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転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?  作者: 紙城境介
黄金の少年期:貴族決戦編

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92/262

****** * ******* *******


◆ジャック◆


 祭壇に近付いたフィルは――――


 ――――不意に、懐からナイフを取り出した。


 疑問に思う間もなく、ナイフが祭壇に眠る女性の胸に振り下ろされる。

 傷はつかない。

 結界の効力で。

 しかし。

 ――霊力切れ。

 鳥籠の中にあった〈オロバス〉のアバターが、掠れて消滅する。


「何をやって―――」


 止めに入る間もなかった。

 フィルはもう一度、女性の胸にナイフを突っ込んだ。


 今度は――

 鮮血が、舞う。


 驚くほどの量だった。

 驚くほどの勢いだった。

 赤い赤い液体が、噴水みたいに女性の胸から噴き出した。


 すぐ近くのフィルは、その血飛沫をシャワーみたいに浴びる。

 手も、足も、顔も、服も、すべてが赤く染まっていく。


 何が。

 どういう?


 あんな、ことをしたら。

 もう二度と、結界が―――


「―――ああ」


 カラン、と。

 用済みとばかりにナイフを放り捨てると、フィルは顔についた血を手の甲で拭った。


「……取れませんね。まあいいでしょう、どうせ捨てる身体ですし。

 それよりも、喜ばなくちゃいけません。

 邪魔な結界が消えて、ようやく『お掃除』を始められるんですから!」


 それは、フィルの声だった。

 フィルの顔だった。


 なのに。

 笑顔だけが、フィルじゃない。


 別の誰か。

 俺がよく知る、別の誰か。

 この世で最もおぞましい、二度と見たくなかった笑顔。


 フィルの目が俺を見る。

 フィルの顔が俺に向く。

 フィルの唇が開き――

 フィルの声が言う。



「お待たせしました――――兄さん」






――――Sister = Philene Posford


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― 新着の感想 ―
うわ、うわああ、うわあああああああああああ まじか、え、すごっ なんか主人公と王子の勝負の時にフィルだけ心の声がなかったもんな。いや、正確には妹視点であったんか めっちゃ怖いし天才やなこのちょしゃさん…
うわああああああああああ
[一言] 信じてたのに!!信じてたのにぃ!!
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