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11/4 赤の瞳

のんびーりと更新〜




 賀川の『枷』が外れ。

 フィルが何かをしようとしている、その時。

 その二人とは別の場所に、捕らえた獣面や他の仲間と共にいるアプリが、陣に繋がれたままポツリと呟いた。


「なんだか、なんだか。そろそろアプリちゃん、マズイかも……」


 アプリがそう言うのも無理はなかった。

 捕らえた獣面の数(シャボン外にいる者は除く)十三人+α分の、転送陣用「人柱」の力の強制搾取を、ほぼ一人で請け負っているのだから。

 いくらアプリが人とは一線を介す存在なのであったとしても、十歳前後の子供の身形で何時までも、際限なく貪られるような力の搾取を、引き受けていられるワケはなかった。


「って、それヤバイって事じゃナインっすか?!」

「な、なんとかならないのか??」

「それならば尚更、このシャボンを解くのである! さすれば力の消耗も、少しは緩やかになるのであるっ」

「兄貴の言うとおりでさぁ」


 アプリのその言葉に、BベニファーYワイヌビ、治癒の為と称してシャボン玉内に囚われている、天狗仮面に傘次郎が順々に呟き。


「それも確かに一つの方法ではあるが。何か、早々に功を投じねばならんか……。本当にもう「無理」か。四番アプリよ」


 四人の言葉に頷きながら。天狗仮面等と同じくシャボン玉内に静かに座す、含みあるカルサムのその言い方に、すぅと翠眼のその目を細めて。


「それって、それって。「彼方あっちの方」の話なのかな〜? それなら、それなら。たぶん大丈夫だけど〜☆ このまま、このまま。ってワケにはいかないよね〜?」


 にっこりと笑ってアプリが呟く。キラリ、その翠眼に、僅かな赤色を帯びさせながら。


「無論。如何にかして、繋がりを断たねば意味はなかろう。策を講じる間があるか、聞いたまでよ」


 ふむ、と胡座をかいて座したまま、カルサムが腕を組み目を閉じる。


「仕方ナイっすから、僕も手伝ってヤルっすよ」

「お、俺にも何か……、出来る事があるなら……」

「私も力を貸そう」

「あっしの事も、忘れないでほしいでやんす」


 口々にそう呟く面々に、アプリはにっこりとした笑顔を見せ、カルサムはその口元を僅かに緩めた。

 そこに更に一つ。小さな声が滑り込んできた。


「わ、たしも……」


 シャボン玉の内部から漏れ聞こえたその声に、いち早く気付いたのはカルサムだった。

 自ら進み出て来ようとしているのを、留めるかのようにして即座に身を起こしアプリに素早く目配せをして、シャボンの界を抜け側近くへと駆け寄り。

 ふらりと倒れ込んだと共にシャボンの結界を緩やかに解かせ、その細い身体をふわりと腕に抱きとめる。


「無理をするでない。お主はまだ、予断を許せぬ状態なのだぞ」

「で、すが……」


 深く胸に沈み込んだ少女、Cクリュリエを見下ろしながらカルサムが囁く。


『クリュリエっ!』


 カルサムが抱きとめた少女を見やり、BとYが驚きの声を上げる。

 そんな二人に唇の前に一本立てた指をあて、シャボンが解けた事でそこから歩み寄って来ながらの天狗仮面や傘次郎、それにアプリが「しーっ!」というジェスチャーをしたのは言うまでもなく。


『!』


 慌てて口元を被うと、Cにそっと近付く二人。

 側近くに片膝を付き、獣面をズラしたその顔を覗き込みながら。


「ダイジョーブっすか?」

「よ、良かった……Cが無事で……」


 安堵したように呟く二人に、僅かに笑みを纏わせながら、Cも呟き返した。


「ベニファー、ワイヌビ。心配……、かけました。……Zサジィ、にも」

「!」


 胸元のポケットに入れていた魔道具マジックツールであるZの事を気付かれて、ハッとした顔でCを見下ろすY。そんなYににこりと笑んで、Cはコクリと頷いた。大丈夫、安心して。というかのように。

 Yは知らないが、Cは北の森で魔道具と、極限まで同化シンクロしていた。そんな体験をしたからか、今まではごく僅かにしか感じ取れていなかった魔道具のその存在を、より強く感じ取れるようになったのだ。

 自分もそう成っていたかも知れない、一歩先に進んでしまったZの、その存在を。

 ふんわり。そんなCにまるで答えるかのように、Yの胸元に収まる魔道具サジィがチカリチカリと明滅する。

 Zの意思を感じ取り、小さく息を吐いてから柔らかに笑んだYにCも微笑を返す中、Bだけが分からずにはて、と小首を傾げたのだった。


「これって、これって。またこの前と同じパターン? 流石に、流石に。アプリちゃんだって、学習するんだからね?」


 また、放ったらかしパターンその二かと、若干涙目になりながらのアプリが呟き。

 苦笑混じりのその顔を、皆がアプリに向けたその時。


 しゃがみ込んだ状態のまま、目を閉じすぅと、息を吸い込むアプリ。

 すると。

 手の先、足の先から頭上に向けて。

 赤と黒の鈎状印紋が、アプリの全身を駆け走り。

 頬と額にも赤黒の鈎状印紋がじわりと現れ、全身の印紋が沸き立つように淡く発光すると共に、アプリがそのをそぅと開くと。


 その目は何時もの翠眼ではなく、限りなく黒に近い、赤の血色眼だった。


本当はぶっ放してサクーっと終わらせるハズでしたが

ウチのアプリがなんかやりだしました(苦笑)


三衣 千月様のうろな天狗の仮面の秘密より

http://nk.syosetu.com/n9558bq/

天狗仮面、傘次郎君


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より

http://nk.syosetu.com/n2532br/

賀川さん(お名前)


お借りしております

継続お借り中です〜

おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ


言い訳をしますと

ここに行くまでにとある君の過去話をしよーとしてて、その間に入るのがこの話〜以下続く、だったのですが

過去話を途中で繰り下げたので、この話を出す所がなくなってしまいまして(汗)

でも、話的にやっとかないと「?」になりそうだったので、やらないとマズイ訳で

急遽こんなとこ?に突っ込む羽目になってしまいました


キラキラ本編的にはあまり関係ない話ですが、暫しお付き合いくださいませー

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