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10/27 決闘観戦を終えて


YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌 10月27日 決闘編

の後話的です


報告書?チック…(笑)






 うろな中学教師、清水渉先生と同じく教師である清水(旧姓梅原)司先生の父親、剣道界の鬼神と言われるその男、梅原勝也氏との決闘が行われるうろな中学の剣道場は、もの凄い熱気に包まれていた。

 観客の声援。司会進行者の口上。三人もの凄腕審判に、実況、解説付きのラジオの中継放送なんかもされていて、大会さながら……いや、それ以上の緊迫と緊張、そして静かな闘志に満ちていた。


 制限時間二時間の一本勝負。

 基本は相手を戦闘不能、もしくはギブアップで勝利となるもの。

 渉先生には勝也氏の面、小手、胴への有効打、喉又は胸への突きが入ったと審判が判断した場合、即刻勝利となる追加要素がつけられている。


 大勢の観客が見守る中始まった戦いは、想像を絶するものだった。


 挑戦者である渉先生は、初手は守ると思われていたのだが、全くの逆の攻めにいき。

 上手いこと、勝也氏のペースを乱しての攻撃を繰り出す。


 回し蹴りに肘打ち。

 一応剣道という枠は取ってはいるが、その戦闘方法はいってしまえばフリーであり。


 なんでもあり、なのが実にハマっている変則戦法だった。


 序盤は完全に渉先生のペースで戦いが進み、このまま一気に押しきってしまうのかとも思われたが。


 相手は剣道界の鬼神とまで言われている男。

 いつまでも、受け手に回っているなどあるはずもなく。


 必殺の間合いに入った渉先生を、梅原流・桃華翔閃という名の鋭い斬撃からなるカウンターで弾き返し。

 そこから鬼神の名に相応しい、勝也氏の猛攻が始まり。


 桜花乱舞という、桜吹雪を模したような連撃を繰り出す勝也氏に、攻めから一変防戦一方になる渉先生。

 疲労の蓄積と、語りながらであるというのに勝也氏から放たれる重い剣劇を受けながら、負けじと声を張り上げる渉先生。


 その言葉の端々に、お互いの各々の覚悟。

 そして、どちらも深い愛情が滲み出ているのが見え。


 渉先生からの斬撃をかわし、猛攻から既に桃華翔閃の体勢に入っている勝也氏。

 対する渉先生は、反撃にと詰めていた状態であった為、それをかわす事は不可能に思われた、が。


 確かに、勝也氏のその一撃に痛打される渉先生を視界に捉えたと、会場にいる殆どの者達が思った筈であったが、なんとそれは残視でありその時には既に、勝也氏の背後に回り込み、気のようなものを集束させている渉先生。


「雨狼名・響命斬!!」


 一声の元に放たれたその斬撃が、勝負を分けたかと誰もが思い、沸き立つ会場内。


「見事な一撃だ。あのまま反撃していれば儂の負けであっただろう」


 しかし、しっかりとした勝也氏のその声に、渉先生の一撃が破れたのを悟る。


 まだ、技を隠し持っていたらしい。

 それも、梅原流秘技・梓山という、専守防衛に特化した技を。


 そうして、渾身の技であったのだろう、反動で動けない渉先生に向けて、勝也氏が自身最高の技を見舞う。


「梅原流奥義・梅香殺!」


 それにより、壁に叩きつけられる渉先生。


 会場内に、司先生の声が響き。


 もう、このまま終了なのかと思われた、その時。


「俺はマゾ清水だ――――――!!!! これぐらい気持ちいいくらいだ――――!!!!!」


 まさしく渉先生らしい、そんな叫びと共に立ち上がる渉先生。

 ダメージを受けたという感覚はあまりないのか、意外にぴんぴんしているように映る。


 しかし、長期の戦いの中、その疲労は確かなもので。

 どちらも互いに後一撃が最後といった感じだった。


 だというのに、いきなり会場の雰囲気が柔らかい、温かいものへと変化する。


 渉先生がばらまいた――司先生の隠し撮りとおぼしき様々な、写真達によって。

 中にはアブナイものも混ざっていたりと、会場内の声は様々。

 そんな中、司先生の怒声が響き、娘の恥ずかしい写真に激怒した勝也氏が渉先生に突っ込んでいく。


 冷静さを欠いたその攻撃を、ひょいっとかわす渉先生。


 暫し斬り結び、勢い良く打ち込んだ渉先生の攻撃をかわし、絶妙、絶好のタイミングで奥義・梅香殺を放つ勝也氏。

 縦一閃のその斬撃が、渉先生を撃ち据えたと思った瞬間。


 審判が上げたのは、白の旗。

 渉先生が勝利を納めた時にのみ、上げられる筈の旗。


 それに、ポカンとする周囲。

 何故今白旗が上がっているのか、理解できないとでもいうように。


 しかし確かに、勝也氏のその喉元に、渉先生の竹刀が突き付けられていた。


「勝者、清水渉!!」


 審判者の宣言により、会場内が歓声に包まれる中、渉先生の勝利が決し、義父と婿との決闘は、ここに幕を閉じたのだった。




「…………ふぅ」


 キーボードから手を離し、一つ息を吐く渚。

 決闘観戦して(ホテル)に帰りついてこっち、ずっと自室に篭りっきりだったのだ。

 暫し、物思いに更けるようにディスプレイを眺めていた渚だったが、ふと気付いてまたキーボードにその指を滑らせる。

 忘れないうちに、と思ったのだ。


 カタカタ、キーボードを叩く音が、室内に響く。




 清水 渉(先生)

 (あみ)姉に次ぐ、否

 それ以上の被験体である可能性、大

 要、継続観察

 要、データ収集の蓄積と解析

 それによる、発明品の精度向上が期待できる見込み、有


 一ヶ月後の、マシンにデータ引き継ぎ及び、自動更新機能追加設定……



『渚? いー加減一階(した)下りてきなよ? メシなくなってもしんねーぞ』


 そこまで書き込んだ所で、耳に付けている通信用のイヤーカフスから海姉の声が響き。


「…………もう行く」


 短く告げて保存ボタンをクリックし、電源を落として、渚は自室を後にするのだった。



渉先生の観察は続く

被験体な、渉先生なのでした(苦笑)

次のアレに向けて、データ収集も続く…と


YL様のうろな町の教育を考える会 業務日誌より、渉先生、司先生、勝也氏、技名


話題?としてお借りしております

おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ


もう一つ、決闘観戦後話


※後日、日付を揃える為差込で移動させる予定です

ご注意ください



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