12/1 フィルが夢見ていた時1
桜月りま様の
12月1日『アリス奪還戦』と暫くリンク中〜
フィルが『夢』を見ていた時。
「あ、……ぅ」
白い白い部屋の中、プールで泳ぐ、アリサの目を移植されたアンドロイド『アリス』と遭遇した賀川は。
かつての想い女性、その女性が蘇り今目の前にいるこの状況に。
心が、そして身体が、上手く噛み合わずそれ故に思うように動かせず、身動き出来ない状態に陥っていた。
しかし、迫ってくる彼女『アリス』の槍は重く鋭く。
『アリス』の槍先が賀川に迫る、その瞬間。
『いやっスよ~付いて来ないでっスよぉ~』
泣き声と共に天井に穴があき、三つ首の黒い獣と、後を追って降ってきた、ピンク色のひょろい男だった。
「ああ、俺末期だよ……こんなのと遭遇するなんて」
『か、賀川さん! みっけたっス!』
『何やってるんスか。そのへっぴり腰……』
賀川の黒い瞳と、獣のオレンジの瞳が交錯する。
その黒い獣がリズだとは賀川は思っていないが、
互いに今の相手は苦手
だというその一点が、二人の思いを通じ合せた。
「取り替えるぞ」
『相手を変えるっスよ』
苦手な相手を取り替えて。
リズは『アリス』を加えて部屋を飛び出し。
賀川はピンクのキリンに対して、迷わず銃を撃ち放った。
ピンクのキリンをプールに撃ち落とし、蹴り落としていた賀川だが。
腹に仕込まれた毒の効果で膝を付き。
先程まで散々いたぶっていたピンクのキリン、田中に。
今度は自分がいたぶられる事になる。
腹に巻いた包帯を切られ、塞がりかけた傷に、指を捩じ込まれる。
しかし、痛みに恐ろしく耐性のある賀川が、それくらいで声を上げるはずもなく。
期待した反応が得られなかった田中は、賀川の、男にしては綺麗なその手指に標的を移し。
大切にされたそれを壊す。
その時の相手のその表情を、叫ぶ声を。
うっとりと想像しながら。
その狂喜を満たす為、手に持つナイフを振り上げた。
「おやめなさい、田中」
そこにーー。
まるで救いででもあるかのような声が一つ、かけられた。
色々お借りしてますー




