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9/1 打ち上げだー!2




「一仕事終えた後のビールは格別だぜぇ〜!」


 ぐぃーと大ジョッキで一気に麦酒をあおるのは大将。既にその周囲にはビールの缶がかなり転がっている。


「……何もしてねぇよな?」

「でかいカツオとマグロ、釣ってきたからだろ?」

「飲み過ぎないでくださいよ? 明日も漁あるんスから」

「バカ野郎っ! こーゆー時は、目一杯騒ぐのが礼儀ってぇモンだ!」


 ガハハ! 髭を揺らして笑う大将を、同席している漁師達と、その側を通りかかった太陽(ひかり)が苦笑混じりに見つめるのだった。




 その少し向こうの席では、学生組が賑やかに卓を囲んでいる。


「鎮。それ、二個目なんじゃないの?」

「ん? 三個目ー」

「えー、どんな早業!?」

「涼維。わたあめに関しての鎮兄の対応は異常だから」


「なんか凄いよね、あっち」

「宗兄、それ自分もだから。さっきまで鎮先輩と、そこで寸劇してたじゃない。あ、ほら鈴音。余所見したら溢れる」

「だいじょーぶだよー」

「大丈夫、じゃないよ鈴音? トマト転がってる」


「みあとのあが真似するから、いい加減やめなよね。大体、何させられるかわかったモンじゃないのに、(あみ)ねぇと交渉なんて」

「今回は、打ち上げ後の(ここ)の後片付けー」

「それって一個につき? それとも三個で?」

「海ねぇだし、一個につきだろーなー」


 呟く隆維にさらりとカラスマントが告げる。


「一個目俺、二個目千秋、三個目隆維と涼維なー」

「勝手に頭数に入ってるっ!?」

「予想通りといえば予想通りだけど……というかいつも通り、かなぁ?」

「海ねぇが、ニヤリとした顔でこっち見てる。諦めるしかねーぜ」


 等々の声が飛び交う中、打ち上げは続き。

 暁智による、秋の新作スイーツ試食会が始まったり、飲み比べ大会が巻き起こったりと、大いに盛り上がる打ち上げ。



「明日も早いですし、そろそろ……」


 との渉の声を皮切りに、帰り仕度を始める面々。

 その頃には朝早い漁師組は既に引き上げていた。

 司と渉を家まで送って行くと(むつみ)が車を出し、それを皆で見送ってから、さて帰るかと各々別れかけた所に、


「バイト組、集〜合〜♪」


 含みある海の声が響き。

 後片付けがあるんだったと苦笑をもらす日生兄弟達と、はてな顔の山辺兄弟妹達の目の前に。


「これ、な〜んだ?」


 ピラリ、七つの茶封筒を差し出す海。

 それに、驚いた声を上げるのは日生兄弟。


「そ、それはっ」

「でっ、伝説の!」


『給料袋〜〜っ!?』


「マジで?」

「僕達が、中学上がった時以来じゃない?」


 各々声を上げる中、端末に統計画面を出しつつ渚が告げる。


「…………前年度、前々年度に比べて、右肩上がり。今年の売上げ三割増し」

「だ・か・ら〜♪ ま〜額的にゃ少ねぇけどさ、頑張ってくれたご褒美ってな♪」


「えっ、でも……元々バイト料は賄いで、って話でしたよね?」


 目を瞬きながらそう告げる宗一郎に、海から給料袋を受け取った空が歩み寄りながら告げる。


「見込み以上の売上げ高なら、返還するのがARIKA(ウチ)のやり方だから」


 にっこり笑って、お疲れ様でしたの言葉と共に茶封筒を差し出す空。

 宗一郎、公志郎、天音、鎮、千秋、隆維、涼維と手渡していく。

 給料袋が全員の手に渡った所で。


「お疲れ様でした〜♪」


 ニヤリと海がそう告げ。


『――ありがとうございましたっ!』


 それに、声を揃えて頭を下げる面々。七人が頭を上げたのを見やって、


「んじゃまぁ、来年もよろしくって事で〜♪ あ。無駄使いすんじゃね〜ぞ? あと、芹香、みあ、のあ、鈴音には、焼き菓子の詰め合わせな〜♪」


 来年も宜しくとサラリと告げて、きゃあきゃあとはしゃいでいるみあのあ達に、焼き菓子の入った袋を手渡していく海。


「一気に食うなよ? 虫歯になっちまうからな〜」

「わかってるわよ!」


 そんなやり取りをする海と芹香、周りにいる子供達に太陽から声がかけられる。


「そろそろ帰らないと明日の朝、起きるの辛いわよ〜?」

「えっ、でもまだ後片付けが……」

「ある程度でいいわよ〜。もうホント、お店スペースだけだしね〜」


 にっこり告げる太陽に、えっとそれじゃあ、と頭を下げ。

 明日学校でなー、と日生兄弟妹に見送られ帰っていく山辺兄弟妹達。

 ある程度片して、鎮達と一緒に店を後にする陸達。


 そうして、騒がしかったのが一変、若干の静けさに包まれる店内に残るのは、太陽、暁智、彩夏、沙夜香、信弘の五人。


「あ〜、今年も終わったわぁ〜!」


 椅子に座ったまま、うーんと伸びをする太陽。

 一つのテーブルに集まって、酒の入ったグラスを掲げる暁智、彩夏、沙夜香、信弘。

 それに太陽もグラスを掲げ。


『お疲れ様でした〜!』


 カンッとグラスを響かせ合い。


「んじゃあ、飲み(いき)ますか〜!」


 ニカッと笑って言う太陽に各々が笑みを返し。


 大人達の夜はゆっくりゆっくり、更けていくのだった――……



伝説の給料袋ってなんだ(笑)

今年の売り上げはかなり?よかったようです


きっと来年(もう今年ですね)の夏も変わらずお借りするかと思いますので、宜しくお願い致しますです♪

太陽さん的には、萌ちゃんとか合田君とかもリスト入れてそうですよ?(笑)


YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より、ちらりと司先生、渉先生


とにあ様のURONA・あ・らかるとより、日生さん家と山辺さん家


お借りしております

おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ



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