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11/4 遥か深底の過去の話3




「?! ……あっ、あなた、まさか……悪魔……っ!?」


 眼前に佇む者の、血のように赤い瞳をその目に捉え。

 ひっ、と鋭く息を飲み。震え声で告げられた、姫の言葉に。


「一目で私を、悪魔だと見破るとは。なかなかに、鋭い方のようですね。ーー気に入りました。さぁ、姫。その憂いを私が拭って差し上げましょう」


 ニンヤリと笑むと、目にも止まらぬ速さで寝台にいる姫へと距離を詰め。

 悪魔は白磁の手をそっと取ると、翠の瞳に自らの赤の瞳をぴったりと合わせて囁いた。


「嫌! お放しなさいっ、誰か!」


 その背筋を凍らせる視線から逃れるように顔を背け、姫が助けを求める声を上げるが、くくく、と悪魔は喉を鳴らして嗤うと、


「誰も気付きはしませんよ、姫。貴女の声は今、誰にも届く事はないのですから。ーー折角の「お愉しみ」、邪魔をされては困りますから。結界を張らせて頂きました」


 赤色のその目を細め、事も無げに呟いた。


「そんなの嘘よ! 誰かっ、誰か来て! 早くこの不審者を牢にーー!」


 ただ告げられたそれを、信じられる訳もなく。

 取られた手を振り解こうとしながら、姫が叫ぶが、常なら直ぐに飛んでくる筈の護衛や側仕えの者達の足音も、騒がし気な声も。一向に聞こえてはこなかった。


「そんな……」


 愕然と、翠の瞳を見開いたまま。

 開く素振りのない扉を、凝視するしかない妹姫。

 そんな姫に嗤いながら、悪魔は甘美に囁いた。


「お寂しいのでしょう? 姫。私が慰めて差し上げますよ」


 至上の快楽と共に、ね。と続けながら、悪魔は姫をベッドに組み敷き。


「っ?! おやめなさいっ、嫌!」


 ハッと意識を呼び戻し、抵抗の為にもがき手を振り上げるが、その手はあっさりと拘束され、これでもかと細めた瞳を向ける悪魔に、声音低く囁かれる。


「姫。貴女に拒否権はありませんよ。これはこうなるよう、謀られた事なのですから」

「……どういう、事です」


 悪魔の言い方に引っかかりを覚え。問い返した姫は、ニンヤリとその赤目を笑わせた悪魔を見て、激しい後悔の念に襲われた。


「この小国が、繁栄し続ける為なのですよ、姫」

「……そんな……そん、な……。ーーお、お父様はその為に、私を……わたくしをっ、売った、というのですか?!」


 震える声で、翠眼に涙を滲ませながら。

 訴える姫の様を見下ろし、悪魔は楽しそうに愉しそうに、その唇を湾曲させ。


「さぁ、姫。貴女に、至上の快楽を与えて差し上げますよ」

「?! ーーいやああああぁっ!!」


 姫の身体を開くとその声にすら快楽を覚え、悪魔は己を悦さに震わせ。

 打ちひしがれ涙にくれる姫を味わい、貪った。




 一つ目の代償。それは。


 王家直属の血筋である女性の、処女を捧げよというモノだった。

 繁栄し続ける限り、永遠に。


一つ目の代償、でした


あぁ、まだ一つ目…

過去話って、なんでこうも長くなるのでしょうか

すみませんが、暫くお付き合い下さいませ

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