12/25 クリスマスデート★ゲームセンターにて
とにあ様のURONA・あ・らかると クリスマスデート☆モールへの道のり
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イルミネーションに行く前までの話
空ちゃん視点
鎮君のお兄さん達に挨拶してから、隅の方に座ってホットドリンクで身体を温め、更に増えたサンタさんに賑わう子供達を眺めて。
プレゼントを貰ったりと、クリスマス会を堪能してから。
「それじゃあ、行こうか?」
「うん」
シュッとしたベージュのセーターの上に深緑のコートを羽織り、首に赤いマフラーを巻きながら鎮君がそう言って。
ミニバックを提げてウールのコートをふわりと羽織って、二人してそっとその場を後にする。
改めてって言うのがちょっと、おかしいような気恥ずかしいような、変な感じがするんだけど。
モール内にある映画館で映画を見るため、モールの方へと足を向けて。
ゆっくりと並んで歩きながらの道中の話題は、クリスマス会での事とか色々。
誰が一番人気のサンタかって、フィル君も結構頑張ってたみたいなんだけど、どうしてもあの身長のせいで〈プレゼントを貰いに来た子供がサンタコスしてる〉みたいに見られちゃってて。
それには苦笑するしかないんだけど、家族で過ごすクリスマスっていうのもいいけど、あんな風に大勢で過ごすクリスマスっていうのも、賑やかでとっても楽しいなって思って。
鎮君達と一緒っていうのも初めてで、嬉しかったし。
それにふふって笑ってたら。
「行こう。まずチケット引き換えといてー、時間までゲーセンでも覗こうよ」
手を引かれて、ちょっと早足で先を行かれる。
え? え?
いきなりの事で、若干小走りになりかけながら鎮君の後を追うんだけど、すぐ速度が戻されて。
間が図れなくて、一瞬その背中にぶつかっちゃいそうになるんだけど、なんとか踏み留まって。
な、なに? なに??
なんでか分からなくて驚いた顔で目をぱちくりと瞬いていると、
「行こっか」
此方を振り返って呟いて、繋いだ手はそのまま、鎮君のコートのポケットに。
それに、ドキッとする。
……きょ、距離が近くて。
でも……
この手を離すのは……
……いや、だし……
「昨日、雪、ちらついたけど、今日はどうなんだろーなぁ。ホワイトクリスマスはいいけど冷えんだよなー」
呟く鎮君の言葉を聞きながら、きゅっ、と繋がれた手を握って。
高鳴る鼓動をなんとか押さえて、ちょっとだけ鎮君に寄り添って、映画の話やゲームセンターでの上限額を相談したりしながら、モールまでの道を歩いて。
歩みを進めながらふと思い出したので、先に言ってみる。
「ゲームセンターではお財布預かるね」
ハマったら凝るタイプだもんね? とつけ足すと。
「いやいや、わたあめじゃねーし、ゲームだし」
「うーん。ムキにならない自信はあるんだね?」
チラリとその目を見つめて言ってみるけど、
「んー。ねぇ!」
力一杯言われて。苦笑しながら断言する。
「お預かり確定だね」
「だって、あとちょっととかって悔しぃしー」
えー。と呟く鎮君に、もう決定だよって言って、くすくす笑いながら道を歩いて。
モールの映画館で券を引き換えてきてから、上映時間までゲームセンター内をぶらぶらとする。
お菓子取ったりとか、小さなマスコットとか挑戦したりしてたんだけど。
ふと目が止まって、あるゲーム機の前で立ち止まる。
……このぬいぐるみ可愛いっ♪
それにこの目の色……鎮君の目と同じ、深緑
でも……
こんな大きいの取れるわけないよね、と視線を戻しかけた所に。
「欲しい?」
と言いつつ、既に五百円玉を投入している鎮君。
それに慌てる。
「えぇっ!? い、いいよ。こんな大きいの……」
「案外取れるかもしんねーし、やってみなきゃわかんねーだろ〜?」
言いながら、ボタンをスイスイと操作していく鎮君。
五百円で、挑戦出来るのは六回。
前にズラして、開いてる投入口に落とすタイプのクレーンゲーム。
一回目は試しに、という感じ。
二〜四回目は、位置がちょこちょこ前にズレてきてて。
五、六回目は、アームのツメに引っ掛けてみたり、とかしたらぐらっと揺れたんだけど、落ちて来なくて。
……やっぱり、そんなに上手くいかないよね
「う〜ん。あとも〜二、三回くらいしたら、落ちそうなんだけどな〜」
と呟きながらちらりと、こっちを見てくる鎮君。
深緑の瞳でじっ、と見つめられる。
う……。も、もう五百円も使ってるんだよ?
それに言ってくるの、二回目だよね?
さ、流石にもぅダメだよ?
胸中で呟きながらそれにふるり、と首を振るけど。
「じゃあ、あと二百円で取る!」
二本、指を立てて言いきる鎮君。それに苦笑して。
「取るの、決定なんだね」
「おう。もう絶対取れるって!」
ニッと笑ってそう言ってくる鎮君に、仕方ないなぁと呟いて。二百円を投入する。
二回ある内の一回目。
直立してると言う事は、おしり部分が重いとふんで、おしり部分を掬いあげてみる、と。
「!」
「おぉ?」
ビンゴだったみたいでぐらっと、大きく前に倒れてくるぬいぐるみ。
もうこのまま、落ちてくるんだと思ってたんだけど……
『えぇっ!?』
二人して、驚きの声をあげる。
だ、だってまさか……
投入口の縁部分と、ゲーム機本体の枠の間に嵌まる、なんて思ってなかったから。
「……こ、これは流石にもう、無理なんじゃ……」
フタみたいになってるぬいぐるみを見つめて言ってみるんだけど、うーん、と一瞬唸ってから、
「いや。たぶん、これで、イケるっ」
と、アームを操作しながら鎮君が呟いて。
がしり。掴むのはやっぱりおしりの部分。
でも、重いんだったら持ち上がらないんじゃ? って思ったんだけど。
曲がってる足の部分とお腹の間に、アームのツメが入り込んで。
ぷらりん、つり上げられるぬいぐるみ。
一瞬後にはことんと落ちて。
チャララ〜と音楽が流れて周りの照明がチカチカする中、ぽかんとして。
……え? うそっ!?
ほ、ほんとに??
本当に、取れた……!?
途端にすごく嬉しくなって。
「すごい、鎮君っ! ほんとに取れたよ!」
その手を取ってはしゃいでしまう。
だって、本当にあと二回で取っちゃうだなんて。
本当にすごいよ。
すごいすごい、って暫くはしゃいでたんだけど。
はたと気付く。
っ!?
……わっ、私……、じ、自分からっ……
ててっ、手をっ!?!
そう思ったら急に恥ずかしくなって。
「ご、ごめんなさいっ」
ぱっと手を離して俯く。
はうぅ。きっと今、顔真っ赤だよぅ……
そ、それに……子供みたいにはしゃいじゃって、恥ずかしい……
目をつむってぎゅーと手を握り締めたまま俯いてたら、くすりとした声がもれて。
「はい。あげる」
そんな鎮君の声と共に、ふわりと柔らかな感触に触れて。
目を開いてそっと頭を上げると、目の前にはあのぬいぐるみが。
それに、まだドキドキしてたんだけど、そっとぬいぐるみを抱き締めながら微笑んで。
「ありがとうっ」
にっこり笑ってお礼を言ったら、鎮君がその深緑の瞳を瞬いて。
「えっと、あー、うん。どういたしまして?」
言いながらちらり、時計に目を走らせ。
「っと。そろそろ上映時間だから、行こっか」
「あ、うん」
呟いて差し出されたその手に、そっと手を重ねて。
映画館へと向かうのでした。
財布お預かり制は、意外にドキドキするものでした(笑)
ダメ?なんて目で見つめられたら、勝てません(笑)
とにあ様のURONA・あ・らかるとより、鎮君
お借りしております
おかしな点等ありましたら、ご連絡くださいませ
引き続き鎮君お借りでいきます♪




