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11/16 町案内、という名のWデート? 企画課のお兄さん達と共に2

桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話

11月16日 逢引?中です(汐ちゃんと:謎の配達人)

このダイジェスト回とリンクりますー







京庵(あそこ)看板とか出てへんからな。初見さんが見つけるんは、ちょお難しいやろなぁ」

「そうなんだ〜? じゃあ、場所知ってるお兄ちゃん達に会えた(うしお)達って、すっごくラッキーだったんだね〜♪」


 手を繋ぎ香我見(かがみ)と話しながら、先頭を行く汐がにっこりする。

 その後ろに、先程ドキドキしていた余韻が残っているものの、手は繋いだままの雪姫(ゆき)賀川(かがわ)が続き。

 二人のすぐ後を、頭の後ろで腕を組み、気楽について行くのはフィル。

 その、更に後ろ。

 肩を落としノロノロと後をついて来るのは、はあぁーとため息を吐きながらの佐々(ささき)だ。


「なんで……、なんでリア充なんかと、一緒せなあかんのや……」


 佐々木のその呟きは誰に聞かれる事もなく、冬の冷気に溶けていく。

 角を曲がり、坂を上り、下り。曲がりくねった道を行き。

 何処からどう来たのか。

 わからなくなってきた汐達が、やっと。

 辿り着いたそこは、住宅街の中だというのに。


 まるで、小さな京が現れたかのような、建物があった。


 京庵ーー。

 暗茶色の店構えは、いかにも年季の入っていそうな木造家屋。

 冬の柔らかな日差しが注ぐ店内入り口は、温かく戸口が開いている。

 古き刻を刻んできただろうそこは、トリップしたような感覚を汐達に体験させてくれた。


「……おーい、(セキ)?」

「!」


 ヒラヒラ手を振られ、ハッとする。

 大丈夫か? と続けられたのに笑って、


「えへへ。なんかすごくて、圧倒されちゃった」


 おごそか〜って感じ! 呟いてはしゃぐ汐に苦笑するフィル。


「随分と古い…。この辺は……お得意様が少ないから、こんなイイ雰囲気の建物があったなんて知らなかったよ」

「落ち着いていて、柔らかい……。それに、温かい感じがします」


 汐同様、見入る賀川と雪姫は、知らずポツリと溢す。

 そんな三人の様子に気に入ってもらえたらしい、と思った香我見と佐々木は見つめる視線を柔らかなものにするのだった。






 おやつ時だったからか店内は賑わっていたが、なんとか六人掛けのテーブルに案内された汐達は各々注文すると、出されたほうじ茶や緑茶を含んで息をついた所で。

 月末の『イベント』について花を咲かせる。


「楽しみだよね〜、先生たちの結婚式!」

「そうですね。司先生の花嫁姿、きっと素敵だと思います」

「梅原先生、結構人気やったからなー。当日は一体、何人の男が泣くやら……。佐々木君もその一人やろ」

「あんな新任教師に、よくもボクの司ちゃんをーー!! って、ちゃうで!? ボクはもっと、気ぃ強い子が」


  ガタっと佐々木が立ち上がった所で、注文した品が運ばれてくる。

 海でずぶ濡れになったからか、ぜんざいを注文し、少し大きめなその器を手に取りながら、汐が訊ねる。


「そうなんだ? 気の強い子って……、(むつみ)お姉ちゃんとか、(あみ)お姉ちゃんとか?」

「「え゛……!?」」


 微かに反応が遅れる佐々木と香我見。

 佐々木に至っては、せっかく掴んだ京嵐山という、カエデの葉に象られた練り切りを、ポロッと落としている。

 汐にしてみれば、気の強いというワードと佐々木達に近い年齢の例として挙げてみただけだったのだが……。


「……うーん。海ちゃんは、腕っぷし強すぎやからなぁ。そんじょそこらの男じゃ、務まらんのとちゃう?」


 冷静に分析して、備中白あんが入った柿形のういろうを切りながらそう呟く香我見。


「ボクなんか初日、鉄拳お見舞いされたしなぁ〜」


 海の家で初めて会った時の事を思い出しながらの佐々木が、その時攻撃を受けたらしい箇所をさすりながら告げる。


「みんな、おんなじ事言うんだねー。……強い女の子より、やっぱり、か弱い女の子の方がいいのかなぁ?」


 微妙な反応を返す二人に、小首を傾げて呟く汐。

 悪戯好きなのは時に困る事もあるが、料理の腕はピカイチで、男にも負けないくらい腕っぷしが強くて、ブレない海は頼れるお姉ちゃんだから。

 注文をした、雪うさぎの形をした可愛らしい上生菓子を、どう食べようか迷っていた賀川がそれに気付いて、


「守り甲斐がある方が、男としては嬉しい、かな」

「そういうものなの?」

「うん、たぶんね」


 悩み顔の汐に笑みながら告げ、テーブルの下でそっと雪姫の手を握りながら、


「お前だってそうだろ? レディフィルド」


 白玉ぜんざいの白玉をつまんでいる、フィルに話を振る。

 隣で、下は練り、上は透き通った葛で出来た、花形に絞り出した栗餡がまるで、水面に浮いているかのような綺麗な栗蒸し羊羹に、その赤眼をキラキラさせていた雪姫が、突然手を握られてドキドキしているのを知りもせず。


「ん? あー、まぁ……、そーだな。けど(カイ)なら、頼れる相棒(バディ)になってくれるだろーけどなー」


 俺様は海のあの腕っぷしを買ってるかんな、と笑う。


「まぁ、だからこその特攻隊長なんやけどね」


 こっそり呟かれたそれに、各々が笑顔を見せ。


「ふーん? 随分、面白そうな事してんじゃねーか」


 事情を聞かされたフィルも、ニヤリとした笑みをその唇にのせたのだった。




 スイーツに舌鼓し、『イベント』の話題で盛り上がった面々は店を後にし。

 お土産を買って貰った汐は上機嫌で、皆と大通りまでの道を歩く。

 分かる所まで送って貰った汐達はそこで、打ち合わせの際は宜しゅう頼んます、と告げる佐々木と香我見と別れ。

 商店街に向けて、歩き出すのだった。

町案内中〜♪


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より

http://nk.syosetu.com/n2532br/

賀川さん、雪姫ちゃん


弥塚泉様のばかばっかり!より

https://book1.adouzi.eu.org/n1801br/

佐々木くん、香我見くん、京庵


YL様の"うろな町の教育を考える会" 業務日誌

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

結婚式とイベントがある設定を。


お借りしております。

おかしな点等ありましたら、お気軽に


9日分くらいはいけるかな?

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