8/3 その後・手当て
とにあ様の、返却後話です〜
「空〜。休憩行くならカラスマント(これ)、一緒に連れてって〜」
「はーい」
「えっ!? ちょ、陸ねぇっ!」
戸惑うカラスマントを、有無を言わさずしっしと追いやる陸。
休憩に入る空と渚に促され、来たのは借家の一室。
カカカッと今日の海特製賄い、〈漬け丼セット〉をかき込む渚の隣で、空と向かい合わせで座らされ、強制的に手を出させさせられるカラスマント。
「軟膏塗って、パウダーはたいとこうか」
細かい切り傷を見つめながら、救急箱から取り出した軟膏をぬりぬりとしながら、呟く空。
「喧嘩した?」
「……なんで」
ぽつり呟くカラスマントに苦笑して、告げる。
「いつもなら、千秋君にやらせてるでしょ」
「…………」
ふぃ、顔を背けて呟く。
「空ねぇも、喧嘩くらいするだろ?」
カラスマントのその言葉にきょとんとし、空はうーんと悩んでから、小首を傾げ苦笑して告げる。
「ないかなぁ」
「マジで?」
驚いたように上げられる頭。その顔は仮面に被われていて表情は見えなかったが、こくりと頷いて渚が告げる。
「…………母さんや陸姉、海姉と私、とかならあるけど。空姉のは…………、見た事ない」
カラスマントが仮面の下でその目をぱちくり、としていそうな気配の中、軟膏を塗りつつ空が続ける。
「どうしても、聞き役になっちゃうっていうか……。だから喧嘩出来るってちょっと、羨ましくも思うけど……」
ごめんねと苦笑して、パウダーを出してコットンに取り、はたく。
「長引かせるのは、あんまり良くないと思うよ? どんな事情があるのかは、私にはわからないけど……」
俯いてしまったカラスマントの頭に、手当て終わり、とばかりにぽふりとその手を置いて。
「鎮君もだけど……千秋君も、苦しそうにしてるから……。周りの皆も、きっと心配してるよ?」
「………………」
暫し待てど返答も反応もないのに、その頭に手を置いたまま、空がどうしたものかと傍らの渚を見やるが、
「…………」
渚も無言で此方を見つめ返してくるのみ。
その間に手袋をつけ直したカラスマントは、するりとそこから抜け出して。
「空ねぇ手当てサンキュー。じゃ、俺もう行くわ。お客さん待たせちゃいけないしねー」
「えっ!? あ、ちょっ、ちょっと鎮君っ!?」
空が止める間もなく、ヒラヒラと手を振って行ってしまう。
「……間違えた、かなぁ……」
それを呆然と見つめ呟く空に、さぁ? と渚は首を傾げるだけだった。
まさかの未処置だったので、手当てを
とにあ様のURONA・あ・らかるとより、カラスマントと、お名前だけ千秋くんお借りしてます
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