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11/16 町案内、という名のWデート? 北の森で

前回から引き続き、ラヴぃ回!(笑)

て、言っても途中までなんですが^^;


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話

11月16日 逢引?中です(汐ちゃんと:謎の配達人)

このダイジェスト回とリンクりますー




「それでなんで森? 町案内、だよねこれ」

「この森だって町の一部だろーが」


 雲の上での遊覧を終え、降り立った先はうろなの、北にある森の中だった。


「それはそうだけど……(うしお)、森の中案内なんて出来ないよ〜?」

「案内っつーか、森林浴? だっけか。流行ってんだろ?」

「えー? そうだっけ。森ガール? とかじゃ……あ!」


 てけてけと森の中を歩きながら呟いて。そこまで言ってから、思い出したようにはっとして。


「ユキお姉ちゃんだったら出来るかも!」

「ユキぃ? 誰だよそれ」

「この森の〈白の妖精〉さんだよ〜♪」


 怪訝そうに首を傾げるフィルに笑って、ほら早く! とその手を取り、汐は森の中を駆け出した。

 チョコレート色の小屋がある、その方向に向かって。




「…………」

「…………」


 赤の瞳と蒼の瞳が、ぱちくりと同時に瞬かれ。

 互いに互いを見つめる、二人。

 それにふふっと汐が笑っていると、開け放たれた玄関の奥から、一つ柔らかな声が届く。


「ユキさん? どうかした? やっぱり、俺が出ればよか……って、レディフィルドっ!?」


 奥から出てきたのは、賀川運送の賀川だった。

 その黒の瞳を驚いたように瞬く。


 今日はいつもの水玉模様がトレードマークの、会社の作業着姿ではなくポロシャツとジーンズというラフな格好だったが、その声と、最近何かと共にいる時間が多い為か、見分けられるようになったのだ。

 汐は言わずもがな、〈キラキラ〉を頼りにこの小屋へとやって来たので、初めからわかっていたが。


「っと。悪りぃ、悪りぃ。きっれーな紅瞳(クリムゾン・アイ)だったもんで、ついつい魅入っちまったぜ〜♪」


 賀川の声に意識を引き戻し、その肩に鷲ルドを乗せたまま、にんやりとしてフィルが告げ。


「びっくりした〜?」


 傍らにいた汐がフィルと眼前の少女に、賀川がユキと呼んだその少女に向けて、にっこりしたまま訊ねる。

 それにはっとしてから、その少女、ユキがふわりと笑んで答える。


「汐ちゃん? えっと、はい。びっくりしました。ここまで深い蒼、初めて見たので……。でも、白髪仲間が増えて嬉しいですっ♪」

「白髪仲間ぁ〜? ま、日本(ここ)じゃアルビノなんてぇのは、珍しいっちゃ珍しいけどな〜。白の妖精ってそーゆー事か」


 納得したように言いながら、フィルはサーモンピンクのワンピースを彩るように流れる、ユキのその白い長髪を一房掬う。

 それをベシリと叩き落として、自身の背にユキを隠しながら賀川。


「触るな、穢れる。レディフィルド、お前何しに来たんだよ?」

「か、賀川さん?」


 いきなりの事に驚くユキに目配せだけして、ニヤリとしたままフィルが呟く。


「俺様が何処で何してよーと、俺様の勝手だろーがよ〜? (セキ)が、森の案内ならユキお姉ちゃんだってゆーからさぁ〜。しっかし、かっわいい反応すんのな〜、賀川(お前)。だぁから玲ちゃん♪ なんだよ」

「なっ! お前だってレディちゃんだろっ!」

「その名で呼ぶなっ!」

「お前こそっ!」


 賀川とフィルの、ここ最近お決まりになってきた掴み合いが始まる中、扉の側でその赤の瞳をぱちぱちと瞬くユキ――雪姫に、ててっと汐は近寄っていって。


「あれね、フィルって言って、海外での幼馴染みなの。なんかいきなり、町案内する事になっちゃって、まずは森案内? しろってゆーから、森の事ならユキお姉ちゃんかな〜って」

「そうだったんですか」

「あ。でもユキお姉ちゃんだって予定あるよね〜?」


 そう言う汐に微笑んで。


「大丈夫ですよ。調度、水張りを終えた所だったので」

「本当!?」


 それに汐も笑顔になって。


「じゃあ一緒に行こ〜♪ 二人より四人の方が、きっと楽しいよ〜」

「えっ……よ、四人って、かっ、賀川さんもですか?」


 その言葉に驚きつつ頬を染める雪姫に、コテンと首を傾げて汐。


「え〜? ダメぇ〜?」

「あ、いえ……だめという訳では……」


 でもそれだとまるで、デ……デートみたいでなのでは……と考えている雪姫の心など知るよしもない汐は、にっこりしたままポンとその手を合わせ。


「じゃ〜、決まり! ね♪」


 四人での町案内、という名のWデート? を決めたのだった。






 軽く自己紹介し合い、森で森林浴がてら甘酸っぱい野莓が実っている所や、町が見渡せる丘等を雪姫に案内してもらってから。

 何気なく耳に添えていた手を離して、にやりとフィルが呟いた。


「つっぎはショッピングでもするかぁ〜? 女子供は好きだろ、買い(そーゆーの)

「むー、なんかトゲのある言い方〜。でも」


『お買い物っ!』


 と、雪姫と汐はぱぁと瞳を輝かせて互いの手を合わせ。


「行きたいですっ」

「ハロウィン終わったから、きっとクリスマス仕様だよね〜♪」


 可愛いオーナメントとか、あ。クリスマスプレゼントも選ばなきゃ、ともうきゃあきゃあと盛り上がっている。

 そんな二人を苦笑しながら見つめ、傍らのフィルにひそりと囁く賀川。


「で、レディフィルド。その耳に付けてるのはなんなんだ? ただのカフス……じゃないよな、通信機? なんか、(あみ)さんの声聞こえたけど」

「や〜っぱわかんのな〜お前。ま、ちょっとした「遊び」に、付き合ってやってるトコなんだよ。どーせ(ショウ)辺りの、データ収集の一貫だろーが」

「データ収集って……」


 眉を潜める賀川に、(かぶり)を振ってフィル。


「悪用するワケじゃねーって。いま(クウ)が、別んトコでデート中なんだよ。そのコースに、極力被んねぇよーにしてーんだと」

「クウって、空さん? 確か、三番目の子だったよな。でもなるほど、そういう事か。だから町案内、ね」


 まぁそれなら気にする程でもないかな、と頷く賀川。それにそーゆーこった。と囁き返し、フィルは眼前の二人に告げる。


「おらっ。何処いくんか決まったんなら、とっとと行くぜぇ〜? ま、ルドでならひとっ飛びだけどな〜」

「はぁ〜い♪」


 それに挙手して、にっこりと汐。


「ひとっ飛び?」

「ってまさか」


 首を傾げる雪姫と、驚いて賀川が声を上げたと共に。

 フィルの肩にとまっていたルドがパタタッと舞い上がり、次いでその身を大鷲へと変幻させると、フィルの傍らにバッサリと降り立つ。

 落下による振動とそれにより巻き起こった風が、砂塵を舞い上がらせるがそれに構わず汐と、いきなりの巨大化に驚く事無く逆に興味津々といった感じの雪姫は、そのふわふわの胸毛にぽふりと飛び込み、自身の頬をすり寄せる。


「ふわふわです〜♪」

「ルドの胸毛はやわらかだよね〜♪」


 呟いてその胸毛にす〜りすりとする二人を、苦笑しつつ見つめるフィル。その傍らでため息混じりに賀川。


「やっぱり非現実的だよ、こんなデカイ鳥……」

「実際目にしてんじゃねーかよ。大体賀川(お前)、サムとルドで、もう結構飛んでんだろーが」


 などと言いながら、一行はルドのその背に乗り、ふわりと空へと舞い上がった。




「すごいですっ! もう森があんなに小さいですっ」

「ユキさん、そんなに乗り出したら危ないから」

「俺様の相棒だぜ〜? 落っことしたりなんかするかってんだよ」

「ルドは賢いもんね〜♪」


 賑やかな声が上がる中、四人をその背に乗せたルドは、雲を突き抜け青空の中を優雅に飛行する。

 渡り鳥の群れと戯れ、雲間から覗く上空からの、うろなの町並みを堪能したりしながら。

 暫ししてから、ショッピングモール辺りの建物の群影に紛れて、ルドはひっそりと地上へと降り立った。


「空の旅、楽しかったです〜♪」

「うん、まぁ、楽しかったけど。乗り物じゃないよ、やっぱり(コレ)は。……陽の光を弾いて、風に髪を靡かせるユキさんの姿は、凄く綺麗だったけど……」


 ショッピングモールへと向かい歩きながらボソリと呟かれたそれは、汐と共に前を歩く雪姫にはどうやら聞こえていなかったらしく。


「まずは何から見ましょうか?」

「うーん。やっぱりクリスマスのからかなぁ〜? 候補はいっぱいあった方がいいと思うし〜」

「そうですね。じゃあ、行きましょうか」

「うんっ!」


 買い物の話題に花を咲かせながら、雪姫と汐は手を繋ぎモール内へと入っていった。


まずは森から(笑)

Wデート開始〜♪


この前に一話、あった気がするんですが、見当たらないのでとりあえず…

あとから差し込むかも、です


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より

http://nk.syosetu.com/n2532br/

賀川さん、雪姫ちゃん


お借りしております

継続お借り中です

おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ

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