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9/2 校内案内


 YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌 9月2日 色々ハチャメチャ始業式を経てのもの


先書き物〜






 清水夫妻の衝撃告白で大いに盛り上がった始業式も無事終わり、教室に帰って提出物やらなんやらを終え。

 掃除をして帰ろうかとしたその時。


「あ、青空。お前午後からって、なんか予定入ってるか?」


 背後から呼び止められ、そちらへと視線を向けると、合田が歩み寄りつつ訊いてきた。

 それを見つめつつ暫し考え。


「…………今日、師匠のホテルに引っ越しだから、夕方までなら」

「そんなかかんねーって。校内案内するだけだから」


 苦笑しながら告げる合田に頷き、「萌……あ、鹿島も一緒だけどいーか?」と聞いてくるのに頷いて、その後について二年生の教室がある所にいく。




「ヤスお兄ちゃん! こっち早く終わったから、萌迎えに行こうと思ってたのにー」

「走るなよ、萌。大体、場所わかんねーだろ」

「そんなことないよー」


 合田と渚の元にパタパタと駆けて来るのは、萌。

 そのにっこり笑顔に、側を行き交う生徒(主に男子)が足を止め視線を注ぐ。

 しかしそれも合田の睨みにより、そそくさと去っていくものが大半である為、廊下の流れはスムーズだ。


「渚先輩こんにちは」

「…………こんにちは」


 その間に渚に気付いた萌がぺこりんとお辞儀し、それに渚が返事を返し。


「じゃ、行こうか?」


 一つ息を吐きながら合田がそう言った、その時。


「あ、渚だ。ヤホー」


 ヒラヒラと手を振って、そう声をかけてくる可憐な少女が一人。


「ちょ、ちょっとルナ! 先輩だよっ!?」


 と、その後を慌てて追ってくる可憐な少女がもう一人。

 この二人、瓜二つの容姿をしていて、手を振っているのは始業式で嫁発言した如月瑠奈。もう一人は瑠奈に嫁だと言われた如月澪だ。

 ペコリと頭を下げてすみませんと謝る澪に、


「…………別に構わない」


 ぽつりと告げる渚。それににぱっとして瑠奈。


「なになに? なんで渚が二年の廊下(ここ)にいるの?」

「…………校内案内してくれるみたい」


 訊いてくる瑠奈に呟いてすぃ、と視線を合田に向ける渚。それを受けて合田が告げる。


「お前らも混ざるか?」

「皆で回ったら楽しいよね! レイちゃん達も一緒に行こうよ」


 それにポンと手を打ってにっこりする萌。二人を見やり、ん〜と悩んでいた瑠奈だったが、


「いいや。ボク、レイに案内してもらうから。行こっレイ!」


 そう言って澪の腕に抱き付き、またね渚〜と手を振りながらてってけと歩いていく瑠奈。


「ちょっと待ってよルナっ! ご、ごめんね萌ちゃん。先輩達もすみませんっ。もぅルナ、引っ張らないでってば!」


 瑠奈に引っ張られながら謝り、まるで引きずられるかのようにして去っていく澪。

 その後を、「校内案内? それなら任せて!」と話を聞きつけ、何処からともなくわいて出た男女問わず十数名の生徒達が、賑やかについて行く。


「なんかすげーな……」

「うん……」

「…………(こくり)」


 それを見送り、ぽつりと呟く合田と萌、頷く渚なのだった。




「家庭科室、理科室、音楽室、視聴覚室に美術室……覚えたか? 萌」

「え〜、一回じゃ無理だよヤスお兄ちゃん」

「そっかぁ〜? 青空は?」

「…………海外(むこう)のキャンバスよりは、小さいから問題ない」

「ほらみろ」

「えー」


 等々言い合いながら、校内を進んでいく三人。


「部活あるトコは後でいいとして……後行ってないのってドコだ?」

「えーっと……あ! たぶん図書室だよヤスお兄ちゃん」

「…………!」


 二人の後をついて行きながら会話に耳を傾けていた渚の目が、その言葉を聞いてキラリと光ったがそれに気付いた者はおらず。

 暫し歩くと見えてきたのは図書室のドア。


「ここが図書室な。後は、部活してるトコ覗きがてら案内だけど。中、見るか?」

「う〜ん、今度でいいかなぁ。渚先輩は……」


 暫し悩む萌だったが首を振り、渚に声をかけようと後ろを振り返ったが。


「あれ?」


 そこに渚の姿はなく、反対方向から声。


「…………調べ物、あるからここで。案内ありがと合田」


 図書室のドアをすすす……と閉めながら呟く渚。


「いつの間に……」


 呟いて、ぱちくりと目を瞬く合田。驚きながら前後を見返す萌。

 そんな二人にぽそりと呟く渚。


「…………それに……これ以上、邪魔しちゃ悪いし」


「えっ!?」

「な、渚先輩っ!?」


 瞬間、頬を染めて慌てる二人に微かに笑み、渚は図書室のドアをパタンと閉めた。


「あっ、お、おいっ!?」


 それに慌てて合田が声をかけるが、返答はなく。



 暫し、呆然と図書室のドアを見つめる二人だったが、


「……部室、いくか?」

「う、うんっ」


 呟いてどちらともなく歩き出し。

 図書室を後にするのだった。



校内案内して頂きました〜☆

あ、合田君に萌ちゃんを褒めさせるのを忘れてました…

図書室に、そりゃーいきますよ、渚ですから(笑)


YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より、合田君、萌ちゃん


*天燕*様の精霊憑きの新天地?より、レイちゃん、ルナちゃん


お借りしております

おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ



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