表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?  作者: 紙城境介
真実の輪廻期:奪い取られた初恋を

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

200/262

循環因果/解脱者ナビゲーション


 ……そこは、とある少女が見ていた世界を模していた。


 前後無限に続く本棚のトンネル。

 永遠をかけても読み切れはすまい無数の本。

『因果図書館』と彼女が呼んだ因果次元の僻地に、とてもよく似た空間だった……。


 無限の書架に並ぶ本たちは、そのすべてが、世界の因果を記した記録である。

 背表紙には、多種多様なタイトルが付されているかのように見えた。

 しかし、順番に目で追っていくうち、すぐに気付く。

 それは一定の周期で、同じ内容を繰り返していた……。


 本は、今もまさに、書架の中に増え続けている。

 しかしそれらは、どれも見たことのあるタイトルばかり。

 あるいはこれが、本来は終わるはずのない因果の、終焉なのかもしれない。

 その様はちょうど、同じ数列を繰り返して終わらない、循環小数のようだった。


 と。

 書架の下のほうの段に、1冊の本があった。


 無限に循環し、永遠にリセットされ続ける因果の外。

 まるで循環という名の終わりから避難させられたかのように、その本はぽつんと置いてあった。


 タイトルはない。

 中に何が書かれているのか検討もつかない。

 しかし……その本には、驚くべき特徴があった。


 ページが、増えている。


 本の厚みが少しずつ、しかし刻一刻と、増し続けているのだった。

 そしてそのペースは、因果が循環する速度と、ほぼ同期していた。


 誰かが、記していると言うのだろうか。

 因果が繰り返すごとに。

 たとえ何度忘れても、消えてしまわないように、と。


 ―――過去を変えることはできても、あったことをなかったことにすることはできない。


 さあ、その本を手に取るか。

 それとも、書架の前を立ち去るか。


 選択は、その手(・・・)に委ねられている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ▶︎手に取る  立ち去る
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ