第13話
「…ん、朝か」
就寝前に設定していた時間ぴったりに目を覚ます。やはりこれでは寝た気がしない。そんなことを思いながら隣を見る。
そこには羽の生えた兎から始まり、3人の美少女が布団にくるまっていた。3人もまだ設定した時間になっていないのか、ぐっすり?ねている。
この生活が始まって2~3日は、目が覚めてその寝顔を見るとドキドキしてしまっていた。しかし今はもう慣れたもので、なるべくその寝顔を見ないようにしながら、布団から出て、テントから出る…え?これだと慣れてないのと一緒だって?…なれるわけねーだろふざけるな。
テントから出ると外はすでに明るかった。軽く伸びをした後、近くの川で顔を洗う。
…習慣になってきたこの行動も、今日で終わる。なぜなら今日はイベント開始してこのフィールドでちょうど一週間、つまりイベント最終日だ。
思えばいろんなことがあった…腐れイケメンを退けた後、次の日に今度は俺のみを狙うPKとなり果てた嫉妬に狂った男どもに襲われたり(つーか救世主の方襲えよ)、あらかた探索が終わったのでみんなで大型のユニークモンスターを倒しに行ったり(覚えたての魔法を撃ちたかったヒナによって大火事になりかけたことは記憶に新しい)、やはりひそかにベルVSルシが起こったようでベルさんがいろいろ罰ゲームを実行させられたり》(いやほんと、終盤のスパートなのか、いろいろと心臓に悪かった)…ほんと、いろいろあった。
「あ、ラビ君おはよう」
「おはようございますお兄さん」
「うさぎさんおはよー」
「プーちゃんおはよう」
「あぁ、おはよう」
っと、回想終了。さて、今日は何事もなければいいけど…え?フラグ?…フラグは立てるものだ。
フラグといっても恋愛フラグは全く立ってくれないんだよなぁ…は?ふざけんな?…なんでやねん。
ーーーベルーーー
「姉さん、ちょっと」
「ん?何?」
朝ご飯を食べて、片づけをしていたとき、サイカに声をかけられた。
「なんかルシさんが呼んでるよ?」
「え?」
どうやらルシさんに呼ぶように頼まれたらしい…自分で言えばいいんじゃないかな?
「お兄さんがかかわってくるのを警戒したらしいよ?」
「ラビ君を…?あぁ、罰ゲームとかで勘違いされて怒られたから…」
それにしても、サイカはラビ君をお兄さんと呼ぶほどに、親密になった。人見知りの妹を持つ姉としてはうれしい限りだ…え?親密になるのは許さないんじゃなかったのか?…え?ナンノコトデショウカ?
とりあえず片づけをサイカに任せて、ルシさんのもとへいくことにした。
ルシさんはキャンプから少し歩いたところにいた。
「あ、来た来た。ごめんねーわざわざ呼び出して」
「いえ…それで何の用ですか?」
「ん?あぁ、いやーイベント最終日だし、プーちゃんについて話しておこうと思ってね」
む、ラビ君について?また何か暴露をしてくるつもりだろうか…。そうおもい、無意識に身構えていると、ルシさんがいう。
「私がプーちゃんを好きって言ったの…嘘だから」
「…え?」
え?なんていったこの人…ラビ君が好きだっていうのはうそ?え?なにそれどういうこと?
「いやー、せっかく二人が『一緒に行動するようになったのに』全く進展してなくてじれったかったからねー、この一週間一緒に過ごすというちょうどいいイベントでさらに運よく合流できたからちょっと発破かけてみようと思ったのよ」
「え?…え?」
「それであなたはそのまま釣れてくれて彼にアプローチするようになったのはいいんだけど、肝心の彼があそこまで朴念仁だとは思わなかったわ…まさか私が怒られるという展開になるなんて…ていうか一緒のテントで寝たくせになんで全く進展しないのよあなたたち」
「え…ちょっと…」
「まぁこれであなたも彼はもっと積極的に行かなきゃ気付いてくれないってわかったでしょ?」
「あ…そうですね…」
「そう、それだけが収穫ね…それじゃ今後も頑張ってね。そういうことだから」
そう言い残して、ルシさんはキャンプの方へ一足先に帰っていく…。
一方で私はというと…
「え…え?」
急展開についていけず固まっていました。
…どういうことなの…?
ーーーラビーーー
『あー、あー……はい!それでは皆様、ひとまずイベント完走おめでとうございまーす』
午後、ひとまずキャンプにおいていたテントを片付けた後、周囲を歩き回ったりしていた俺たちは、イベントが終了し、イベント開始時と同じく最初の広場に転移させられ、運営の言葉を聞いていた。
『今回のイベントはいかがだったでしょうか?楽しんでいただけたでしょうか?』
広場にあつまったプレイヤーは、開始時と比べて3分の2くらいに減っている…料理スキルがなくて空腹でぶっ倒れたやつやユニークモンスターに無謀な挑戦をしたプレイヤーが大半なんだろうが…一部にはリア充撲滅を掲げた者たちもいただろう…一歩間違えば俺もそちら側にいたと思うと…やめよう、考えるだけ無駄だ。
『それでは、今回のイベントでお渡ししたアイテムと引き換えに、イベント完走記念のアイテムをお渡ししますのであちらのテントの前にお並びくださーー』
「ーー《ハイジャンプ》」
そのセリフが終わらないうちに速攻でテントに並んだのは言うまでもない。
ーーーサイカーーー
「ふぅ、おわったねイベント」
「そうだな、お疲れさん」
「ラビ君もお疲れさま」
「お疲れ様でした」
「おつかれさまー!」
イベントが終わり、噴水広場に転移させられた後、全員でねぎらいの言葉を交わす。
「それじゃ私は一足先に店に帰らせてもらうねー」
「あぁ、それじゃ…またいつか行くわ」
「期待はしないで待っておくよ」
ルシさんがそう告げて、その場を去ろうとする。その途中で…
「それじゃベル、頑張ってね」
「あ…はい!頑張ります!」
姉さんに激励の言葉を告げて、今度こそ去っていく。
あの後何があったのかはわからないが、何やら姉さんと彼女の対立のようなものは終わったようで、姉さんは彼女を見送ったあと、何かを決意したような顔でお兄さんの方を向く。
「それじゃラビ君、また明日ね」
「ん?あぁ、また明日…ちなみに明日課題とかなかったよな?」
「え?あ…うん、大丈夫だと思うよ」
「オッケー、なら俺はもうちょっとやっておこう…それじゃ」
「うん、さよなら」
姉さんが別れの言葉を告げるのに合わせて私とヒナも別れを告げる。
彼はそれ受け、手を振りながら去っていった。
「…よしっ、頑張ろう!」
それを見送ったあと、ログアウトした姉さんは、なにやら意気込んでいた。
…とりあえず頑張れとエールを送っておこう。
…あとは暴走した姉さんの被害をお兄さんが受けないことを祈っておこう。
アオイです。
さて、近況報告です。
なんと私、チョコ二つももらっちゃいました!
え?だれからもらったのかって?……そうですねぇ、SさんとMさんだといっておきましょう。ヒントは英単語です。
いやぁ……これでホワイトデーの10倍返しが決定したわけですな(白目)
ダースをもらったとしても1000円の返し……正直死ねる。
あ、あと知り合いに検索で「『アオイ(ユーザー名)』多すぎw見つけにくい」って言われたので作者名を変えてみました。




