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8/8 三回戦・その2




「あまり割りすぎないでくださいね。いきなり落ちるなんて事になったら、シャレになりませんから」

「わかってる」

「やっぱ上を減らしつつ、ゆう感じかいな?」

「それが妥当や思うけど。中に子供おるんやし、出来るだけ安全にいかな」


 所々で確認しながら、ドームの風船を割りにかかる四人。


 高度がある為、水鉄砲での場合は通常の状態での最大出力で打ち上げなければ届かず、それ故に水が一気に持ってかれて給水場と往復する頻度が高いのが難点だが、なんとか、順調に尚且慎重に、風船を割っていっている。


 ランチャーで応戦する香我見の方も、センサー追尾で難なく風船を割っていく。ただ、自動(オート)で一気に割る事が出来ないうえ、ふよふよとドームが空を漂うので、細かな微調整は手動で行わねばならず、更に、使い尽くした後の供給時間が長いのが難点だった。


「あー、また終わってしもたでこっちは。佐々木君らはどないや? いけるか?」

「充分や! よっしゃ、行くでぇ!」

「おう!」

「バッチリですよ」


 互いの難点を交代制にする事で解決し、間髪入れずに風船を割っていく面々。


 徐々に高度が下がってきていた。

 このまま順調に下げていく事が出来れば、安全に助け出す事が出来る。


「このままいきましょう」


 ノワールの言葉に各々頷き更に慎重に、風船を割っていく四人なのだった。




 その時、風船ドーム内部では。


「大丈夫。鎮兄達がなんとかしてくれる。それに一緒にいるんだから、怖くないでしょ」

「うん、大丈夫。一緒だもん、怖くないよ」


 芹香と鈴音は呟いて、きゅっと互いの手を握り合った。




『段々と高度が下がって参りました〜! さぁ勇者達は、このまま難なくお姫様達を助け出す事が出来るのでしょ〜か〜っ!?』


 太陽(ひかり)のそんな声が響く。

 観客達は、固唾を飲んでそれを見守っている。


 風船もかなり割れて、ふわふわ、漂う度に下へと降りてくるドーム。

 もうこのまま、自然と降りてくるのに任せようと、四人が一つ息を吐いた、その時。


 ボロッと、ドームの一部がいきなり崩れる。


『なっ!?』


 それに、驚きの声を上げる佐々木、香我見、カラスマント、ノワール。


『きゃあっ!』


 ドームが傾いだと共に、二つの叫び声と風船の割れる音が響く。


「芹香!?」

「鈴音っ!?」


 それに叫び返すカラスマントとノワール。暫ししてから中から声。


「大丈夫、風船が割れちゃっただけよ! 怪我とかはしてないわ!」

「この中モコモコなの。だから鈴音も大丈夫だよ」


 返ってきたその声にほっとする。

 しかし、ドームの崩壊は止まらず、このまま待ってる訳にはいかない。

 瞬時に思考を巡らせる。

 何かないか。何か、なにか――……


 その時、ふと目に止まった物がひとつ。


『!』


 ほぼ同時に、それを見てはっとする二人。叫ぶ。


「香我見さん、僕らを〈ランチャー〉(これ)で上げてください!」

「はぁ!? そやかて」

「頼む、時間がないんだ!」


 その提案に驚く香我見だが、今の状況と、仮面越しでもわかる二人の真剣な表情に、


「あぁもう、しゃーないなぁ!」


 吐き出すように呟いて。


「佐々木君も手伝ってや!」

「任しとき!」


 ぱぱっと微調整をする二人。

 その間にヒラリと、ランチャーの打ち上げ口付近に飛び乗るカラスマントとノワール。


『おぉっと。一体何をするつもりなのでしょうか!?』


 太陽の、その声に重なるように。


『いっけえぇ――!!』


 佐々木と香我見の声が響き。


 ドンッ! という音と共に、水塊と一緒に打ち上げられ、崩れるドーム目掛けて空を舞うカラスマントとノワール。


「芹香っ!」

「鈴音!」


 叫んで、手を伸ばす。


「鎮兄!」

「宗兄ぃっ!」


 それに、芹香と鈴音は声を上げ、駆け出して勢い良くその胸に飛び込んだ。


 しかしそれにより、重みの無くなったドームは僅かにだが浮き上がり。

 逆に、芹香と鈴音を抱き留めた二人は、その衝撃によって勢いが止まり。


「げ」

「しまった!」


 結果、ドームの縁を蹴って飛び帰る、という事が出来なくなり。


 芹香と鈴音を抱き締めたまま、カラスマントとノワールは、空中から落下した。




『なにぃっ!?』


 それに驚きの声を上げる佐々木と香我見。

 周囲も驚きに包まれる。

 しかし、それを打ち破るかのような一声が響く。


「いっけええぇ――――っ!!」


 それと共に、砂地を高速で滑っていくマット。

 マットの後方には、リミッター解除されて超高出力でスクリューを噴射する水鉄砲が五本、ガッチリと挟み込まれていた。


 砂埃の立ち籠めるそこには、蹴りを繰り出した状態で立つ渚と天音。

 二人がしていたのはこれだった。


 最悪を想定して、瞬時に動けるように、と。


 その事に、周囲の者達が驚いている内に。

 落下地点に滑り込んだマットに、ボフンと受け止められる四人。

 暫しバウンドする内に、カラスマントとノワールの頭の風船は割れてしまったが、バウンドが収まって四人が恐る恐る顔を上げた所で。


『見事なファインプレーです! 皆様、盛大な拍手をお願い致しま〜すっ!』

「いよっしゃ――っ!」


 太陽と佐々木の声が重なり。


 一瞬の後。

 崩れたドームの風船達が夏空を鮮やかに彩る中、ステージ内は歓声と拍手に沸き立ったのだった。



無事救助っ!


三回戦・結果


脱落者

カラスマント、ノワール、天音、芹香、鈴音


風船一個

佐々木、渚


※ドームとマット撤去


といった結果になりました☆

三回戦もなんとか終了です〜


風船ドームですが、長引く戦闘に終止符を打つべく用意されていたもので、本当は大悪党ヒカリマン(笑)が、上空から無慈悲に参加者の風船を割りまくる為のものでした(笑)


さて、後を残すは最終戦のみ!


弥塚泉様のばかばっかり!より、佐々木くんと香我見くん


とにあ様のURONA・あ・らかるとより、日生兄妹、山辺兄妹


お借りしております


おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ


よしいくぞ、最終戦〜っ!



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