表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/373

7/31 聞けないこと2




 汐は人懐っこいからか、感情表現が豊かだ。

 良いことも悪いことも素直に、顔に出して表現する。

 それに、良いことなら自分から話してくるし、嫌なことも、聞けば隠さず答えてくれる。


 しかし普段がそうだからこそ、すぐにわかってしまうのだ。


 汐が言わずに隠そうとしている事が――……

 〈あの力〉絡み、だという事が。


 〈力〉の事に関しては、汐から言ってきたりしない限りは自分達からは、聞いたりしないようにしている。


 知るものが少なければ少ない程危険に合う回数も減るし、防衛の為でもあるからだ。


 昔、力の事がいつの間にか広まっていて、テレビ局の人達が来たりと騒ぎになった事がある。

 素直に答える汐に口止めしなかったのが原因だが、遊び相手である子供達の間の事と、甘く見ていたのだ。


 小さな村での事。

 その話は直ぐ様広まって、大勢の人達が詰め掛けて来た。電気も電話もない、通信手段等ない筈のその村に。


 後からそれが、隣町まで馬を走らせた男が連絡したのだと判明し、問い詰めた大人達によって村の繁栄の為だったという事がわかったが、その時は丁寧に謝罪し、ことなきを得たの筈だったのだが。


 一部の者達はそれでは納得出来なかったらしく、村の者と手を組み、お詫びの為と開かれた宴の席での騒ぎに紛れ、私達の目を盗んで汐に薬を嗅がせ、こっそりとそこから連れ出した。


 それにすぐ気付いたのはお父さんと、初めにその力の事を他の人にしゃべってしまった、汐とよく遊んでいた村の子供で。

 後で聞いた話だと、謝る機会を伺っていたそうで、ずっと汐の事を気にしていたらしい。


 そして、私達が遅まきながらに汐がいない事に気付き、慌てて外に出たその時には、にっこりした顔のお父さんに抱かれ、その男の子と共に帰ってきていた汐の姿があって。


 薬の影響でまだぼんやりしている汐を、皆で代わる代わる叱って、これでもかという程言い聞かせて、思いっきり抱き締めたのは、今やいい思い出だ。


 その一件以来――……

 汐は、私達の前では〈力〉の事はあまり言わなくなった。良い事とかの類いは、たまにポロリ、と言ってしまったりする事はあるけれど。


 悪い事の方は……特に、私達に心配をかける、もしくは迷惑をかける等の類いのものは、本当に、口にしなくなった。


 お父さんと汐にしか判らない力の事で、私達に心配をかけたくないというのは、わからなくもないけれど。


 私達も、同じ事を、思いった事があるのだから。


 だからこそ、話してほしいとも思うけれど。

 でも、それがわかってしまうからこそ、此方からは余計に、聞きづらくなってしまったのは、言うまでもなくて。


 拐われそうになった事件の、詳細は聞けず仕舞いだし、それに――……




 七年前の事も、未だに聞けず仕舞いだった。



三歳児って、なんか凄く良くしゃべるイメージなんですが…(苦笑)


七年前話になだれます〜



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ