8/25 バザー・朝・準備中
「うん、良〜い天気じゃ〜ん♪ 絶好のバザー日和だなっと」
うろな北小の体育館。
割当てられたスペースに商品を搬入しながら、青空を見上げて呟く海。
今日のバザーに海の家ARIKA出張店として、参加していたのだった。
「海お姉ちゃん、コレはどこに列べるの〜?」
体育館の中から、そんな汐の声が聞こえ。
「自分で列べてみな〜? 上手いこと列べられたら、そのまま採用してやんよ♪」
「本当っ!? 頑張るっ」
海の声にぱぁっと笑顔で答えて、汐は設置されたガラスケース付きの台に、商品を列べていく。
その間に海は外に設置された台に、揚げ物が揚げられるよう調理場を組み立てていく(体育館内は火気厳禁の為)。
コンロ、鍋、油切り台、衛生面も考慮して、周りに折りたたみ式のクリア版を立てたり……と着々と準備を進めていく海の耳に。
「海お姉ちゃんっ! 塩ライチサワー(お酒)なんて持ってきたら、ダメなんだよっ!」
ちょっと怒った感じの汐の声が響く。それに、肩を竦めて海。
「ち〜がうって。ちゃんと乳飲料〜。なんなら汐、飲んでみるかぁ〜?」
サワー=お酒、と思ったらしい。
確かに、蒸留酒を酸味の強い果汁で割ったものをサワーというが、乳酸などを用いた酸味のある飲料も、サワーという。
まぁお酒の方も、ない訳じゃあねぇけどな〜。と思いながらニヤリとする海を、むぅ〜と汐が見つめていると。
「おはよう。海ちゃん、汐ちゃん」
穏やかな声がかけられる。
その方向を二人が見やると、にこにことした拓人先生が、近付いて来た所だった。
それに、ニヤリとして海が告げる。
「昨夜ぶり〜、拓人っちおっはー。ほら、汐。拓人っち今日は忙しいだろうから、今の内に渡しちまえよ」
「あ、そっか。拓人先生、ちょっとだけ待っててね。すぐ持って来るから〜」
海に言われ、持ってきていた夏の宿題を、スペースに取りに行く汐。
それを、手を振って見送る海。そんな海に拓人先生から声。
「本当に、持ってきてないよね?」
「拓人っち、バッチリ聞ーてんじゃん。だ〜いじょ〜ぶだってぇ。その辺は弁えてるからよ♪」
「……くれぐれも、問題は起こさないでね」
にししと笑う海にはぁ、と拓人先生がため息を吐いた所で、体育館の中から汐が手提げバックを抱えて戻ってきた。
「これで全部?」
「えっとね〜、あと残ってるのは、自由研究と読書感想文と〜、日記と図画工作かなぁ?」
日本地図と世界地図はバッチリだよ! とやり取りをする汐と拓人先生を見つめながら、海は準備に勤しむのだった。
開始五分前。
(揚げ物以外)きっちり列べられたガラスケース内を、ぐるりと見回す海。
左側は揚げ物スペース。
〈ふわふわアメリカンドック〉〈唐揚げ(塩胡椒orネギソース)〉〈串カツ〉〈コロッケ〉などが置かれる。
真ん中はドリンクスペース。
〈夏野菜のうまとろスープ〉〈コーンスープ〉〈塩ライチサワー〉〈極み茶〉〈搾りたてフルーツジュース(ミキサー常備)〉(ものによっては温・冷両方)などが。
右側はスィーツスペース。
〈ベリーとフルーツトマトのハートケーキ〉〈ゴボウとチョコのパウンド〉〈ホウレン草とホワイトチョコのキューブ〉〈キャロットケーキ〉(大体カップ入り)など、夏ということで野菜スィーツが。
スィーツの中では、一番良く見える所に置かれた、〈大出血!ベリーレッドホワイトサンデー〉が海のイチオシだったりする。
因みに、頑張って列べた汐の案をしっかり採用。
押しの商品を、良くわかっている。
うんうん頷いてから、海と汐は顔を見合わせ。
「ぃよっし! んじゃーいっちょ、頑張りますかっ!」
「お――っ!」
拳を、勢い良く天に突き上げた。
始まりました、バザー回!(遅っ
たぶん、他にも商品はありそうです
150円〜高くて400円くらいでしょうか
ライチサワー(お酒)の方は、バザー終了後に海が飲む分だと思われます
YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より、拓人先生
あとお出し頂きました商品を
お借りしております
おかしな点等ありましたら、お知らせくださいませ




