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11/13 海での訓練A-1

桜月様トコのとリンクってますー

11月13日

訓練中です(汐ちゃんと:謎の配達人)

訓練中です2(汐ちゃんと:謎の配達人)




「来いや~カガワぁっ」

「ちょっと、待ってくれ、レディフィルド」

「どうしたの、賀川のお兄ちゃん?」

「んだよっ、せっかく気ぃ入れたってのに」

「すまない。でも誰かが来た。たぶん……」


 休憩を終えて、訓練を再開しようとした所で。

 賀川のお兄ちゃんがフィルを止めて、通りの方を見る。すると。


「あきらちゃーん」

「やっぱり姉さん……」


 あきらちゃーん、と名前を呼ぶ女の人の声がして、賀川のお兄ちゃんが姉さん、と呟いてる。


「え? 賀川のお兄ちゃんのお姉ちゃん? 隣はカッパさん?」


 近付いてくる二人を見て目を瞬く。

 黒いコートを羽織るスラリとした美人さんと、背の小さいスーツ姿のカッパさんだったから。

 それだけじゃなくて、賀川のお兄ちゃんが姉さんと呼んだその人が一瞬、小さな女の子の姿になったから。

 わたる先生とつかさ先生のお父さんとの試合があった時に、見た事ある二人の姿が重なって。


「そう言えばうしお、あのカッパさんは清水先生の試合の時に見た気がするよ。確か汐よりちょおっと小さい女の子が腕に……あれ?」


 もう一度見たお姉さんの姿は大人で、首を傾げると、


「お前の姉さん幾つだよ? 隣の男、完全におっさんじゃねぇ~か?」

「んーー姉さんは二十八で、魚沼先生は五十五だね」


 フィルと賀川のお兄ちゃんがそう話てて、大人の姿の方が本当で小さな女の子の姿の方はなにか、不思議な力が働いてたんだなと思う。

 〈キラキラ〉は同じ色をしてるから、お姉さんと女の子はおんなじ人だし。


「どうしたの、姉さん。引っ越しは終わった? 手伝うつもりだったのに」

「もともとそんなにないのよ。服も何もかも小さいから着られないし。家具や小物は鉄太様と買い揃えに行って、少しずつ揃えるわ。それに、今、貴方そんなに働けないでしょう?

「姉さん、その……」

「ユキちゃんには言ってないわよ。それより海の方の人達にお世話になっているって聞いたから、どんな感じか見に来てあげたの。汐ちゃんって、この子? か、わ、い、い、わねぇ」


 二人で話していた所ににっこり名前を呼ばれたから、汐もにっこりして答える。


「青空 汐です。ねえ。お姉さん、少し前まで『小さく』なかった?」

「!」

「……ああ、ユキさんではないけれど、汐ちゃんもそう言うのがわかる子なのかも。こないだの清水先生の試合で魚沼先生と姉さんを見たらしいよ。この『夜輝石』は彼女がくれたモノだよ?」


 気にしてたからつい、口から溢れちゃった言葉にお姉さんは驚いた顔をしたけど、賀川のお兄ちゃんの説明に頷いて微笑み。


魚沼うおぬま さえですの。うちのあきらがお世話になってますわ」


 冴お姉ちゃんは改めて挨拶してくれた。それが嬉しかったから、汐は更ににっこりする。


「そちらが?」

「レディフィルドだ、サエ。この俺様がお前の弟、鍛えてやってんだから感謝しろよー?」

「聞いていますわ。破壊的な音楽の才能の持ち主だそうですわね」

「ケケッ、違ぇねぇ。確かに、この笛の音は破壊的そうかもなぁ〜」


 側にいたフィルにも挨拶して、冴お姉ちゃんはビシッと包装されたなんか高級そうなお菓子まで渡してくれた。

 ちゃんとお礼を言って、フィルと二人で凄いね〜ってこっそり言い合ってると、「魚沼先生、ちょっと聞きたいのですが……」って賀川のお兄ちゃんがカッパさんを引き止めて何か話してる。


「今、さっき休憩中に、汐ちゃんが『聞こえない音』でも、目で『見える』って話をしていたんです。だから魚沼先生も見えるかと思って……」

「ぬぅ。わからん事もないが。そんなものずっと見ていたら気が狂う。言っておくがオカルトではないぞ?」


 なんとなく聞いてると、休憩中に汐が言った「音が視える」って話だった。

 ちょっと、ドキっとして。フィルをちらっと見る。


 あんまり〈キラキラ〉が視えるって事は、言っちゃいけない事になってるから。

 たぶん冴お姉ちゃんが小さかったって事も本当は、言っちゃいけなかったんだと思う。

 本当はそんなのわからないハズで、見たくて見てるわけじゃないし、いつも見てる訳でもない。

 見えない時は見えないし、汐が見たいと思った時に〈キラキラ〉が視えた事なんて今まで、一度だってない……

 ちゃんとコントロール出来ない〈力〉。それは、「在る」モノとして扱っちゃいけないモノなのかもしれない。

 汐には視えて、そこにあっても。

 ーー今だって。


 汐はそっとカッパさんを視る。

 小さな身体を淡く包む光。長年培ってきたんだろうソレは濃厚で、ゆらゆらと全身を巡りながら消えたり浮かび上がったりを繰り返してる。

 時折小さな女の子の姿が見え隠れするソレは分厚い眼鏡の辺りだけ、ぶっつりと途切れてる。


 まるでそこだけ、壁に閉ざされているかのように。


セキ?」

「!」


 フィルの声に、意識が現実に引き戻される。


「どーした? 疲れたんならホテル戻るか? お前、全然本調子じゃあねぇもんな」

「ううん、大丈夫! ……それよりフィル、怒ってる?」


 本当は、この時期に海なんか来てんのもあんま良くねーんだけどな、と続けたのに苦笑を返して。

 この前から少し体調不良なのを理由に、学校を行ったり休んだりしている事を心配して言ってくれてるのに首を振って、つい言っちゃった事を怒ってないかどうか訊ねる。


「別に? 怒っちゃいねーよ、ちゃんと「選んで」んのわかるしな」


 髪をくしゃくしゃしながら言われてホッとしてフィルを見上げると、ニンヤリした瞳でカッパさんと賀川のお兄ちゃんを見て。


「なぁんか、面白そーな事が始まりそうだかんな」


 もの凄く楽しそうな表情で、そう呟いた。



書く予定なかったのですが、なんか説明不足感だったので

桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より

http://nk.syosetu.com/n2532br/

賀川さん、魚沼先生、冴お姉様

YL様の"うろな町の教育を考える会" 業務日誌

http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/

渉先生、司先生、梅原勝也氏、決闘があった事


お借りしております

おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ

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