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11/4 状況を整理しよう




「と、とりあえず……、今の状況を整理しよう」


 なんとなく手持ち無沙汰で、近くにあった棒切れを拾って、砂地にがりがりと線を引きながらワイヌビが呟く。


「おお、そうであるな」

「現状把握は大事でやんすしねぇ」

「だけど整理……っていっても、一体何をドウスルんっすか?」

「う〜ん、う〜ん。互いの持ってる情報を、出し合ったらいいんじゃないかなぁ〜。もちろん、もちろん。言える範囲の事だけで☆」


 賛同するように続ける天狗仮面と傘次郎とは違い、出来ればあまり言いたくないという風の声音で告げるベニファーに、苦笑しながらアプリがそう呟く。


「匿するは為にならん。ーーが、互いに触れぬ方が良い事もある」


 静かにそう囁いたカルサムに、「げ」という声を上げかけたBだが、最後まで聞き終えてから、横を向いてこっそりとため息をついた。


「えぇっと……」


 思考を巡らせ砂地に簡潔な、うろな北の森から海までの縮図地図を描きながら、Yが話しだす。


「俺たちはそれぞれ、個々のチームに分かれて今回の「任務」に参加してるんだけど……」


 そこに円とアルファベット文字をそれぞれ付け足していきながら。

 北の森に一つの円と先陣の森部隊、アディリオベニファークリュリエ

 浜辺にある程度の間隔を空けて五つの円と、ホテルの方から北の森に交わる崖へという順で、部隊数と名を記していく。

 本陣の海部隊一陣目、ヒヒリナイーンジュケカルカロ

 部隊二陣目、ルッテメノニニクリオーネ。(プラス十体のゴーレムとワイヌビザジィ)。

 部隊三陣目、ディエンツエイフュフェレールガルソウ

 部隊四陣目、R、S、T、U、V、W、X。

 部隊五陣目、パピュナリアクーイン

 森の先陣は天狗仮面と傘次郎や賀川、フィルやカルサムの手により無力化され。

 海の一陣目はリズとアプリによって捕らえられ。

 二陣目三陣目も、天狗仮面(+傘次郎)とカルサムコンビ、賀川とフィルコンビによって倒され。

 治療の為一度アプリの元に戻った天狗仮面と傘次郎にカルサムとは逆に、更に先に進んだフィルは頭の男や金髪女と、賀川は五陣目と交戦中、という状態となっていた。


「こーして見ると、ほぼヤられたカンジっすねぇ……。ーーアンタ、ほんとにダイジョーブなんっすか?」


 Yが書き出した図面とシャボン玉に捕まっている仲間の人数を数え、全体数の三分の一である四陣五陣しか既に残っていない事を改めて確認して。

 心底うろんな表情で、Bはアプリを凝視しながら呟いた。


「今のところは、今のところは。大丈夫だけど〜?」


 コテンと首を傾げて答えるアプリに、それならいい、と囁いて顔を逸らすBをそっと見やり。

 天狗仮面が静かに問う。


「貴殿がそこまで危惧する理由は、一体なんであるか?」

「っ!」


 天狗仮面のその声にハッとして、Bが弾かれたように天狗仮面を見る。

 互いに面を付けている為その表情は見えないが、静かに見据える強い視線と、揺れ惑う視線がそこに絡み合っていた。

 落ちる沈黙、静寂。

 寄せては返す波の音だけが響く中、天狗仮面の視線に耐えきれず顔を伏せたBの代わりに、問いに答えたのはCだった。


「私たちが、各々……「陣」を動かす「動力源」としての機能を、負わされているから、です……」

「クリュリエっ!」


 咎めるようなBの声。しかし、それに微笑みCは続ける。


「ここまで言ってしまっているのなら、もう、話してしまった方がいいと、思います。それに……、私にはこの人たちが、お方様たちが言うような、悪い人たちには……、見えないんです」


 それは、あなたも同じでしょう?

 そう告げてきているクリュリエの視線に、バツが悪そうに頭を掻いて目線を下げるB。


 クリュリエを助けてもらった恩はある。

 だけどそれでも、敵は敵だ。

 そう、思っている筈だ。今も。

 だからこそ、情報を出すのには躊躇したし、利用するつもりであのアプリの力を借りた。


 それなのに。

 気を許してしまっている、自分がいるのも本当で。


 そこを見透かされて恥ずかしいやら情けないやら、色々な思いと感情が沸き上がってきて、どうしたらいいのかわからなくなる。


 馴れ合うつもりなんかない。だけど、どこか姉のように思っているクリュリエを助けてもらった事が、思いの外……嬉しかったのだと。

 そして、陣の原動力としての負荷を、それも一人や二人ではない数の負荷を、恩ある者に負わせてしまっている事を、気にしているのだと。


「!? …………、〜〜〜〜っっ!!」


 今更ながらに、気付いてしまい。

 隣にいるYが、苦笑したのを聞き流しながら。


「あー、もう! 勝手にすればイイんっすよ! 手伝うとはイッタんっすからっ! 不本意だけど仕方ナイっす!」


 ふんっとそっぽを向きながら早口に告げるBに笑って。再び口を開こうとしたCを制して、ワイヌビが代わりに話し出す。


「ベニファーって、根は優しいんだよねーー……。えー、えぇっと、クリュリエが言った通り、俺達は皆、陣に直接「繋がれて」いるんだ」


 Bの睨むような視線から逃れるかのようにしながら、自身でも確認するようにYは続ける。


「大部分は確か、メノだったと思うけど。今の時点で十七……半数以上が捕まってる訳だから、陣からの搾取が彼女一人に集中してるのは確実で……」

ルッテがツナゲタんっすから、常より吸う量は多いと考えた方がシゼンっすからね」

「確かに、只ではやられなさそうな女子おなごではあったが……」

「その結果がこれ、でやんすか」


 Bの言葉に、ふむと戦った時の事を思い出しながら告げる天狗仮面に、やれやれといった態度をアプリに向けながら傘次郎が呟き。

 そこで何かを思い出し、傘次郎が慌ててまくし立てた。


「あっ、兄貴! 兄貴も確か、繋がれてたんじゃなかったですかいっ!?」


 M達とまみえた瞬間、不可視の重圧に襲われていた時。

 天狗仮面のその手に、光る糸が絡みついたのを確かに、傘次郎は見ていたのだ。

 その時の事を思い出して告げる傘次郎に、


「一度違和感を覚えたが、それ以降は特に問題はないのである」


 天狗仮面は自身の手を見せながら呟き、


魔道具マジックツールから生成されたモノ故、媒体を壊した時既に、効力は切れておる」


 静かにカルサムがそう付け足した。


「そ、それなら良かったでやんすよ。でやすが……」

「うむ」

「そう、なんだよね」

「そこがモンダイなんっすよねぇ」

「……はい」

「左様」

「あはは〜、あはは〜」


 大事ないと分かって安堵した傘次郎が、それでも疑問げに続けた、その言葉に。

 各々呟き、当事者であるアプリは、微苦笑を浮かべながら首を傾けた。



 未だ自身の胸に繋がっている、光る糸に。


状況整理&振り返り回?ですかねぇ


ベニファーがいい子にしかならないなぁ…

まぁ、この三人は根がいい子達ではあるんですが

しかし、こんなに人数いたのか。久々見ると多いですねー(苦笑)


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より

http://nk.syosetu.com/n2532br/

賀川さん(お名前)


三衣 千月様のうろな天狗仮面の秘密より

http://nk.syosetu.com/n9558bq/

天狗仮面、傘次郎


朝陽真夜様の悪魔で、天使ですから。inうろな町より

http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/

リズちゃん(お名前)


お借りしております

継続お借り中です

おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ

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