第2話
「ーーよいしょお!」
『ギギィイイイイ!?』
俺は第2層に存在するクモ型のモンスター《グランスパイダー》を狩っていた。
理由は防具屋のルシに頼まれた素材、金剛糸というアイテムの調達だ。全くなんで素材がないのに開店してんだか…
「ええっと…うん、3スタック全部集まったな」
俺はアイテムボックスを確認し、指定された個数が集まったことを確認した。
《契約》の効果もあってか、思ったよりも早く集まったな…
そんなことを思いながら、俺はベルに《召喚》を頼むメールを送る。するとすぐに前と同じようにこんなウィンドウが表示された。
『あなたに対し《召喚》が発動されました。《召喚に》応じますか? YES/NO』
俺はYESを押す。すると頭上に魔法陣が現れ、近づいてくる。そして一瞬目の前が真っ白になり、そしてまた見えてくるようになると…
「うさぎさんおかえりー!」
「ぐほぁっ!?」
何かが俺に飛び込んできた。まぁ声とこの的確に鳩尾をとらえてくることからヒナなんだろうけど…
「た、ただいま…げふっ」
「お、お帰りラビ君、だいじょうぶ?」「お帰りなさい…大丈夫ですか?」
俺の言葉にベルとサイカが答える。
「う、うわぁきれいに入ったねぇ…」「ストライク~」「お帰りプーちゃん、素材は?」
ルシ、シア、アンの三人は俺の心配などせず、ルシに至っては素材の件を聞いてくる始末。そういえば店を立てる手伝いをしてた時もこんなだったなぁ…
「ーーうん、金剛糸3スタック、確かにもらったよ。装備の作成の代金はちょっぴりサービスしとくね」
「ちょっぴりかよ…」
「気を利かせて10スタックくらい持ってきてくれてたらただでやってあげてたかもねー、プーちゃんは気が利かないからね」
「OKわかった今から追加でとって来ればタダなんだな?よっしゃいってくるわ」
「もうおそいよ」
ぐぬぬ…確かに素材がないって言ってたから10とはいかなくても多少多めに持って帰って来ればよかった…ん?ちょっとまてよ?
「そもそも3人分の服作るのに前までそんなに糸使ったか?」
忘れてたけど俺の装備作ったときはせいぜい5個しか使わなかったけど…
「使わないよ?どうせならと思って二倍の数頼んどいたんだ」
こ、このやろう…
それじゃ装備をつくってくると、ルシは自分の作業場へこもっていった。
その間俺たちはというと…
「お、このクッキーうまいな…」
「ほんと?ありがと、まだいっぱいあるからね?」
「紅茶もおいしいですね~」「ほんと。お代わりもらえる?」
「私もおかわり!」「…わたしも」
ベルが作った紅茶とクッキーで優雅な?ティータイムを楽しんでいた。
「…ていうかちゃっかりまざってるけどおまえらは装備できたの?」
俺はいっしょにクッキーを食べているシアとアンに尋ねた。すると二人は、
「大丈夫大丈夫~」「できてるよ。あんまり手がかからなかったからね」
「ふーん?どんなの作ってもらったんだ?」
「ええっと…これだよ」「これです」「これ!」
俺が訪ねるとベルは銀の腕輪、サイカはきれいな装飾のついた細剣、ヒナは何やら杖…というかステッキ?のようなものを見せた。
ベルとサイカは変わってないとして…
「ヒナの武器、本じゃなくなったのか」
「これがいいっていってたからね~」
「へぇ…なんで?」
「秘密!」
俺の疑問にアンが答え、ヒナが秘密という。服ができたらわかるということなので楽しみに待っておくとしよう。
「それにしても…」
「ん?」
シアが切り出す。
「契約にそんな使い方があったとはねぇ…」
シアはじっと、俺の首についている首輪を見ていた。
俺はその視線を受け止めながら答える。
「まぁなぁ…まさか獣人も契約できるとは思わんかった」
「ていうかそもそもどうやって見つけたの?」
「…偶然の産物としか言えないな」「あ、あはは…」
俺の言葉にベルも苦笑いをする。ほんとボタン連打の誤爆ってよく起こるよなぁ。
「うーん、こんなことなら私たちの店の手伝いをしてもらってた時に実験しておけばよかったかな。アンが遊びでとってたし」
「何なら今から契約する~?」
考えていたら二人がそんなことを言ってきた。その冗談に俺が反応する前に、
「だ、ダメです!」
と、ベルが食い気味で反応していた。
…どしたのベルさんそんな過度に反応して…。
そんなことを思いながらベルを見ていたら、ベルが気付き、顔を赤らめながら弁明?をした。
「え、あっ、ち、違うのラビ君!これは決してラビ君は私のとか言い張るわけじゃなくて…あの…その…」
…ふむふむなるほど、つまり報酬を払ってるんだから裏切られては困ると…。
「大丈夫だベルさん」
「うぇっ!?何が!?」
「報酬の分はしっかりと働かせてもらうから!」
俺がサムズアップとともにそう言い放つと、ベルは何やら落ち込んでしまった。あれ?なんか間違えた?
そしてその沈黙は、ルシが服を仕上げてくるまで続いた。
ーーーベルーーー
うぅ…ラビ君の馬鹿…
私はラビ君の発言に落ち込んだままサイカとヒナの二人とともにシアさんのもとへ行った。
「ちょっとラビ、あれはないでしょ」
「鈍感なのは罪だよ~」
「え、ちょいまてなんのことだ?」
クッキーを食べてたテーブルではラビ君がシアさんとアンさんになにやら説教のようなものをされている。
…はぁ、あの様子だとほんとにわかってないっぽい。
「姉さん、元気出して?」「元気出してー?」
サイカとヒナに慰められる。うぅ、涙が出そう。
「なにやらプーちゃんがやらかしたみたいだね…大丈夫?」
「大丈夫です…それで服の方は…」
「うん、3人分ばっちり仕上がったよ」
ルシさんはそう言って、3着の服を見せてくれる。私たち3人の要望はちゃんと取り入れられているようだ。
「これ着て、プーちゃんを悩殺してやろう!」
「の、悩殺はちょっと…」
そんなことを言われながら、私たちは着替えることにした。
「ーーそれではご開帳!」
「ど、どうかなラビ君?」「どうですか?」「うさぎさんどー?」
私たちはラビ君に新しい装備を見せた。
まず私。
上は黒い長そでブラウスに赤いリボンをつけ同じく赤と黒のポンチョを羽織っている。
下には膝丈までの赤のチェックのスカートをはいている。
次にサイカ。
上は黒をメインにして、白のラインがいくつか入った長そでのジャージ?を着ている。
下は黒のショートパンツで膝上までのニーソックスをはいている。
そして最後にヒナ。
ヒナはドレスをちょっとアニメチックにしたようなもので…ロリータ?が一番近いのかな?
あとはさっき作ってもらったステッキをもって、魔法少女の完成(と本人は言っている)
それを見たラビ君の感想は…
「お~…かわいいじゃん」
…え?それだけ?
「ちょっとプーちゃん、それだけ?」
たまらずといった感じでルシさんが問う。
ラビ君はそれをうけて…
「いや、正直何を言ったらいいかわからない。かわいいの一言に尽きると思います」
という。
どうやらこういったシチュエーションに慣れてなく、言葉が出なかったとのこと。
まぁそれならしかたないのかな?
リアルで私服を見せるときはもっと褒めてほしいかな。
そんなことを思いながら、ティータイムを再開することにした。
「ところでなんで全員メインカラーが黒なの?」
「「…」」
い、言えない!ラビ君とお揃いがよかったなんて!
…ていうかサイカもお揃いがよかったのかな?黙ってるけど…
私がなにも言えずにいるとヒナがいった
「兎さんとお揃いがよかった!」
「おーそうかそうか、ありがとうな」
ヒ、ヒナ!?恥ずかしがらずに直球で言うなんて…
ヒナ…恐ろしい娘っ!?
ラビ君と追求はそれで終わったのか、再び6人で雑談が始まった。
ルシアンさんたちは会話が終わるまで終始、私を見てニヤニヤしていた。
アオイです。
冬休み、終わりました。
そして課題、オワリマシタ(意味はご想像にお任せします)
そして冬休みが終わればうちの大学にはビッグイベントがあります。
そう、期末試験です!
…オワリマシタ\(^o^)/




