第8話
スキル紹介
《料理》:作った料理に効果を追加できる一般スキル。
「ーーふむ、ちょっと早く来すぎたか?」
俺は学校から帰ったあと、すぐにALOにダイブし、すこし地獄の蟷螂狩りをしたあと(ちなみに収穫0)、噴水広場にある時計塔の下で、人を待っていた。
最初は10分前に待っていればいいかと考えていたのだが、意外と早く蟷螂狩りで心が折れ、30分前にきてしまったのだ。ほんと、物欲センサーって怖いわ。
さて、これからどうすっかね…。
「…ほうほう、森の一層目でメタスラの目撃情報か…これはーー」
「うさぎさーん!」
「お?」
暇つぶしに雑談スレッドを見ていて、おもしろそうな書き込みを見つけたのと同時に、声をかけられた。俺をうさぎさんと呼ぶのは今のところ一人しかいない。
声をかけられた方を見てみると、やはりヒナだった。ヒナはそのままこちらへと駆け寄ってきて、俺に抱き着いた。…え?うらやましい?ならかわってやろうか?その代わり、鳩尾になかなかの衝撃を食らうぞ?
「ぐふっ…ようヒナ、昨日ぶり。」
「うん!」
ヒナはにこりと太陽のようにまぶしい笑顔をこちらに向ける。
そして、比嘉咲さん、じゃなかったベルとサイカもこちらにきた。
「こんにちわ、ラビさん。」
「あぁ、こんにちわ。」
サイカは礼儀正しく頭を下げて挨拶をする。
そしてベルも…
「え、え、え、えと、ここここんにちわ!」
…どしたのベルさん?
困惑しながらも俺は挨拶を返す。
「あ、あぁ、こんにちわ、ベルさん」
…うーむ、どうしたんだベルは、顔真っ赤にして…。
心当たりは俺がクラスメイトだってばれたのだろうなぁ…やっぱり昨日言っときゃよかったか。
確か昨日、彼女とはクラスに好きな人がいるという相談ならぬぶっちゃけトークをした覚えがあるが…これが原因か。
「…大丈夫だ、ベルさん。」
「ふぇっ!?だ、大丈夫ってな、何が!?」
ベルがさらに慌てる。これは早く安心させねば。
「俺、口は固いから。」
「…」
あれ?なんか今度は落ち込んだ。なして?
ーーーベルーーー
「えっ!?姉さんとラビさんってクラスメイトだったんですか!?」
サイカが驚きの声を上げる。
私たちは今、稲葉君、じゃないラビくんに案内されてとあるクエストを受けるために街を歩いています。
そして歩きながら、今日待ち合わせができた理由、および私がこんな状態である理由を話しています。
そこでラビくんはこういいます。
「あぁ、だから昨日ベルさんが俺にした恋愛相談みたいなもので慌ててるんだと思ったんで、言いふらさないということを言ったんだが…。」
ちがう、そうじゃないよラビくん。私しっかり好きな人の特徴いったよね?眼鏡をかけてて、黒髪で…あ、うちのクラスの男子意外と眼鏡率多かったねそういえば。
「はぁ…。」
「え、ええっと、あ!ついたぞ!ここだ!」
ラビくんはすこし困った様子でした。ごめんね。
そして、ついた場所はある一軒家でした。入り口にあるナイフとフォークの書いてある看板から推測すると、レストランか何かなんでしょう。
ラビくんはそのままレストランに入っていきます。サイカとヒナもそれに続きました。
…よし!気分を変えて頑張ろう!
私は自分の両頬をパンパンと叩き、気合を入れた後、レストランに入りました。
ーーーラビーーー
『いらっしゃいませ、ティアズレストランへようこそ』
目的の場所に入ると、すぐにNPCが対応する。
ここ、ティアズレストランはNPCがやっているファミレスのようなものだ。おすすめはハンバーグとエビフライのプレート。
んで、ここに来た目的、それはもちろん食事…じゃない。
「料理教室を受けに来たんですが。」
『わかりました。では、こちらへ。』
NPCの店員は進んでいく。そしてウィンドウに、
『クエスト:食べて快適!料理ライフ を開始しますか? YES/NO』
と、表示された。
そう、ここに来たのは一般スキルである《料理》を取得するためだ。
理由は、ベルのためである。そもそも、契約魔法師はモンスターと戦う以前に、モンスターを使役しなければならない。
なので、まずはモンスターと契約することになる。だが、ここで面倒なことがある。
モンスターとの契約には二つの段階がある。まず、モンスターをテイムする、つまり懐かせることだ。そしてテイムした後、契約魔法を発動し、契約を結ぶ。
まぁ、契約を結ぶ点はテイムができればほとんど100パーの確率で契約が結べる。だが、テイムするまでが問題なのだ。
まず第一に、モンスターは敵である。なのでだいたいプレイヤーと出くわせば襲ってくるだろう。この時点で懐かせるなど、絶望的である。
そして第二に、もしモンスターが襲ってこなかったとして、そのモンスターが懐くとは限らないのだ。
この二つにより、契約魔法師は俗にいう不遇職として扱われている。
それで、今回、《料理》を取得しようとしたのはこの後者が理由である。
もし、非戦闘モンスターが出てきた場合、食料などを恵めば、懐く可能性が上がる。ちなみに、ALOでの料理の扱いだが、別にスキルがなくとも作ることはできる。そしてスキルを使用して作った場合、一定時間のステータスの上昇などの副次効果が付くのだ。
そしてモンスターが食べてくれるのは、《料理》スキルを使用したもののみである。
「と、いうわけでベルさん、クエスト受けようか。」
「あ、うんわかった。」
そう答え、ベルはクエストを受ける。
「わたしもやるー」「じゃぁ、私も…」
サイカとヒナも受けたようだ。俺はパスしようかな…
「うさぎさんも一緒にやろ?」
「え゛」
ヒナが俺にそう言ってきた。えーまじすか。めんどいというかなんというか…料理はなぁ…。
「やらないの?」
うぐぅ、この視線が痛い。…しかたない。俺はYESのボタンを押した。
そして4人そろって、レストランの奥の厨房へ行った。そこにはエプロンを付けたNPCがいた。
『やぁいらっしゃい!さっそくだがテストを始めよう。《料理》スキルを取得する条件、それは私が出すお題で料理を作り、私が試食し、合格を出すことだ。今回のお題は卵料理、さぁ!はじめてくれ!』
…まぁ、そんなもんか。さて、卵料理か…どうするかねって、3人ともすでに作り始めとる!?はっや!?
え?なに?ヒナって確か小学生っていってなかったか?え?つくれんの?…まぁ俺も作るか。
20分後
「できた!」「「できました!」」
ヒナ、ベル、サイカの三人がそれぞれ作った料理を差し出す。それをコック(仮)が食べる。
3人とも作ったものはオムレツのようだ。ヒナのはちょっといびつになっているようだが、素人目でうまくできていると思う。
『ふむ、多少見栄えが悪かったのもあるが、味は問題はない。3人とも合格だ。』
まぁ結構一般スキル取得の条件って緩いからな。簡単に合格できるだろう。
さて、最後は俺のだな。
「どうぞ。」
俺は皿をコック(仮)の前に置いた。それを見たコック(仮)の動きが止まった。そうして、コック(仮)は俺に聞いてきた。
『これは?』
「目玉焼きです。」
俺は即答する。俺が作ったものは卵を割って焼いただけの目玉焼きだ。それ以上でも以下でもない。
『いや、でもーー』
「目玉焼きです。」
多少、いや、かなり黄身の部分だけが真っ黒に焦げててほんとに目玉のようになっていてもそれは目玉焼きです。
これをみたコック(仮)の表情が、まるで人が入っているかのようにリアルに見えたのは俺だけだろうか…。
3姉妹のオムレツ
名称:オムレツ
効果:HP10%回復
概要:丁寧に作られたオムレツ。
ラビの目玉焼き
名称:メダマ焼き
効果:毒のBS付与
概要:食べられません。
アオイです。
やはりこういったハーレムものにはメシマズを一人入れたほうがいいかなとおもい、入れてみました。
え?ちがう、お前じゃない?…不器用設定を付け加えたくなかったのです…。
それはそうと、最近別の小説を書きたくなってつらいです。
どうしてこう、連載物を書いていると別のものを書きたくなってくるんですかね?
友人がもう一個連載はじめるという暴挙を進めてきたりしますが…
実際問題もう一話週に書くとなると時間あるかな…あ、レポートもあるんだった(白目)




