11/16 町案内、という名のWデート 帰宅途中
桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話
11月16日 逢引?中です(汐ちゃんと:謎の配達人)
このダイジェスト回とリンクりますー
合わせてお読み頂きますと、より楽しめるかと
食べ歩きを堪能した一行は、魚沼夫妻と別れ。
帰路の途に着くべく、買い物客らで賑わう商店街を、駅に向かって歩いていた。
「折角この俺様が、ルドで送ってってやるって言ってんのに」
「断固拒否する! 遠慮するっ! アレは、乗るようなモノじゃない!」
「意外と、たっのしんでたくせによぉ〜」
「楽しかったね〜♪」
「そうですね」
「次、会えるのはいつかなぁ? あ。先生達の結婚式かな?」
「たぶんそう、でしょうか? 打ち合わせ、汐ちゃんとは被ってないので、残念です」
「そうだよね。でも当日会うまでの、お楽しみ! だね♪」
「はい。本当に楽しみです!」
語らいながら、商店街の道を歩くフィル、賀川、汐、雪姫の四人。
人の流れに沿うように、歩みを進め。
「んぁ?」
ジジッと、白金のカフスからの通信が乱れたのに、フィルはふと足を止め。
その、刹那。
ーーとん、と。
肩に。
確かに誰かとぶつかったような、衝撃を受け。
「っと。わり……」
謝りながらそちらへと、顔を向けるフィルだが。
「っれ?」
傍らに、留まっている者などおらず。
人々の流れは留まる事なく、進んでいる。
きょろり、周囲を見渡してみるが、やはり自分とぶつかったらしい人物は見当たらない。
「勘違い、かぁ?」
白髪の頭を掻きながら呟く、フィルの耳に。
「フィル〜? 置いてくよ〜?」
汐のそんな声が届き。
少し行った先で足を止め、雪姫や賀川と共に待っているのを見やって。
「悪りぃ。すぐ行く」
頭を振ると、フィルはそこから駆け出したのだった。
フィル達四人が、人波に紛れてから、暫くして。
フィルが足を止めた、すぐ側の路地で。
緩くウェーブのかかった栗毛を揺らす男、アリカはふぅ……と一つ息を吐いた。
フィルと先程ぶつかったのは、アリカだった。
ぶつかったと思う間もなく、フィルの死角に入り込み人波に紛れて、フィルが顔を向けるその前に、路地に逃げ込んだのだった。
常ならぬ瞬発力を見せた事により、若干へバリながら壁にその背を預け、もう一つ息を吐いて。
「やっぱりあの二人は、譲り受けただけ、みたいだね。なんでだか、フィルも持ってたみたいだったけど……」
フィルの側にいた白髪に赤の瞳の少女と、黒髪の青年を思い出しながら呟く。
「ーー巫女であり神、か。隣の彼は配偶者……候補、といった所かなぁ。……まぁ、そう影響はないかな? 巫女の子の方は微妙だけれど、〈継承者〉でないなら、ただの光る石だしね」
キラリと、アリカの右手に嵌められた、銀装飾の縁取りが施された、夜輝石のバングルが輝く。
感応したのは〈一つ〉だけ。
その事に苦笑しながら。
「にしても、びっくりしたなぁ〜。一瞬母さんが、小さくなっちゃったのかと思ったよ」
呟いて、あったら面白いし、ここまで多様な力が混じり合ってる町は珍しいから、ない事もないよね〜、と付け足して。
そっと四人の少年少女が去った方を窺いながら、それにしても……、と続ける。
「フィルドレイ……いや、今はレディフィルドだったっけ……。彼が一緒にいるって事は、やっぱり青空関係って事だよね……? 母さんに瓜二つだし、そうなのかな……? でも、末子にしか継がれない筈なのに……」
おかしいなぁ、と首を傾げてアリカ。
「それに父さんと母さんのっていういよりは……、僕に近い〈キラキラ〉だったよね、あれ。……でも、そっちの方がおかしいよね。恋人だっていないのに、僕に子供なんて〈いる筈ない〉し。……あの子、一体何者なんだろう?」
自分の夜輝石と感応する程の夜輝石を持つ、自分の母、永遠と瓜二つの容姿をした小さな少女を思い浮かべ、路地の陰で、アリカはぽつりと呟いた。
その呟きは誰に拾われる事もなく、商店街の賑わいに、紛れるように溶けていった。
「お前、明日訓練な」
精肉店でからかわれた事に、有無を言わさず賀川にそう、厳命し。
「白黒カップル」の雪姫と賀川と、駅の近くで別れ。
夕闇に紛れてルドを巨大化させると、素早く乗り込んで雲の上を駆ける。
「楽しかったな」
「うん!」
二人きりの空の中。
笑顔を向け合うフィルと汐は、ホテルまでの遊覧を、ゆっくり楽しむのだった。
大事なものを見落としている事に、気付く事なくーー……。
実は…な回でした
デート回、ホント楽しく書けました☆
桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より
http://nk.syosetu.com/n2532br/
賀川さん、雪姫ちゃん
YL様の"うろな町の教育を考える会" 業務日誌
http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/
結婚式がある設定を。
お借りしております
継続お借り中です
おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ




