初日終了後の家で
「うあ〜〜! つっかれたあぁ〜〜っっ!!」
家に帰ってくるなり、バッタリとソファに倒れ込む海。
「海は、自業自得でしょ。安請け合いなんかするから」
それを見やってはぁ、とため息を付くのは陸。
「渚〜ぁ。〈もみもみくん〉貸してぇ〜〜」
が、それを綺麗にスルーして、海は渚に催促する。
「…………はい」
「サンキュー。っあ〜〜極楽極楽〜〜ぅ♪」
渚の発明品である手足肩腰どこでもござれの〈もみもみくん〉の気持ち良さに、幸せ〜♪ と顔を緩ませる海。
「久しぶりだと、やっぱり疲れるね〜」
「…………ん」
海に〈もみもみくん〉を手渡し、そのままその隣に腰掛けた渚の隣に、空もちょこんと腰掛ける。
「まぁ、初日で雨のわりにはあるから、上々って所でしょ」
その向かいに、ふぅと一息つきつつ、陸が腰掛け。
「でも、久し振りに司ちゃん達に会えて嬉しかったわ〜」
「うん! 果穂先生にも会えたし、新しいお友達いっぱい出来たもん」
と言いながら、人数分の麦茶を乗せたトレイを手にした太陽と、軽食を運んできた汐が加わる。
おやつ時に、小梅先生に果穂先生、それと新任の清水先生が来てくれていたのだ。
「汐、まだ起きてたの?」
「…………子供は寝る時間」
と言いながらも、スペースを開けて汐を間に座らせる空と渚。
太陽も皆に麦茶を手渡してから陸の隣に腰掛け、そのまま皆暫く、心地好い疲労感の余韻に浸るのかと思いきや。
「……小梅っちって言えばさぁ」
「なんと男連れ!」
「……梅原先生だって、妙齢の女性なんだから」
「でも、ちょっとびっくりしたよね」
「…………うん」
「司先生、キラキラしてたね〜」
きゃいきゃいとお喋りが始まる。
「あれって彼氏? 旦那? 気になるぅ〜〜」
「付き合い出したんだ、って鎮君達が言ってたから、彼氏さん、だよね?」
「ん〜? でもアレ、もう時間の問題なんじゃない?」
「ふふっ」
「…………汐ご機嫌。何か、知ってる?」
そんな事を各々話し合う皆に、陸はため息して、告げた。
「……でも私、あの人はどうかと思うんだけど……」
それに意外そうな顔をして、海が訊ねる。
「陸姉がンな事言うなんて珍しいじゃん。初見、印象良さげだったのに。……なんで?」
そう訊ねてくる海を陸が見やると、汐以外の他の皆も、はて? と小首を傾げていた。
それにはぁ、とため息して、陸はコソリと囁いた。
「店に来てた子供達が、言ってたんだけど……。どうやらあの清水って人……『マゾ清水』って呼ばれてるらしいのよ」
『ぶはっ!』
陸のその言葉に太陽と海が吹き出し、あははと笑い出し、
「えぇっ!?」
「…………(ふ――)」
空は驚きの声を上げてオロオロし、渚は深々ため息を付いてあさっての方向を向く。
汐だけは、それを聞いてもにこにことしたまま、軽食である野菜サンドを頬張っていた。
「あっははははっ! 果穂ちゃんと話してた時は、奥手そうに見えたんだけど、彼そんな呼ばれ方してたのね〜。あーもぅ、おっかし―」
「はははっ! それこそお似合いじゃんっ! 鬼小梅とマゾ清水でさぁ! あはははっ!」
笑い転げる太陽と海を見つめ、ため息ついでに陸。
「ここ、人が増えたのはいい事だけれど、変な人が多いのかしら……。昨日の二人組もそうだし」
「…………それは同感」
陸のため息に、ぽつりと渚が同意を示す。
陸が言う昨日の二人組とは、開店の準備をしていた時に訪れた、役所の企画課コンビ、佐々木達也と香我見遥真である。
「的確な撃退法を、考えないといけないわね」
「…………あの佐々木とかいう人、侮れない」
神妙な顔をして頷き合う陸と渚の間に、笑いを引っ込めた海が混ざる。
「ライフルの性能強化、ね」
「…………二連も、手」
「じゃあさぁ、これを……こうして……」
「……予測到達地点の表示も出来るように……」
「…………海姉、あざとい」
「……んな事ねぇって♪」
「…………じゃ、これを、こう」
「うわ、えげつなっ!?」
「……二人とも、ちゃんと真面目にやってる?」
そんな陸、海、渚達の〈スナイパーライフル・水鉄砲〉強化会議が行われているのを聞きながら、程々にね? と困った顔で空は告げ、あのお兄ちゃん達面白いだけなのに〜と汐が抗議の声を上げ、太陽はやれやれと肩を竦めるのだった。
変態どもの、生死やいかにっ!?
変態撲滅?なるか(笑)
とにあ様のURORA・あ・らかるとより
鎮君
弥塚泉様のばかばっかりより
佐々木君、香我見君
YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より
梅原先生、清水先生、果穂先生
共にお名前お借りしてます
おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ
佐々木君、香我見くん、共に変態扱いに……(苦笑)
佐々木君がアリカに来店する度、〈水鉄砲〉の性能が上がっていきますので、お気をつけ下さい(笑)




