1/1 どいつもこいつも
とにあ様のURONA・あ・らかると 1/1 逃亡先で・新年早々逃亡計画。
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フィル君視点
「なんだかなぁ……」
二人が去っていった方向を交互に見やり、頭を掻いて呟いた。
澄んだ青空。静かな波音。
鳥笛を一度だけ吹いて、後は勝手に集まってくるのに任せ、惰眠を貪るべくそこにごろりと寝転がる。
今夜は星が綺麗に見えるだろうな、と思っていたら。
青空に、いきなり混じる白金。
ついでぽふんという軽い衝撃。
それに驚いたのか、先に集まってたマメ鳥(奴ら)がばさばさとはばたく。
「……ぉい」
クッション状態で下から声をかけると。
「気のせい」
「……なわけ、あるか!!」
気のせいなんてゆーから、ついつい声を上げる。
「なんでいるのよ」
「お前が突っ込んできたんじゃないか」
「進路上にいるのが悪いのよ…………」
いつもとは、若干違うその声。
いつもの強気さが足りねぇ?
「おい?」
クッションのまま訊ねると、
「しかたないわね! ごめんなさい。前見てなかったの。ケガ、しなかった?」
そう告げて俺様の上から降りる芹香。
それに声を返す。
「怪我はねーよ。軽いしな」
「まだ、クッションにしててもよかったってことね! 降りるんじゃなかったわ!」
「あのなぁ! ……バカか?」
「バカっていう方がバカなんだから」
意外に元気だった。
……はぁ。まぁいーわ
にしても素直じゃねぇの
泣いてたんならそう言えよ
ぽん、とそのプラチナブロンドの頭に手を置いて撫でてやる。
「なんでここにいたのよ。ヒドい。ヤだよ。嫌いだわ。おにーちゃんたちなんかだいっきらい」
俯く芹香は、兄が嫌いだと嘯く。
かっこうの例え話。
なんでいきなりんな話が出てくんのかと思えば。
自分がそうだから、いつまでたっても家族に入れてもらえない、と呟く芹香。
んなわけねーだろ、と返して、一気に言葉を吐いて涙を溢す芹香のその頭を、よしよしと撫でながら思考する。
どーりで、妙にあの旧水族館(場所)、『居心地が良かった』ワケだ。
似てんだな。いた場所に。
ガキ共のいる孤児院に。
「血の繋がりのない」家族が、家庭があるその場所に。
……はぁ。しっかしホント、子供らしくねぇ子供だなぁ、芹香も
滴を溢す芹香を見やりどーすっかなぁ、と思考を巡らせていると。
「本気でバカだな」
そんな言葉と共に、更に乱入者登場。
赤毛の少年。こっちは確か千秋の方。
視線だけくれると、芹香がそっちを見る気配。
そうして始まる、兄妹の言い合い。
兄妹喧嘩中に巻き込まれたらしい。
「千秋兄のばかーー!」
暫しやり合った最後に、そう捨て台詞を残して走り去っていく芹香。
おぃ、それでいーのか。
一瞬止めるべきかと意識を持っていくが、
「フィルくん、だったよね。止めておいてくれてありがとう」
「お、おう」
「それじゃあ、今度ちゃんとお礼を言うように芹香に言いきかせておくから。じゃあ向かった方向は秘密でよろしく」
千秋に声をかけられそれに声を返すと、にこやかに言って去っていく千秋。
暫しそれを見つめ。
「なんだかなぁ……」
二人が去っていった方向を交互に見やり、頭を掻いて呟いた。
……結局、どっちもダメージ受けてんだからドローだよなぁ、これ
にしても、なんなんだよまったく。言うだけ言って去っていきやがった
まぁ、いいんだけどよ
ふぅ、とひとつ息を吐く。
他もそうなら、自分だけがなんて、思わなくてもいい筈だがなぁ
芹香だけが「一人」だからか?
他はまぁ、セットだモンなぁ
鎮と千秋
隆維と涼維
みあとのあ
その中で、芹香だけが一人だ
けどそれは逆に、気兼ねしなくていーって事なんじゃねぇのかなぁ
「大体、芹香も気付くべきだ」
たぶん、わかってんだろうがな
そんだけ言えるってこたぁ、ちゃんと「家族」として、入れてもらえてるって事をな
まぁ、あの性格じゃあ言えねぇか?
殆どの奴らが「無関心」、「ことなかれ主義」な世の中なんだぜ?
そーじゃなくても、家族ですら互いにヤり合ったりするってぇのに
「血」の繋がりは、そんなに価値のあるものかぁ?
……ま、俺様達は確かに、重要視するバアイもあるが
それだって、ある一定の時だけだ
「家族」として立つのに、理由がいるなんざ
「……子供の考える事じゃねぇっつーの」
はぁ、吐き出した息が白く尾を引いて流れていく。
「もっとやりてぇように、行動してみりゃいーのになぁ」
何も出来ねぇのがイヤなら
自分が「どうしたいか」で、動いてみりゃあいい
そっちの方が、遥かに簡単だってぇの
……にしても全く
どいつもこいつも
「子供らしくねぇよなぁ。本当に」
なんとなく、生きにくそうに振る舞う両者を見ての、フィル君的思考回路(苦笑)
まぁ、二人だけを思って言っている訳ではなさげですが…
とにあ様のURONA・あ・らかるとより、日生兄弟妹
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