8/8 説明、そして戦闘開始
「中学から上の大人組は、頭と腰とで風船二つね。小学生の子供組は頭に一つ。でも子供組の子達は割れてもあと二回再戦出来るからね」
晴れた夏空の下。言いながら風船の付いたヘルメットと、ベルトを渡していく太陽。
おやつ時で忙しい筈だが、そこはまぁ太陽の人徳である。
「太陽さんの頼みじゃあ断れねぇ!」と、大将その他漁師さん達が手伝いに来ていた。
「使うのは水鉄砲。大人組は一丁とカートリッジ三つ。子供組は小型のが二丁だけどカートリッジはなし。カートリッジは大人組とのハンデだから」
各々に水鉄砲と水満タンのカートリッジを渡しながら言って、にっこりする。
訳がわからないままに風船と水鉄砲を受け取る面々の眼前には、急遽作られたらしいステージ。
四角く仕切られたそこには、土管やら砂を固めて作られた幾数個の小山やら、立てられたポール、マット、跳ね台、風船で作ったドーム等々があり。
この中で戦うのかぁ、とぼんやり理解する大人組。
子供組は普通に、楽しそうにしてる。
「さて、じゃあルールを説明するけど、制限時間は三十分。次戦からは残っている者での会戦式ね。戦闘の仕方は、各自自由。単身でも、共闘するもよし。でも、最後は風船を割られずに残った一人が、頂点に立つ事になるわ」
「武器は水鉄砲のみ。あ、でも事故割れはカウントされるから注意してね〜。故意はNGよ。他に何か質問は?」
にっこり告げる太陽に、水鉄砲ロワイヤル(これ)やる意味は? 等と聞ける者はおらず。
無難に一言。
「プラスカートリッジ×三でも、一丁だけっちゅーんは、正直キツい気がするねんけど」
挙手して訊ねてくる佐々木に、つい、とステージに指を向けて告げる太陽。
「倒した相手の水鉄砲を壊すもよし奪うもよし。でも、大人組は二丁同時使用はダメだからね〜。あとカートリッジは三つ以上所持は不可。それに――給水ポイントはちゃんとあるから、大丈夫よ?」
指差している方を各々が見やると、確かにあった。給水ポイント、二つ。
外用の、長方形のフォルムにろ過機能付きらしい、蛇口の付いたそれが。
海に面した場所にあるそれは、ポンプで海水を汲み上げる仕様らしい。後ろの管が海の更にその奥まで続いていた。
しかし、それがある場所はおおいに問題だった。
給水ポイントは、障害物の何もない、めちゃくちゃ開けた場所にあったのだ!
殆どの大人組は思った。
給水にいったら、確実に集中砲火でヤられるな――と。
「あ、そうだ。間違っても、給水ポイントを陣取ろうとか、思わない方がいいわよ?」
さらりと言う太陽に、まだあるのかとそちらを振り向いた面々のすぐ横を。
バシュウウウウウウウッ!
一線が、駆け抜けた。
「は?」
「え?」
「いっ!?」
「きゃあっ!?」
各々、驚愕したり呆然と飛んできた方を見つめる中、
「…………出力調整、間違えた」
ボソリと告げて、渚がぺたべたとそちらへと赴く。
(……あ、あああっ、あんなん食ろうたら、即逝けてまう――っ!!)
(どないしたら、あんなズバ抜けた性能のモン、作れんねんっ)
驚く佐々木と香我見、その他の面々が見つめる先には、放水の勢いがありすぎて、砂地に尻餅をついた空の姿。
その側に歩み寄った渚は、空が背負っている装置をささっといじくる。
「――っとまぁ、水場を陣取ろうとすると、空が背負っているバックパックから、ロケットランチャーならぬ〈放水ランチャー〉が容赦なく飛ぶから、そのつもりで」
そんな説明をしている内に、なんだなんだと周りに人が集まりだしてくる。
流石夏休み。人が多い上、皆さん大変目敏いようです。
「あとの注意事項は、追って説明するわ。皆さん集まってきちゃったみたいだし、皆、準備はいいかしらね?」
集まってきた観客に苦笑してからそう言って、太陽は並び立つ面々を見回す。
戦地に赴くのは、巻き込まれた、もしくは巻き込んだ総勢十三名。
企画課の二人、佐々木と香我見。
夏の間の海の家ARIKAの三人、海、渚、汐。
そこのお手伝いに来ているはずの、日生家の五人、千秋、カラスマント、隆維、涼維、芹香。
更に今年からお手伝いに加わった、山辺家の三人、ノワール、天音、鈴音。
太陽は審判兼、妨害要員。空も同様に水場の陣取りを防ぐものとして、あと諸々の理由により配置。
陸は、流石に全員が店から離れるのはマズいと調理場に戻り、公志朗も見る専とでも言うように、陸に続いて店に戻る。
そうして、各々が配置に着いた所で、太陽が高らかに宣言する。
「それじゃあ――、戦闘開始っ!」
青い空に、かん高い笛の音が響き渡った。
説明部分を、面白く書くって難しいなぁ…
弥塚泉様のばかばっかり!より、佐々木君、香我見君
とにあ様のURONA・あ・らかるとより、日生、山辺兄弟妹
引き続きお借りしております
おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ
次からやっと戦闘です〜




