11/4 崖落ち
2ヶ月ぶり、だとっ!?
今年初投稿なのでこちらでも
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願い致します
『ああああぁっ!』
吹き鳴らされた鳥笛に。
叫び声を上げる。
防御も何もない状態。側近く直に響いたそれは、『賀川』の精神を削るのに有効だった。
それでも。
「ーーっと」
ただじっと。音が消えるのを眉根を寄せて耐え忍ぶ常の賀川とは違い、叫びながらも此方へと挑み向かってくるその根性は見上げたものだが。
しかし、何がしかの負荷がかかっている状態の者の攻撃など、フィルには遊びのようなもの。
軌道の単調な手など避けるのは容易い。
繰り出された拳を避け、その背にすうぃと回り込んで。
「遊びは終わりだ」
微かに囁き。破壊された石檻の壁を蹴り、更に空歩で飛距離を稼ぎ。
「ーー寝てろっ!」
鋭く告げるとその首筋に。
躊躇する事なく、フィルは。
重力の乗った、踵落としをくらわせた。
それと共に反動を利用して空返り、半身を捻って、『賀川』と向き合うようにしてフィルが地に降り立った所で。
瞬間、音が途切れ。
狂ったように暴れていた『賀川』が、止まる。
折れた腕の骨は皮膚から突き出し、際限なく血が溢れ、その服を染め上げているのは闇夜にも定かで。
止めて貰った事で安堵したかの様に、自らの血を顔に浴びたまま。
意識を呼び戻した何時もの賀川が、少しだけ笑ったようにフィルには見えた。
賀川の微笑につられるように笑おうとした、その時。
グラリと傾いだ賀川の身体が、視界から忽然と消えた事に息を飲む。
「ーーっ!?」
んなワケあるかっ!
賀川が意識を失った先。
あったのは断崖、下は激しく打ち寄せる波。
深くはない、だが、意識の無いままに浅瀬のソコに落ちれば……
荒れ狂る波は彼の身体を容赦なく、断崖に叩き付けるだろう。
クゥイィーーッ!
「ルドッ!」
高鳴る鳴声に被せるように愛鳥の名を叫んだフィルの、その意思を分かっているかのように。
黒い海に誘われていく賀川を救わんと、ルドが降下の体勢に入る。
ーーしかし。
クゥッ!?
人を救える大きさに変現していたルドを、下から吹き上げる風が邪魔をする。
「ーーちぃっ! カガワッ!」
その途端無意識に石檻の残骸を抱え、その身を空に踊らせるフィル。
風の抵抗が大きいルドでは、間に合わない。
迂回させている暇など更にない。
そう理解するより早く、身体が勝手に動いていた。
死を焦がれるような、闇に堕ちていく身体。
手向けのように散る血花に。
日の光の下でなら、青い。
海に赤の血が舞って。
一瞬過ぎった、その強烈な映像に。
「っ!?」
ぞくり、と。
小さなその身を戦慄させて。
フィルは。
「くそ……っ、とどけぇーーっ!!」
届いてくれと願うように、その手を伸ばし。
はためく服の裾をなんとか捕まえ、抱えていた残骸を放った勢いで距離を詰め。
賀川の頭を抱き込んで。
海の中へとダイブした。
いたいイタイ回でしたっ
桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より
http://nk.syosetu.com/n2532br/
『賀川』さんと賀川さん
お借りしております
継続お借り中です
おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ
やっと終わった戦闘回っ!
でも、次は込み入った話か…
が、頑張ろう、うん
いい加減甘いのが書きたいし…




