まぁ寝たの深夜2時だからまぁいつも通りの10時間睡眠か。

そう考えた後、俺はベッドから降りて、リビングへと向かう……え?遅刻だろ急げ学生?……大丈夫だ、問題ない。


「ここまでのんびりできるとかやっぱり夏休み最高だな」


そう、今は8月、N高校は夏休みに入っている。

合法的に夜更かしができるようになった俺は、深夜までゲームをして寝て、ゲームをして、寝る……そんな最高の生活を送っていた。

……唯一残念なことと言ったら、比嘉咲さんの弁当が食べられなくなったことか。実際あの弁当おいしかったし、何より昼飯代が浮くのがよかったんだけどなぁ……。


「まぁいいか、それより朝……昼めしをたべようか。ええっと……」


昼飯のために俺は段ボールを漁る。段ボールの中にはカップ麺が大量に買いだめしてあり、その中からごんべえのきつねうどんを取り出し、ポットを利用してお湯を入れる。


「……よし、あとは五分待つだけだ」


タイマーをセットし、時間がたつのを待つ。

……そんなとき、


ピンポーン


と、家のインターホンが鳴らされるのが聞こえた。


「だれだ?……あぁ、密林で頼んだ商品が来たのかね?はいはーい、今行きますよー」


そんなことを思いながら、玄関へ行き、ドアを開ける。


ガチャ(←ドアを開けた音

「どちらさまでーー」

バタン(←ドアを閉めた音

カチャン(←ドアのカギをかけた音


すか、といい終わる前に誰が来たかを確認した俺は速攻でドアを閉め、鍵をかけてからその場を離れる。

オレハ ナニモ ミテイナイ。

さて、テレビでも見るか……。

そんなことを思っていたら、


ピンポンピンポンピピピピピピピピピピンポーン


と、終盤インターホンが追いつかない速度で連打された。オレハナニモキコエナイィ!

それをしばらく無視しているとこんな会話が聞こえてきた。男性と女性の声だ。


『えっと……こんにちわ、宅配便です……稲葉 遊兎さんのお宅はここでいいでしょうか?』

『あ、あってますよ。いつもご苦労様です。あ、サインは私がしますよ』

『あ、ありがとうございます。ええと…それではここにお名前をお願いします』

『はいはーい』


……まじかよ。

思わず顔を覆ってしまう。なんてタイミングだ。

そして受け取りが終わったのか、宅配業者の人が帰ったあと、再びこんな声が聞こえる。


『お兄ちゃーん?宅配便きちゃったよー?これどうしよう?受け取らないってことは捨てていいのかなー?これ以上門前払いを続けるなら捨てちゃうよー?』


……あかんあいつホンマにやる。

そんなことを思っている間にも声は続ける。


『あと10秒ねー、10-、9-、8-』


……終わった。

観念して俺は、玄関のドアを開けた。

玄関前には、中学生くらいの美少女がいた。

少女は俺をみてこういう。


「やっと開けてくれたね?ひどいよお兄ちゃん。私傷ついちゃった」


明るい口調および笑顔でそう言う彼女の顔に何かしらのマークを付けるとしたらあれだろう。血管が浮き出たマーク……#だ。


「は、ははは……」


俺はもう笑うしかなかった。

先ほどの内容からわかるであろうが、紹介しておこう。彼女の名前は稲葉いなば 三兎みう

中学2年生で俺の妹である。



「ほうほう、意外と片付いてるね」


三兎は俺の家に入るなり、まず始めたことは部屋の掃除状況のチェックだった。

床、部屋の隅、挙句の果てに机の裏まで、細かいところをチェックしまくっていた。


「そりゃ、ほこりとかはゲーム機の敵だからな…そこらへんはしっかりしてる」

「ふーん、そうなんだ。ゲームが関係すると必死になるからねお兄ちゃんは……」

「当たり前だ……それで三兎」

「ん?何?」


さんざん部屋を散策している三兎に、ずっと考えていたことを聞くことにした。


「お前何しに来たの?」

「……あぁそっか、いってなかったね」


忘れてたとばかりに三兎は反応し、俺の方を向き、こういう。


「それじゃお兄ちゃん、とりあえず正座」

「……は?」

「正座」

「あ、はい」


何が何やらわからなかったが形容しがたい威圧感に負けて正座してしまった。よし、と三兎はうなずき、話を始める。


「さてお兄ちゃん、お兄ちゃんが1人暮らしするためにお母さんと私が出した条件があったよね?」

「え?あ……あぁたしか、勉強をちゃんとする、ゲームをし過ぎない、食事はちゃんととる(・・・・・・)……だったよな?」

「最後がちょっと違うよ」

「……」


間違えてたか(ばれたか)……い、いやこれは決してやましいことがあったからごまかしたわけじゃないぞ?ホントダヨ?

そして三兎が正しい条件をいう。


「食事はちゃんととる……じゃなくて、不摂生な生活をしない……だよ?」

「そ、そうだったな。でも兄ちゃんちゃんと飯食べてちゃんと寝てたぞ?」

「……月々1980円」

「……何の話かな?」


覚えのある数字に冷や汗を垂らしながら、とぼける。すると三兎は玄関で見たのと同じような笑顔を向けて、続ける。


「この春からお兄ちゃんの一か月の生活費の請求で追加されてたお金だよ。あれ、なぁに?」

「あ、あぁそれね!ALOっていうゲームを始めてな!それの通信料です!いや、ゲームの金は俺が自腹切ってるから別に問題ないよな!?」


そういえば言い忘れていたが、ALOはプレイするには一世帯につき月々1980円の通信料がかかる。……まぁあのレベルのサービスをやるなら妥当な値段ではないかとは思って納得しています。

まぁ俺のその言葉を聞いて、三兎は再びうなずいた。


「うん、お兄ちゃんが自分で払うなら問題はないんだよ?……でもね?」

「で、でも?」

「そのお金……どこから出したの?たしかお兄ちゃんのゲーム貯金は春に何か買ってからすっからかんになってたよね?」

「……」


今度こそ何も言えなくなった。

だがまだだ、まだおわらんよ!


「そ、それはだーー」

「ーーゴミ箱見たけどカップ麺と月見大福のごみしかなかったね。お金がないのに月見大福を買うのをやめないのはお兄ちゃんらしいというかなんというか」

「……」


ダメでした。


「さてと……久しぶりにお説教だよ?お兄ちゃん」

「お、お手柔らかにお願いします」


もはや背後に般若が見えそうなその笑顔に、俺は逆らうことができなかった……。

アオイです。

はい、新キャラの登場です。やはり主人公には妹が必要ではないかと思いましてね(壮大な偏見)

ちなみに、リアルで妹か姉がほしいとか言う人がいますが、それは間違いです。

何が間違いかって?……実際に姉や妹がいればわかりますよ(ハイライト消えた目)

嫌ほんとひどい、あれしろだのこれしろだの……せめてお願いしますくらい言えんのかあの年m……おっと誰か来たようだ。


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