11/16 町案内、という名のWデート? 着せ替え人形2【男性陣】
前回から引き続き、ラヴぃ回!(笑)
て、言っても途中までなんですが^^;
桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話
11月16日 逢引?中です(汐ちゃんと:謎の配達人)
このダイジェスト回とリンクりますー
「う~ん……なかなか決まらないものね~」
「初合わせだし、仕方ないわよ。賀川君は一旦保留にして、先にある程度決まってるフィル君を着せちゃいましょ♪」
何度か着せ替えてみたものの。
山桜桃と柚月の納得がいく仕上がりにはならなかった為、賀川の着せ替えは一旦保留という事にして。
壁際に備え付けられているドレッサーの前で、太陽に髪を乾かしてもらっていたフィル目掛け。
そーれっ! と女性二人が突撃し。
「っ!? ちょ、ま……おわ~~っ!?」
驚きながらも声をあげたフィルを、有無を言わさずに攫っていく。
そんなフィルを苦笑混じりに見やりながら、パワフルな二人の着せ替えに若干疲れていた賀川は、一時的とはいえ解放された事にこっそりとため息を吐いた。
そこに、
「お疲れ様。とりあえず賀川君はこれ着て、そこに座って。髪乾かさなくちゃ風邪ひいちゃうわ」
「う、はい……」
ドライヤーを持ったままの太陽に促され、隙あらば、と微かに思っていた賀川は観念したような微笑を浮かべ。受け取ったバスローブを羽織り丸椅子に大人しく腰掛ける。
目を閉じドライヤーからの温風を受け髪を乾かされながらの賀川の耳に、他の者達の会話が入ってくる。
「う〜ん。なんか違う、かしら〜?」
「そうね。これじゃあ『頑張って背伸びしてる小学生』、みたいよねぇ」
二人のその言葉に、ちらっとそちら側に視線を向けてしまう賀川。
各々頰に腰に手を当て、首を捻る二人の女性の間にいる、フィルを見やり。
ぱっと顔を背け、笑みを堪えるように口元を覆う。
女性二人の間に立つフィルの顔は脱力しているものの、糊のしっかりきいた白シャツに何故かネクタイ、Vネックの襟元と袖、裾に白のラインが入った紺のセーターを着ており、下はチェックのスラックスという、まさに『学生スタイル』で。
しかしその小学生並みの身長の所為で贔屓目で見てみても、『頑張って背伸びしてる小学生』としか見えず。
フィルの年齢を知らないならその身長も相まって微笑ましく見えるのだろうが、生憎子供丈であるだけの大人と知っている為、つい笑いがこみ上げ肩を揺らしてしまう賀川。
側にいる柚月が長身な上、ベリーショートの黒髪に皮ジャンとジーンズという出で立ちで、高低差は勿論「大人」と「子供」なのがはっきりとしていて、余計にそれが際立って見える。
「悩んでても仕方ないわよね〜、次のいっちゃう〜?」
「そうねぇ。ーー次はコレよっ!」
「はぁ? 次って、まだあるのかよっ!?」
「まだまだ、こんなモンじゃないわよ〜?」
「よそいき服ですもの〜。ぴったりなのを選ばなくっちゃダメよ〜」
「……勘弁してくれ……」
やる気満々の二人の間で一人ガックリと、頭を垂れるフィルに苦笑しながら。
「ゆーちゃんつきちゃん、程々にしとかないとダメよ〜? 本命は賀川君の方なんだから」
「えっ!?」
くすくすと声をかける太陽のその言葉に、笑いを引っ込め驚いた顔で賀川が後方を肩越しに振り返るが、にっこりした太陽の笑顔とかち合っただけで。
「ちょ、自分で着れるっての! って、そっちを脱がしにかかるんじゃねぇーっ!」
「早くしないと、女の子達が出て来ちゃうでしょ!」
「じゃ、ねぇって、マジ待っ……」
「時間は有限なのよ〜? え〜いっ」
「っ! ゆす……ギャーー!?」
「…………」
それもそうね、と思い直した柚月と山桜桃に、「着せ替え人形」にされている少年を見つめ。
苦笑するしかない賀川なのだった。
あれから更に何度か着せ替えられ。
黒のタートルネックにオレンジ地に青の縁取りが入ったパーカー、ゆったりめの茶色の短パンという格好に落ち着いたフィルに頷き。
「次は賀川くんね〜」
うふふと笑顔でそう、山桜桃に告げられて。
苦笑しながら、髪の乾いた賀川が丸椅子から立ち上がる。
それをちらと目に捉えてから、
「んじゃ、俺様は先に行って準備手伝ってくんな〜」
「他の子達もいる筈だから、ちゃんと教えてあげるのよ?」
「わーってるって」
サラッと告げてヒラリと手を振り、着せ替え会場となった脱衣所から出ていくフィル。
「! レディフィルド、ま……」
女三人の中に男一人置いていくのか、と思いながら慌ててフィルに声をかけた賀川だったが、
ーーパタン。
無情に扉が閉められる。
その際フィルの蒼の瞳が、ニヤリと笑っていたのが見え。
先程笑っていたのをしっかり見られていたのかと後悔するが、既に後の祭りであった。
「っ!? ちょっ」
するり、僅かにはだけさせられたバスローブから覗く胸板を掠める指の感触にびくりとして、ハッと賀川が視線を戻すと。
異様な光をその黒目に宿す、柚月の顔が間近にあった。
「何度見ても……「イイ身体」してるわよねぇ、賀川君♪」
「つきちゃんったら、賀川君がびっくりしてるわよ」
「えっと、あの……」
困惑気味な賀川にくすくすと太陽が呟き、山桜桃がほわわんと続ける。
「つきちゃんは筋肉マニアなのよ〜。鍛えられた身体を見ると、フェチスイッチが入っちゃうの〜」
「…………」
筋肉マニアってなんだ? とその黒目を瞬く賀川を置き去りに、話を広げていく女性陣。
といっても「お着替え」させる事は忘れていないようで、
「はい、賀川君。それ脱いでこれ着て。彼方君とも、胸筋に惚れたからなのよねぇ」
「ぅわっ!? じ、自分で脱げますからっ」
「はっ! 見惚れてる場合じゃなかったわっ! うーん、なんか違うんじゃない? こっちの方が見映えしそうよ。それはそうだけど……あの人お弟子さん達や厨房では寡黙な男を演じてるけど身内の前じゃ結構喋るし、鍛えてるのに高い所が苦手とか、可愛いトコもあるのよね」
「! ……ちょ、ぬ……脱がさない、で……あぁっ」
話ながら別の服を持ち、賀川が今着ている服を脱がしにかかる柚月。いきなりの事故に慌てながら僅かに抵抗してしまう賀川だが、その抵抗は抵抗にすらなっておらず、べりっと脱がされ簡単に着せ替えられてしまう。
小さな頃、家に衣装屋さんが来て姉の冴や侍女に着せ替えられていた為、お着替えさせられる事に日本人ながら抵抗のない賀川だが、柚月のうっとりとした視線になんとなく、羞恥心が刺激され抵抗しかけてしまう。
「それなら、こっちの方が合うと思うの〜。鍛えてるといえば〜、青空のお家はみんな鍛えてるわよね〜」
「あっ……そんな、しちゃ……ぅ」
それに加え、なにかと「弱い」所を意図してではないにしろ、するりと掠められ。
ビクリと賀川がその身を震わせる中、女性達の話は盛り上がっていく。
「それはそうかも知れないけど、彼方君や他の兄妹弟達程じゃないでしょ、子供達の方は。ウチの滸なんて野蛮だって逃げちゃったから、あんなひ弱でひょろひょろになっちゃって。ゆーちゃんトコの泰君の爪の垢でも、煎じて飲ませたいくらいよ。ーーなんかイメージと違うわねぇ。これの方が合うかしら?」
「ま、まって……あぅ」
「そうでもないのよ〜? 泰、つきちゃんトコの燎ちゃんに、未だにヒヤッとさせられるって溢してるんだから〜。ひかりちゃんトコの海ちゃんにもだけど、予想外な事への対処が苦手みたいなの〜。上をゆったりめにするなら、下はフィットタイプの方がメリハリあるわよ〜」
「ぁ、っ……。な、んで……そんなっ……うま……っん!」
「燎ちゃん、四人の中では一番すばしっこいものねぇ。海も、捕まえるのには苦労してるのよ、アレでも。炯君と組まれたら、更にやりにくいでしょうね。賀川君、手上げてこれ通して。左足の位置はこっちね」
「っ……。……ひ、太陽さん。俺……おれ……も、もぅ……」
はぁ……と。
熱い吐息を溢し。
耐えられなくなりながら弱々しい声を上げ、膝から力が抜けてその場に、カクンと座り込んでしまう賀川。
「あらあら〜?」
「賀川君、大丈夫?」
「っ……は、はい……」
驚いたような声をあげる山桜桃と太陽に、なんとか平静を装って声を返す賀川。
しかしそれは、後から考えればある意味、自殺行為と言えるものだったのかもしれない。
賀川が全く意識していない所で、その行動に妙な効果が付与され、尚且つ発揮されていた。
うっすらと赤く高揚した頰、乱れた呼吸。
何かを耐え忍ぶその瞳は、知らず涙が浮かび艶めいていて。
そっと、上げられたその。なんとも言えない表情に。
「っ!?」
ハッと息を飲み、黒目を見開いた柚月が。
「や〜〜ん♡ 賀川君、か・わ・い・い♡」
「っ!?」
うふふと妖しい雰囲気を醸し出しながら、新たなフェチを発動させたのだった。
微エロ?な賀川さん回(苦笑)
賀川さんは、あんまり嫌がってる感は出してないハズですが
うちのフィルはお着替え、とかは慣れない感じ
山桜桃と柚月の子供の名前がちらほら出てますが、がっつり絡むか否かは未定〜
桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より
http://nk.syosetu.com/n2532br/
賀川さん
お借りしております
継続お借り中です
おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ




