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走馬燈
―――ああ。
そうか。
そういう、ことだったんだ。
わたしは、思い出した……。
自分が、何を探していたのか。
何を探して、生まれ育った場所を出て、旅に出たのか……。
間抜けな話だ。
あんなにも世界中を探し回ったのに、実は探し物は、最初から自分の中にあったなんて……。
……あれ?
世界が……少し、明るくなってる?
なるほど。
きっと、終わりが近いんだ。
わたしの走馬燈の、本当の終わりが。
そう思うと、行く手に白い光が射した。
ああ、ようやくおしまいか。
名残惜しいようにも、待ち遠しかったようにも思える。
いずれにせよ、未練がないとは言えないけれど……。
わたしは、白い光に向かって、足を進めた―――




