表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/373

8/25 バザー・昼過ぎ


YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より

8月25日 その4 紅き誓いを胸に


朝陽真夜様の悪魔で、天使ですから。inうろな町より

8月25日

Part 03 慕われし白


とリンク、合間話です〜






 昼時とあって、賑わうARIKA出張店。

 (あみ)(うしお)が忙しく動き回る中、知った声がかけられる。


「海!〈ふわふわアメリカンドック〉二つと、〈夏野菜のうまとろスープ〉一つ頼む!!」


 その声に振り返ってニヤリ。


「あいよ!! お、小梅っちに、ユキっちじゃねえか♪ 果菜ちゃんも昨日ぶりー。汐――、お皿二つとカップ一つ、取ってくれー」


 海のその声に、先に注文を受けていたお客さんに商品を渡して、パタパタと汐が駆けて来ながら告げる。


「はいはーい。あ、司先生に、ユキお姉ちゃんだー♪」


 お店に来てくれていたのは、司先生達だった。

 いらっしゃーいとにこにこ言って、司先生のお腹を見て、


(ピンクとブルーのキラキラだぁ〜っ!)


 と思いながら声を上げる。


「司先生のお腹のキラキラ、二つに分かれてる! 双子ちゃんおめでとー」

「ありがとうな。ユキ達も好きなのを頼んでくれよ」


 そう言う司先生の言葉を聞きながら、海は内心驚いていた。


(なにっ!? 小梅っち(子供体型)が赤ちゃん(子供)を産むだとっ!?)


 そんな海の心を見透かしてか、司先生から声がかかる。


「海、お前今、もの凄く失礼な事を考えているだろう?」

「えぇ〜? なんも〜? あたしはタダ、めでてぇなぁ〜って思ってただけだよ〜ん? なんなら、めでたいついでに夫婦割(二割)にしてやんよ〜?」


 あっはっは、と笑う海を訝しげに見つめつつ、二割ならと、司先生は商品を追加するのだった。




 汐の手前、ライブでの非礼を詫びてから訊ねる海(じゃないと後が面倒)。


「ユキっち達は何にする? ってか、また凄い格好だぁねぇ〜? 汐に聞ーたけど一番君、悶絶して倒れるんじゃない?」

「そ、そんな事は……皆さんに言われるんですけど……そんなに凄いですか?」


 海の言葉に、恥ずかしげに頬を染めて呟くユキちゃん。白のゴスロリ服は確かに凄いけど、と思いつつ笑って海。


「まぁ、可愛いんだからいーとは思うけどねぇ〜。っと」


 告げて、その額にすぃ、と手を添える。


「えっ!?」


 驚くユキちゃんを他所に、自分の額にも手をあててうーんと唸り。


「熱はないみたいだけど、体調良くなさ気だな? あんま無理すんなよ、ユキっち。温かいのにしとく?」


 そう言った時にはもう額からは手が離れていて、先の注文品を詰める作業に戻っている。

 早業だった。

 たぶん、気付いている人はいない、はず。

 じゃあ、それでお願いします、というユキちゃんに温かいのを渡した時に、バチリと目が合った、傍らに立つ同じくゴスロリ(此方は赤)の少女、ベルっち(店先での自己紹介会話が聞こえていた為)には、ニヤリとされたが。




 次に、司先生に促されて悩んでいるベルっちへと声をかける海。


「んで、ベルっちはなんにする?」

「ベ、ベルっちっ!? それはまさか、ベルの事か? ……ベルっち……ま、まあいいだろう。そう呼ぶ事を許そう」


 海のその呼び名に一瞬驚くが、ごほんと咳払いしてから、そうだな、とガラスケースの中を眺め一つ二つ商品を上げ。

 ある一点で、ピタリと動きを止める。


「こっ……これはっ!」


 赤の瞳を見開いて叫んだベルっちの前には、〈大出血!ベリーレッドホワイトサンデー〉(赤いベリーの酸っぱさと香辛料の激辛、それに白の練乳ソースとホイップクリームがふんだんにかけられた、辛さ酸っぱさが甘さとベストマッチした、やみつきサンデーが売り文句の、海の渾身の一品)が、どどんと置かれていた。

 ベルっちのその顔に、ニヤリとする海。


「お、ベルっちお目が高いねぇ〜。それ、ARIKA出張店(ウチ)の限定。イチオシ品だよ〜♪」


 ニヤリとする海に、同じくニヤリとした笑みを浮かべるベルっち。


「ほほぅ。そこまで言うのならば、相当のモノなのだろう。……しかし、ベルは味にはうるさいぞ?」


 挑戦的な、燃えるような紅のその目に、臆する事なく更に笑みを深めて海。


「上等♪ それにそんくらいじゃなきゃ、作り手としても張り合いないからねぇ〜。損はさせねーよ〜?」

「……いいだろう。ならばこのベル・イグニスが、お前の腕、確かめさせてもらう!」


 笑みを含んだ黒と紅の瞳が、交錯し合うのだった。




 昼食を取る為、一端体育館外のテントに行く一向を見送りながら、呟く海。


「お揃いのゴスロリ服で、まるで姉妹みたいだよなぁ、あの二人。ユキっちが姉でベルっちが妹ってトコ?」


 それに汐が違うよと言う。


「えー、違うよ〜。ベルのお姉ちゃんの方がお姉ちゃんで、ユキお姉ちゃんの方が妹さんだよ〜」

「どー見ても、反対にしか見えないんだけど?」


 首を捻る海に、汐はくすくすと笑って。


「絶対、ベルのお姉ちゃんのがお姉ちゃんだよ。だってベルお姉ちゃんの〈キラキラ〉、炎の翼、一対のそれで、ユキお姉ちゃんを優しく包んでるもん」


 すっごく綺麗であったかいんだよ〜、と笑う汐の頭に。


 てぇい、とチョップが落とされる。海からの攻撃だ。


「いたぁ!?」


 突然のそれに声を上げ、頭を押さえて踞る汐。そのまま恨めしそうに海を見上げるが、海はニヤリとした笑みのまま告げた。


「〈力〉の事、むやみやたらといっちゃあダメだって、分かってんだよなぁ?」

「あっ!」


 それに今更口を押さえる汐だが、既に遅し。

 海の笑顔が、(むつみ)のお怒りモードなみに恐い。

 〈力〉の事は、言ってはいけない事だと、言い聞かされている。

 それ故に、汐のこの反応と海のこの対応は、ある意味当然といえば当然だった。


「でっ、でも、〈良いこと〉のなのに〜〜っっ! それにそれに、こんなに賑やかなんだもん、誰も聞いてる人、いないと思うの〜」


 あわあわしながら、えへ、と苦笑を浮かべて告げる汐だが、海の笑顔は変わらない。


「あんた、帰ったらおしおき決定な」

「ええぇ〜〜っっ!!」


 海の無慈悲な宣告に、汐の情けない声が、賑わう会場内に上がるのだった。


海、失礼(苦笑)

ごめんなさい、司先生

キラキラがピンクとブルーなのは、女の子と男の子だからですよ〜


ゴスロリ姉妹って可愛いですよね〜♪


YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より、司先生


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より、ユキちゃん、賀川さん


朝陽真夜様の悪魔で、天使ですから。inうろな町よりベルちゃん


お借りしております


おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ