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12/1 それぞれの場所で

ストックある分だけ上げます


桜月りま様の

12月1日『アリス奪還戦』とリンク♪





「!?」


 フィルが爆発に巻き込まれた、その時。

 学校の廊下を歩いていた(うしお)の瞳に、飛び込んでくるように視えたのは。

 光輝く、一つの橋。

 フィルと誰か、を確かに繋ぐその橋。


「フィル……?」


 足を止めて窓から、そこからは遠い場所を見やって。ポツリと汐が呟いたと共に。


「……あ、れ……?」


 視界が揺らぎ、力が入らなくなった身体が、床へと向けて傾いでいく。

 視えた景色が現実へと溶け消えていく瞬間、更に。滑り込むようにして見せられたのは。


 青い、蒼い海に堕ちる、血のように赤いモノ。

 それと同時に、寂れた廃墟が燃え盛り、花を模した火弁が、ひらりヒラリと舞い降るその様。


「……ーーっ、……」


 視えた炎の、その熱に浮かされるかのように。

 身体に走る熱と息苦しさに汐は、そこで自分の意識を手放した。




 また別の場所では。

 家人に賀川ではないと疑われなかった機械人形(アンドロイド)の金剛が、捕獲対象である雪姫(ゆき)と一緒に、仲良く遊園地へとお出かけに行き。



 フィルが、書斎で撫子と対峙していたその時。

 先に建物に侵入していた賀川とリズは其々に、戦闘を繰り広げていた。




 屋上から潜入したリズは、賀川との合流を考え、廊下をいく中。

 嫌な匂いを纏う、ピンク色の髪をした者、田中と遭遇する。

 リズの首に田中の指先が触れたと思った時には、首輪を嵌められ、鎖を引かれて膝を付き。

 派手な色の頭、中性的な顔立ちに、細身で長身。

 普通にしていれば、そこそこのイケメンの部類に入るのかもしれないが。

 身体の内面から香り立つ、なんとも言えないその匂いに囚われ。

 息が出来ない程キツい匂いに頭痛を起こし、リズが自分のモノになったと、勝手に思い込んでいる男に向けて。

 気持ち悪い、そうリズが告げた、ーー瞬間。

 振り上げられた銀刀が、リズの胸を深く穿った。


「またやってしまいました……」


 吐かれた言葉に我を忘れ、殺してしまった少女(リズ)を見下ろし、呟く田中。

 自己愛者である田中は、醜いという言葉を告げられると、キレてその者を殺してしまう癖がある。

 人の身でありながら、その内に微細な魔力を有している為に、迫害を受けていたその経験があるからか。

 自分の魔力が、他の魔力持ちを酔わせるモノだと分かると、自ら生み出した細工を嵌めて支配し、玩具とするようになった。

 悪戯に酔わせて捕らえ。玩具とするが、飽きたら始末する。

 田中が今まで玩具にしてきた者達は皆、最後の瞬間、田中が言われたくない言葉を吐き、刺し貫かれて死んでいく。

 そうして、既に何人も殺している田中には、刺殺する事は最早普通に成り果てていた。


 死んでしまった少女を、残念に思いながらも。

 他の獲物がいる事を思い出し、田中はそこからふらふらと歩き出す。


 そんな田中の後ろで、死んだと思われていたリズは、手を動かし、その首輪を外していた。


「ぷっ!」


 あまりの息苦しさに、首輪を外した瞬間、声を出してしまったリズ。

 側にいた田中に、それが聞こえない訳がない。

 殺しても死なない獲物なんて、素晴らしいと呟き、是非とも私の嫁に、と。

 告げると恍惚とした顔で迫ってくる。


 せめて声を出さずにいられれば、そんな事もなかっただろうが。


 婚約指輪を出し、迫ってくる田中。

 あまりの気持ち悪さに、首輪が取れた事で傷が癒え、体力魔力の回復したリズは、持っていた首輪をぶんぶんと振り回し。

 それが偶然にも、田中の首にかしゃんと嵌る。


 田中の作り出した細工には、魔力剥離という効果が付加されている。

 魔力を持つ者の身体に嵌れば、その者の魔力を無効化出来る代物。

 その細工を作り出せるその腕で、魔力持ちを捕らえ従わせてきたのだった。


 その首輪が今、田中の首に嵌っている。

 魔力持ちだけが感じる事の出来る、匂い。

 それは田中が持つ魔力によって、香る匂いだった。

 田中とて、僅かとはいえ魔力を持つ身。

 魔力剥離のその効果が、発動しない訳がなかった。


 首輪が嵌り、香っていた匂いが薄れた事に活路を見出したリズは。

 火球を投げ付け、田中の身体を吹き飛ばした。




 地雷原が埋められた道を超え。

 地上から、爆炎を潜り建物内部に入り込んだ賀川は。

 消毒臭のする、一つの部屋に辿り着いた。

 据えられた手術台、壁際の檻、側にある大きな窯。

 敵の一人を潜んでいた窯の中に引き込み、助けを呼ばなければ仲間に焼き殺されると脅すが。

 無用な争いを避ける為と行使したその策は、失敗に終わり。

 人質を取られた中銃を向ける者に、本当に残念そうに。


「さよなら……」


 賀川は呟くと手にした散弾銃を、オートで撃ち放った。


 窯があった部屋を抜け、アリスを探して、室内を歩き回っていた賀川は。

 リズとフィルと合流したいと考えるが、いた痕跡のみで本人達は見つけられず。

 息があがり身を潜める為入り込んだ、標本が飾られた部屋で。

 運良く機械人形から摘出した、目を取り置く容器を手にするが。

 次に入った、鍵の付いてないその部屋で。


「とき、さがしたわ」


 プールで泳ぐ、『アリス』と遭遇した。



たぶん、助けてくれる子達はうわさの彼ら


賀川さん、アリスちゃん


リズちゃん


悪役企画より

撫子ちゃん

田中くん


お借りしております

継続お借り中です

お気付きの点等ありましたらお気軽に

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