7/27 美女コン前夜
「明日はいつも以上に忙しくなるだろうから、覚悟するよーに!」
母太陽の言葉に、陸、海、空、渚、汐の五人姉妹は神妙な表情で頷く。
明日は、ここ海の家ARIKAに程近い特設会場で、「水着美女コンテスト」が開催される。
夏真っ盛り、しかも男共にとってはなんと、素晴らしいコンテストの事か。
それ見たさにこの海にやってくる男共がごまんと増えるのは目に見えているし、ライフセイバーの方々も大勢訪れる。
美女コンはお方激励の為のものなのだから、気持ち良く来て、気持ち良く帰っていってもらいたい。
これは他の方々にも言える事だが、来年もまた来たいと思ってもらえるようにも。
その為には、どんな不祥事も出す事は許されない。起こさせる事も勿論ダメだ。
いつも以上に、サービスと気配り目配りを研ぎ澄まさなければならない――……
「正念場だよ、あんたたち! しっかりやんないとね」
「勿論」
「まっかせて♪」
「が、頑張るっ」
「…………当然」
「はぁーい」
各々声を上げる。
「お店の方は勿論だけど、会場の方にもそれとなく気を配って。夏だし熱中症で倒れる人達がいるかもしれないし、初見の人達はあまりの熱気にやられないとも限らないからね」
「それと、こっちが倒れちゃったら意味ないから、体調管理には十分気をつける事」
「あと渚は、会場の人入りが多くなってきたら、念の為〈追尾くん〉飛ばして状況把握しつつでお願いね」
必要事項をつらつらと告げ、最後にひとつ。
「以上がわかったら、今日はもう解散〜! 明日の為に早く寝る事〜」
その言葉にはーいと返事をし、お風呂にいったり、二階に上がっていったりする子供逹。
「ちょい待ち、海」
「あん? なんだよオカン?」
その内の一人、海を捕まえこっそりと囁く。
「……あの件、抜かりはないんでしょうね?」
その言葉に、にんまりとした笑みを返す海。
「あったり前じゃ〜ん♪ バッチリだってぇ」
「……こーゆー事に関しては、あんたの事だから疑いやしないけどね。……後で拗ねられても知らないわよ?」
やれやれと肩を竦める太陽に、さらりとして海は告げた。
「そ・れ・も、大丈夫だってぇの〜。この海ちゃんに抜かりはないぜ♪」
その嬉々とした表情に、ため息つつ太陽は思う。
あぁ、物凄く不安だ、と。
短いですね…(苦笑)
太陽さんが言うあの件とは、あの件です(笑)




