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8/8 合間の海の家ARIKA


二回戦にー





「脱落しちゃったのは残念だったけど、お兄さんとっても格好よかったわ〜」

「はぁ、どうも」


 海の家ARIKAの側に敷かれたブルーのビニールシートに、女性達が群がる。

 その中心にいるのは香我見だ。


「へぇ〜お役所の方なんだぁ」

「えぇ、まぁ」

「あっずるい! 私が先に話しかけようと思ってたのに!」

「早いもの勝ちでしょ〜?」

「ま、まぁまぁ落ち着いてください。ちゃんと聞きますよって」


 香我見の気遣いに、きゃあ〜♪ と黄色い声が上がる。


 ……と共に、何処かで何かがバキリと折れる音が。


 言わずと知れた、(むつみ)の持つボールペンが、真っ二つに折れた音だった。

 なんと、本日三回目である。


 にこり、笑って何事もなかったかのように注文を取り、調理場へと下がる陸。


 その間に、新たな女子達に群がられる香我見。またまた黄色い声が上がる。


 するとベコリ、食材が入れられているトレイが凹む。陸が持っているトレイだった。


 お客さんを其処にいるだけでゲットしてくれるのだから、いつもなら願ったり叶ったりの筈だが、一度香我見(並びに佐々木)を変態と認識してしまったからか、やる事なす事気に障る。


 それを陸が自覚しているのかは別だが、このままだと営業に支障が出かねない。

 そんな陸を見やり、


「大将ぉ……」


 若手漁師が青ざめた顔を大将と呼ばれるおっさんに向ける。それに神妙な表情をして頷き、大将はこっそりと呟いた。


「いいか? あーゆー時の女にゃ、めったやたらに近寄るんじゃねーぞ? 俺等男にゃ、敵わねぇからな」


 ま、俺からすりゃあ陸もまだまだだってこったな! と告げてガハハと豪快に笑う。


 その間に、気を利かせてステージにいる太陽(ひかり)に、事の次第を告げに行っていた公志郎が戻ってきた事により、この微妙な空気に終止符が打たれる。


『さぁて。そろそろウチの看板娘、空を店に返せとのお客様達(ほぼ男)からのプーイングに応える為、ここで〈ランチャー背負い隊〉を、交代したいと思いま〜す! 次なる背負い隊の方はこの方! 企画課の片割れ、香我見君〜♪』


「……なんやて?」


 と、女の子を相手にしていた香我見が、呆けたように告げるより早く。


「ほら行こう? 香我見お兄ちゃん。此処にいるより、きっと涼しいよ」


 と笑顔で告げる(うしお)の誘惑により、戦線復帰を余儀なくされた香我見なのだった。


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