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11/4 動き出すのは


結構前の事なので、もうアレなよーな気がしますが…

桜月りま様宅でのアリスさん奪還戦終了に伴い、注意文掲載終了です

ありがとうございましたっ


で、二ヶ月ちょっと?ぶり更新なのであらすじっぽいものを少々

戦闘回が途中で切れましたので…


いつものようにうろな町を見回りに出ようとした天狗仮面は、同居人猫塚千里に北の森にいきなさいな、との助言を受け相棒の傘次郎を伴い森へと赴く

その頃激務を終えて帰宅の途に着く為車を走らせていた賀川運送の一番賀川は街灯の下に見知った少女の姿を見つける

それは夏にうろなの海で海の家を営む青空家の末妹、うしおだった

街灯の下浮かび上がる汐の姿を追って賀川は北の森へと走る

一方、そんな事が起こっているとは知らない郵便屋の少年フィルは仲間のカルサムと顔を付き合わせ鎮座していたが、慌てて部屋に駆け込んできた少女アプリにより汐の不在を耳にして、妙な気配がするという北の森へと大鳥を繰りカルサムと共に空を駆ける

その時森の上空では三人の獣面達と天狗仮面が空中戦を繰り広げており、汐を追って森に入った賀川は先月末、浜辺で戦った時に見た獣面の頭に汐を連れ去られてしまう

だが、空から降って来た天狗仮面と合流し三人の獣面を倒して居場所を聞き出す為各々敵に向かう

一端は離れたものの獣面を一人倒し天狗仮面の援護に向かった賀川は絶妙なタイミングで天狗仮面と交戦する獣面に攻撃を繰り出し

天狗仮面との前後からのダブル攻撃が決まるかと思った瞬間、三人目の獣面の少女が張った結界内に逆に捕らわれてしまう

それを助けたのは遅ればせながらにやってきたフィル

しかし二人の獣面は倒された上四対一という不利的状況に立たされながらも、最後の力を振り絞って、自らの命を犠牲に四人を葬ろうとする獣面の少女

その少女が操る魔道具を三者で協力して奪取し、これを破壊

少女から汐の居場所を聞き出し、一行は大鳥に乗り海へと向かう


その頃ホテルに一人残されたアプリは室内を探してから、もう一つの妙な気配がする浜辺へと赴く

そこを進んだ先で見えない敵に襲われるが、同じく妙な気配を感じて浜辺へとやってきていた堕天使のリズの助けを得、敵へと向かう

四対二という状況下でありながらまるで舞うように戦うリズとアプリはそんな中森から浜辺へとやってきたフィル達四人と合流する

僅かな会話の後その場を任せて飛び立つ四人を見送り、リズとアプリは敵を倒す為奮闘し

人質を取られかけたり等したものの最後はリズの獣化により四人の敵を蹴散らしたのだった


浜での一陣目をリズとアプリに任せた一行はその先へと歩を進めるが、待ち構えていた二陣目の獣面四人が作り出した重力空間に捕らわれてしまう

敵の提案により、転送陣の柱とされそうになる天狗仮面、カルサム、賀川、フィル達四人だったが「送り返せ」との命の下連れて来ていた森で戦った獣面達の協力の元にその難を逃れ

鷲ルドと隼サムに手助けしてくれた森部隊の獣面達三人を連れてアプリの元へと赴かせ

伝令の為に飛んで来ていたアプリの相棒雀のアムと賀川を心配してやってきた鳩のドリーシャ

を先のニ鳥を追うよう促して離れさせたと同時に

増援された新たな者達に、その場に残った四人は周囲を囲まれてしまう

三対一という状態で漆黒の外套を纏った者達と戦う面々は思考を巡らし各々に敵達と相対する

その間に更に増援された者達にも気を配りながら、四人は各々に技を繰り出し先の陣を退かせる

が、眼前の敵達は人ではないとの疑問を口にする三人に、フィルはサラリと技を使ってそのツラを拝ませる

それは本当に人ではなく土や砂で造られた人形、泥人形ゴーレムだった

泥人形の対処方法を口にする中、ユラリとした、浜辺全体に掛けられている術が揺らめいたのを感じ取った天狗仮面とカルサムは、賀川とフィルを各々の武器に引っ掛けて空へと放り

先へと行かせ、周囲を囲む泥人形相手に奮闘し、emethと書かれた札を切断、各々がその身体に埋め込んでいる、赤い光を放つ魔道具を破壊しにかかる

しかし、ファーストアタックは不発に終わる

札は切り裂いたものの、攻撃の直前、魔道具がそれから逃げるかのように砂中に深く沈み込み

纏う気配が変わったのに天狗仮面とカルサムが距離を取る中、札が切れた泥人形は平然と歩き、再び表面に現れた魔道具が.emethの文字を妖しく浮かび上がらせているのに、やはり魔道具が本体だと確信する二人

そんな中獣面の幼女は自ら他の泥人形の札をも切り裂き、衝撃的な宣告をする

泥人形達は、元人間だったのだと

幼女の笑い声が響く中、その事実に驚く天狗仮面とカルサムに、二十の腕が振り下ろされた


一方その頃、リズを見送ったアプリは戦った獣面達の手当てをしていた

そこにルドとサムに連れられてきた森部隊の獣面達を見て、アプリは治癒を施す

三人の内一人はかなり危険な状態で、アプリはその少女を助ける為ある提案をする

それに僅かな疑問を持ちながらも、獣面の少年はその提案を飲むのだった


アプリが治癒を施し、天狗仮面とカルサムが戦うその先で、浜を駆ける賀川とフィルは四人の獣面達と交戦する

初手の二人を蹴り飛ばし互いに一対一で戦う賀川とフィルはこれをなんとか打ち倒すが、蹴り飛ばされたくらいでは倒れていなかった初手の二人と更に戦いを繰り広げる

手狭な空間、遮蔽物のない中での銃撃戦など苦戦を強いられるが知恵と運?でこれをも打ち倒し

調度良いタイミングで飛んで来たルドに意識のない獣面達の見張りを任せ

賀川とフィルはその先へと駆けるのだった


……なんだかこれだけでも十分長かったような気がしますが、以下続き!ですので宜しければ本編読んでいって頂けると嬉しいです♪





 ルドに倒した獣面達の見張りを任せ。

 更に先へと走る賀川とフィルは程なくして、進行方向上に広がる光をその目に捉える。


「なんだ、ありゃ」

「赤い……、光?」


 先に見えるのは闇夜にも煌々と輝く、赤い光。

 夜に浮かぶ禍々しい程の血色が、心の臓が脈動するのに合わせ呼応するかのように、強く弱く、明滅する。

 その周囲を囲い敷かれている陣に沿うようにして直下立つ、赤色の七本の支柱。その一柱の側に白のローブ姿の者が二人立っているのが見え、柱の根元から伸びた赤い光の線が、幾何学模様で描かれた陣をそこに妖しく浮かび上がらせていた。

 その調度中心部分。全ての線が集約する線上にいる者達を、赤の照り返し光がぼぅと、闇中にその姿を露わにしていた。


 静かにそこに立つ、立派な装飾の施された獣面を被る者が一人。

 椅子に腰掛け目深に被ったフードの端から、輝く髪を溢している者が一人。

 その者の腕に抱かれている、うしおのその姿を。


「汐っ!」


 汐の姿を目に捉え、思わず叫んだフィルの声に気付いて、ゆるりと顔を向けたのは獣面の者とフードを目深に被った者二人。

 その内の一人、獣面達の頭であるその男は、


「再びまみえるつもりはなかったのだがね。ここはお世辞にも、また会えて嬉しいよ、とーー言っておくべきなのかねぇ?」


 闇夜に浮かび上がる白の獣面を、被っていてもわかる程の。

 ニヤリとした含み笑みを浮かべて、悠々とそう呟いたのだった。






「頑張って、頑張って」


 未だ冷たいCクリュリエのその手を強く握りながら、アプリは懸命に声をかけ、ただただ祈っていた。

 やれる事は全てやった。

 後は彼女の、「生きたい」という想いにかけるしかない。


 「〈E〉エイワズ」でCに防御を施し、アプリが干渉しているモノ以外からの妨害を極力抑え。「〈Z〉アルジズ」で保護をして彼女自身を守りながら「〈S〉ソウェル」で生命力を自身達を媒介にして注ぎ、「〈A〉アンサズ」で情報エネルギーを上手く伝達する(受け渡せる)ようにして。


 Cの負担を、カルサムが繋げていた気の糸を拝借して自分に、繋ぐ手からBベニファーに、二人と繋がっている光糸を通して(Bから名前を聞いた)ルッテOオーネにも、こっそりと肩代わりしてもらっている。

 といってもそれは蛇口から一滴一滴、雫が滴り落ちるような僅かなもので。

 受け取る側も渡す側も、どちらも極微々たるものを、徐々にしか移動は出来ないのだ。

 急激な変化は、彼女に負担をかけてしまう事にしかならないのだから。


 治療は遅々としたもので、回復の兆しを見るには程遠く。

 気持ちばかりが逸って、焦りが蓄積されていく。


 ルーンでの治癒は、今までたった二度しかした事はない。

 殆んどの者がそんな状態になる前に受診しに来るのだし、ルーンでの治癒など、緊急中の緊急での措置だ。

 だから僅かな気がかりはある。

 しかし、今出来る最善であるのはこれだけだという、確信がある。

 それでも。


 不安な思いが、脳裏を過ぎり。


「……っ……」


 息を詰めるアプリを、肩に降り立った雀のアムと反対側の肩にいる鳩のドリーシャが、元気付けるようにその頰にすりすりと頭を擦りつけ。

 二羽の鳥達に慰められ僅かにその顔に笑みを浮かべたアプリは、不安それを払拭するかのように。


 握った手に、繋いだその手にぎゅうと力を込めて。


「大丈夫、大丈夫。絶対、絶対。助けるから。……頑張って」


 アプリは祈り続けるのだった。






 ズズンと。

 盛大にその場所自体が、揺れたような衝撃、振動が伝わる。

 もうもうと立ち籠める砂煙の中、衝撃と振動によって足が砂中に沈んだような気さえする。

 所は砂浜。負荷をかければ対象を砂地に沈める事など、容易に出来そうな場所なのだから。


 更なる振動が、衝撃が身体を襲う。

 断続的に、そして間を空けず連続して伝わるそれに、知らずと閉じていた瞳を開くと。

 見やった先。クリアの壁が衝撃によって震え、その面を夜闇に僅かに反射させていた。


「間一髪、だったようだな」

「カルサム殿!」


 静かに響くその声に背後にいるカルサムを天狗仮面が振り返ると、刀を地に突き刺しピンとした気を張り巡らせているその横顔が見えた。

 不意を突かれ振り下ろされた二十の泥人形ゴーレム達の腕が、届くかというその刹那。

 アプリの手によりCクリュリエとの繋がりが絶たれたのを感じ、カルサムは咄嗟に自分達を守る結界を張ったのだった。


「かたじけない」

「よい。それよりも、天狗仮面よ」


 礼を述べる天狗仮面を制し、背を預け合った状態のまま、静かにカルサムが問う。



「お主に人が殺せるか」


「!」



 一瞬、息を詰める呼気が溢れる。

 泥人形達の、猛攻は激しさを増している。

 遠くで潰しちゃえ、という幼女の声が響く。

 寄せては返す波音が、絶える事なく耳に届く。


 そんな中でも、そう大きくはない声で呟かれたそれが、ビンと心に深入ってくる。



 杞憂であればと、思っていた事。

 しかし眼前の泥人形達が纏うその気配は、人のそれと同質。

 十二いた内他の者達の巨大化により、弾かれるようにして後方へと下がった残り二人は、新たな外套を身に纏い後ろの集団に紛れている。

 その二人の内一人は、カタチは同じでもその外側は既に「人ではない」。


 森での戦いの終盤時。

 フィルが言っていた言葉を天狗仮面は思い出す。


 その想いを糧に繰り手の命を喰らって、力を現世に具現化させる魔道具マジックツール

 その魂を喰らい、その源すらをも取り込み力を得ようとするモノ。

 その意志が魔道具の本能より劣るなら、簡単に取り込まれてしまう。


 眼前の泥人形達はおそらく、〈取り込まれた誰か〉のその〈魂〉を宿している魔道具を核に、その命を使って稼働しているのだろう。

 それがたとえ、自らの意志ではないのだとしても。

 みてくれがどうであれ、人と同じくするそれを宿し動いている泥人形(彼ら)を「人間」ではないと、厳密に判断する事は難しい。


 あの幼女は、元は人間だったと言っていた。

 しかしその魂が未だヒトであるのならば、今もまだそれは人であると言えるのではないか。


 カルサム殿は、そこに重きを置いている。それ故に聞いてきている。


 「ヒトであるモノを殺せるのか」と。



「…………」


 思考を巡らせ導き出されたそれに、そう易々と答えられるものではない。

 ぐっと、傘次郎を持つその手を握り締める天狗仮面。僅かに、顔を伏せる。


「兄貴……」


 伝わったものとその仕草に、傘次郎の気遣うような声がかかる。


 二十の猛攻を避けながら、術者である獣面達を止める術は、ないに等しい。

 泥人形達は土塊。核である魔道具を壊さねば、その動きを封じるのは難しいだろう。

 感覚はなく、意思もなく。その魂はヒトのそれとはいえ、術者に操られるだけの人形でしかないのだから。

 本当に壊す(殺す)事しか、方法はないのだろうか。

 それにもし、その核がなくても泥人形達を造り出す事が出来るのならば、意味はない。

 それらを構成する材料は、無限にあると言っても過言ではないのだから。

 だが、このままでいる訳にもいかない。

 造られた泥人形と同じく無数に、無限に戦っていられる訳ではないのだから。

 戦闘が長引けば長引く程、不利になるのは必死。

 その前になんとかカタをつけ、獣面達を同時に押さえねば勝機はないだろう。


 完璧に躱せていたものが、徐々に出来なくなってきている。

 直撃は免れているものの、その拳が衝撃波が。四肢に身体に、少しずつ少しずつ、小さな傷を付けていく。

 自身は妖怪である為小さな傷など直ぐに治るが、切られ流れる血は本物であり、僅かといえどそれが地味に体力を奪い、疲労を誘う。

 逸脱しているとはいえ人の身であるカルサム殿の疲労は、その比ではないだろう。


 迷っている暇はない。

 それにーー……


 「救えるか」ではなく「殺せるか」と、聞いてきているという事は。

 眼前の泥人形達は既に……


 そこまで思考していたのを打ち切り、頭を振る。

 しかし分かっていても尚、その言葉が天狗仮面の口から溢れる。


「カルサム殿。本当にもう。「彼ら」を、元に戻す事は」


 天狗仮面のその言葉に答えるように、カルサムが口を開きかけたその時。ビシリ、と。泥人形達の猛攻を防いでいる、その結界にヒビが入る。


「ぬぅんっ」


 それを見やり柄を持つ手に力を入れ、足を開き踏ん張るカルサム。

 しかし二重に結界を張っている状態であり、先程までCクリュリエに分けていた分の気がまだ、回復しきっていない。

 泥人形達の、攻撃は激しさを増している。

攻撃を防ぎ続けている結界に、所々綻びが目立つ。

 このままでは、そう長くは持つまいと思いながら、カルサムは天狗仮面に声を返した。


「不可能だろう。人ではない身体で、彼処までヒトと同じくする気を纏っておるという事は、昨日今日造られたモノではあるまい。なれば、剥離は意味をなさぬ。還る身体は、既に無いと見るが自然。そんな彼らに、朕らがしてやれる事はーー」


 最早、一つしかない。


 言葉にせずとも語られた、その一言(意志)が。

 ストン、と。

 天狗仮面の心内に落ちたのと同時に。


 バキンと。

 硝子が砕ける、澄んだ音を響かせて結界が崩れ。

 二十の鋭い暴風が、二人(と一傘)の耳を割いたのだった。


なんとか?いや、やっと?

頭さん達の所まで来ました、この子達

そして天狗様sideがなんだか大変な事になってますね…


桜月りま様のうろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話より

http://nk.syosetu.com/n2532br/

賀川さん


三衣 千月様のうろな天狗仮面の秘密より

http://nk.syosetu.com/n9558bq/

天狗仮面、傘次郎君


お借りしております

継続お借り中です

おかしな点等ありましたら、お気軽にご連絡くださいませ


やはりのろのろ更新ですが、続き頑張って書きたいと思います〜


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